社会価値創造レポート
Industry Eco-System

解決の鍵を握るバリューチェーン変革
食料ロス・廃棄削減は国際的なミッションへ

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先進国と新興国で異なる食料廃棄の理由

食料ロス・廃棄は生産から消費までバリューチェーン全体で生じていますが、先進国と新興国では廃棄されるタイミングに違いがある点に注意が必要でしょう。

先進国では食料の多くが加工後から消費段階で廃棄されています。たとえば新商品の販売、あるいは規格の変更といったタイミングでは、既存の商品が店頭から撤去されて廃棄されることになります。
業界の商習慣や食に対する安心・安全の考え方も、廃棄量が増加する大きな原因となっています。家庭における食べ残しや、購入したものの期限切れとなって捨てられる食品の量も決して少なくありません。

これに対し、新興国では生産や流通の段階で食料が廃棄されています。未発達な収穫技術をはじめ、産地で多くの食料が廃棄されているほか、安全な輸送インフラが整っていないこと、また包装技術の低さから、流通経路上でも多くの食料が捨てられています。

実際、ヨーロッパと北アメリカでは1人あたり年間280~300キログラムの食品廃棄物のうち、消費者によって捨てられる食料は95~115キログラムですが、サハラ以南アフリカと南・東南アジアでは一人あたり年間120~170キログラムの食品廃棄物のうち、同じく捨てられる食料は6~11キログラムに過ぎません。

この問題を解決するには、先進国と新興国で分けて対策を考えていかなければなりません。食料消費が旺盛な先進国では、主にバリューチェーン上の各業者の協調性の欠如や消費者の習慣が食料を廃棄に導いています。消費者が不完全な外見の食料品を拒絶するような品質基準を求めることや、捨てることをいとわない態度によって、業者自身に賞味期限切れ間近の食品を事前に回収し廃棄するという自主規制を誘発させ、大量廃棄を生み出しているのです。

一方、新興国で取り組みを強化する必要があると考えられているのが「コールドチェーンシステム」の整備です。収穫された農産物や海産物を、生産から流通、そして消費の段階に至るまで低温に保つ仕組みがコールドチェーンシステムであり、これが整備されている先進国では流通経路上で痛んでしまう食料の割合が抑えられています。しかし新興国にはこのようなインフラが整備されていないため、加工前の段階で多くの食料が廃棄されています。

食料ロス・廃棄を半減させるためには、それぞれの国や地域の事情に応じてバリューチェーン全体を見直す必要があります。実際、将来の規制予測に対応するため、大手メーカーや小売をはじめとする企業や団体でその動きは加速しつつあります。コカコーラやネスレ、キリン、味の素など、世界の食品メーカーや流通企業など約400社が参加しているCGF(The Consumer Goods Forum)は、2025年までに製造や販売の過程で生じる食品廃棄物を半減する方針を決めました。すでに、多くの企業や業界団体が食料ロス・廃棄に対して自主的に取り組み始めています。

各地域における消費および消費前の段階での1人当たり食料のロスと廃棄量

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