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ヘルスケア領域からウェルネス経営を見据えて

FiNC代表取締役社長 CEO溝口 勇児
NEC中野 裕明

NECは2017年4月より、予防領域に特化したモバイルヘルスケアベンチャー、株式会社FiNCとの協業をスタート。NEC最先端のAI技術群である「NEC the WISE」とFiNCが提供するソリューションの組み合わせにより、AIを活用したウェルネス・ソリューションの開発に着手しています。どのような背景で両社が協業に至り、この先何を目指すのか。FiNC代表取締役社長CEOの溝口勇児氏と、NECの担当者が語ります。

溝口 勇児
溝口 勇児溝口 勇児 FiNC代表取締役社長 CEO
高校在学中からトレーナーとして活動。トレーナーとしてのみならず、業界最年少コンサルタントも担う。2012年4月FiNC創業。一般社団法人アンチエイジング学会理事、日経ビジネス 「若手社長が選ぶベスト社長」、「ニッポンの明日を創る30人」に選出。
中野 裕明
中野 裕明中野 裕明
金融マーケットにおける新規事業企画・開発を経て、現在はヘルスケア事業の国内外における事業展開を担当。最近は育児に奮闘中。
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ヘルスケア領域からウェルネス経営を見据えて

今回、FiNCとNECがヘルスケア領域で協業に至った背景を教えてください。

日本の医療が抱える、深刻な社会的課題の数々。当社はそれらの事象を解決するため、「食事」「運動」「休養」の三つを軸としたソリューションを開発・提供しています。その一つが、2014年12月から展開している法人向けウェルネスサービスです。個人の健康を心身ともに増進することは、仕事におけるパフォーマンスの向上につながるはず。そして健康経営の観点からも、企業の経営課題を解決していける。私たちはそう確信しています。もともと、すべての領域を自社でカバーしようとは考えていませんでした。私たちは予防領域に特化していますが、NECはメディカル領域の幅広い知見や技術を持っています。そのためパートナーシップによって、お互いの強みを補完できると考えたのです。

ヘルスケア領域は市場規模も大きく、NECはこれまで、病院の電子カルテシステムや企業や自治体での健康管理支援システム構築をはじめとした事業を展開しています。さらに将来的な事業の一つとして、AIやIoTの技術力を活かした医療の効率化・高質化を視野に入れ、新たな事業仮説の策定・検証を続けていました。しかし医療の場合、分析の結果「どう対処すべきか」まで明確に提示できなければ、本質的な課題の解決になりません。そこで、健康リスクに対する優れたノウハウを持つ企業との協業を検討していました。ヘルスケア領域で優れたコンテンツとBtoCのチャネルを持つFiNC様は、まさに最適なパートナーでした。

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ウェルネス経営の浸透に必要な「新しい経営指標」

近年、重要視されはじめている「ウェルネス経営」についてどうお考えですか?

例えばプロとして活躍しているスポーツ選手に、自己管理を怠るような人はいないでしょう。これからは一般企業から給与をもらって働くビジネスマンも、心身ともに健康を維持し、より高い生産性を発揮することが求められるようになります。しかしそれは、個々人の努力だけですべてを解決できるものではありません。企業側は重要な経営戦略の一つとして、働く人たちの健康を支えていく仕組みを構築する必要があります。

それは、まさにNECが直面している課題の一つでもあります。事業の成否を左右するのは“人財”に他なりません。採用した従業員のパフォーマンスを、最大限引き出すためにはどうするべきか。その施策の一つが、ウェルネス経営の浸透です。企業が行う従業員の健康増進施策は、従来は費用として考えられてきました。しかしこれからは、従業員の生活習慣病などの予防やメンタルヘルスケアに取り組むことは、単に医療費の削減だけではなく、生産性の向上や新たな人財を惹きつける場の創出につながる「投資」であるという考え方へシフトしていくでしょう。

ウェルネス経営を社会的に浸透させるうえで、現状の課題はありますか?

最大の課題は、まだ明確な「指標」がないこと。だからこそ私たちは、まずその経営指標を策定しようと考えています。自社の従業員が健康なのかどうか、メンタルは満たされているのか、エンゲージメントの高さはどうなのか。そうした共通の“ものさし”さえあれば、あとの課題はテクノロジーで解決できます。

そして、私たちがテクノロジーによって実現すべきなのは、従業員一人ひとりが「無意識」のうちに健康状態を見守り、その人に合った改善アドバイスをタイムリーに行うことです。人が健康を維持するためには、継続性が何よりも大切です。そして、継続性を高めるためには、利用者になるべく手間をかけさせない仕組みが必要です。FiNC様も同様の考え方を持っており、実際にFiNC様の提供するソリューションは、ユーザーエクスペリエンス改善の積み重ねにより、アクティブユーザー数、つまり稼働率が非常に高いという特長がありました。FiNC様に対して私たちが強い共感を抱いたのは、そうした側面もあったのです。

NECが従来の事業で開発してきたなかで、親和性が高いテクノロジーはあるのでしょうか。

NECはもともと、法人を対象としてさまざまなOAやセキュリティに関するソリューションを開発・提供してきた実績があります。そのため、例えば入退室管理で利用するカメラや、オフィスで使用する電話やPCなど、さまざまな機器をIoTの考え方でタッチポイントとして活用し、バイタルデータの収集・分析ができないか、と構想していました。オフィス内のIoTセンサーで日々蓄積される顔・音声認識から得られる情報は、まさにFiNC様のソリューションに対するインプットになり得るものです。そうした連携を行うことによって、より高いシナジー効果が生み出せるのではないかと考えています。

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企業を窓口に、個人の豊かな人生に寄与していく

協業によって、将来的にどのような社会の実現を目指していますか?

個人の健康を維持するために、パーソナライズされたサービスを受けようとすると、現状では場所や時間の制約が発生するうえ、専門家の指導を仰ぐ必要などがあり、多大なコストがかかります。私たちはNECとの協業によって、それをすべて逆転するようなソリューションを生み出したいと考えています。マスレベルでのパーソナライゼーション――つまり、誰でも楽で楽しく、最適なものを安価に利用できるようにすること。テクノロジーによる最適化レベルの向上には、大きな可能性を感じています。

私たちはFiNC様とのパートナーシップによって自らウェルネス経営の実践・検証を行っていくとともに、企業に対して新たなソリューションを展開していきます。企業で働く従業員一人ひとりが心身ともに健康になることで、その影響は家族へ、地域社会へと徐々に広がっていくはず。ウェルネス経営を広め、より多様なライフスタイル、ワークスタイルの実現に寄与していきたいと思っています。

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