Adaptive Robotics

社会に適応するロボティクス

一方、工場や土木建築といった産業用途だけでなく、医療や清掃、警備や案内などのサービスにロボットを活用する動きが1990年代から出始めています。これらは、人間のフィジカルなオペレーションを支援するタイプ、オペレーションそのものを代替する人型ロボットタイプ(ヒューマノイド型)、自動運転などモビリティに特化したタイプ、人とのコミュニケーションを指向するタイプに分類できます。現状は特定の用途に特化したロボットから技術の成熟が進み、オペレーション支援型であれば手術支援ロボット、モビリティ型であればお掃除ロボット、コミュニケーション型であれば接客ロボットなどが既に市場投入されています。

モビリティ型ロボットとして現在最も注目を浴びているのが自動運転車です。自動車自体がロボット化して運転が不要になるというだけでなく、自動運転によるモビリティサービスが普及することにより都市交通や人々の生活など社会にも大きな影響が及んでいくと考えられています。自動運転技術は自動化される機能度合いに応じて4段階にレベル分けされていますが、自動運転と手動運転を切り替えられる自動運転レベル3は既に複数の自動車メーカから試作車が出されています。また、ITプレイヤも自動運転の開発に乗り出しており、完全自動運転を実現する自動運転レベル4を目指した開発とテスト走行が進められています。自動運転の精度を向上させ、実用に耐えうる安全性を実現する上で鍵となるのがカメラ等で障害物や周囲の車両を把握するコンピュータビジョンになります。コンピュータビジョンの精度向上には実世界でのテスト走行を通じた学習処理が欠かせないため、各社で多くのテスト走行が繰り返されています。

一方、コミュニケーション型ロボットは音声認識と自然言語処理技術によって人との自然な対話を実現するように進化を続けています。音声認識機能を備えたチャットボットはスマート端末やウェアラブルデバイスを通じて人の自然言語を解釈するパーソナルアシスタントとして利用が広がっています。また、冷蔵庫や洗濯機、ランプといったスマート家電や自動車にまでこのような音声認識機能が搭載されるようになり、私たちの身の回りに言葉を理解するコミュニケーション型ロボットが浸透する世界が到来しつつあります。また、携帯ショップや銀行などで接客の一部を代替するロボットとしても活用が始まっている接客ロボットは、人とのコミュニケーションを通じて人の感情を理解し、ロボット自身も感情を持つロボットとして成長をしていくと言われています。このようなロボットは、サイバー世界から実世界のヒトやモノに働きかけていくアクチュエータとしての役割を果たしていくだけでなく、実世界におけるヒトやモノの反応を観測するセンサーとしても働きます。自ら動き、実世界に対して働きかけてその反応を観測する能動的なセンシングにより、ロボットは自律的に学習し、適応的に振る舞うように今後も進化していくと考えられます。NECはこのようなロボットを活用して実世界の社会課題解決に取り組んでいきます。

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社会価値創造のビジョンや取り組みについて、より詳しい内容をご覧いただけます。是非ご一読いただければ幸いです。