Cloud to Edge

エッジに広がるクラウド

従来クラウドコンピューティングではデータセンタによる一極集中型のアーキテクチャが採られてきました。この形態はデータを集約して効率的に処理できる点で優れていますが、クラウドから離れた場所にある実世界から大量のデータを集めて処理をする場合、リアルタイム性の確保が難しくなる問題を抱えています。特にIoT時代には、センサーやアクチュエータ、ネットワークを構成する基地局やルータなど、実世界に多種多様のICT機器が散在する構成となるため、従来のクラウド一極集中型アーキテクチャでリアルタイム性が確保できないことは致命的です。今後は、クラウドに全てのデータを転送して処理を集中で行う形態から、ネットワークのエッジを活用して処理やデータを分散し、リアルタイムに実世界を制御するシステム構成へと変化していきます。

クラウドによる集中処理からエッジでの分散処理への変化を促す要因として、(1)計算機単体の電力性能向上、(2)クラウドからエッジにわたるシステム全体の最適化、(3)デバイスが接続される無線通信網の大容量化が挙げられます。まず、計算機単体の電力性能向上は、電源の限られたエッジやデバイスでのより高度でリアルタイムな処理を可能にします。エッジ機器が設置される環境はデータの発生源に近いという利点がありますが、設置スペースや利用できる電力が限られるといった制約があります。計算機で利用可能な電力は、その設置される環境に大きな影響を受け、巨大なデータセンタや計算機センターであれば10MWクラス、サーバであれば100Wクラス、車載などの組み込み機器で10Wクラスが上限と認識されています。したがって、エッジ環境で許容される電力は10Wから数100W程度と考えられ、そのような制約の中でリアルタイムにデータ処理を行う技術が求められていきます。従来のノイマン型計算機での性能改善は今後も進んでいくと考えられますが、電力性能の更なる向上に向けて脳型コンピュータの活用も進んでいくでしょう。

  • 1
  • 2

次へ

NEC Vision Book 2017を読む

社会価値創造のビジョンや取り組みについて、より詳しい内容をご覧いただけます。是非ご一読いただければ幸いです。