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人と地球にやさしい情報社会へ ~ビッグデータから価値を~

遠藤 信博 日本電気株式会社 代表取締役 執行役員社長
(2013年7月11日 「NEC iEXPO 関西2013」より)


NECは今年創立114年を迎えます。改めて振り返ると、1977年に提唱した“C&C”が今も大きな指針となっていることを感じます。コンピュータと通信の融合によって、より豊かな情報社会ができるという宣言は、非常にインパクトがありました。この考え方をさらに発展させ、2007年に“人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー”という、NECグループビジョン2017を策定しました。“C&C”の提唱から36年が経過した今、コンピュータの処理能力、ネットワークのブロードバンド化が飛躍的に進化しました。本日は、この力をいかに使い切り、価値あるものにしていくかということについてお話しさせていただきます。


社会の課題解決に価値を提供できるICT

世界の人口は70億人を超え、2050年には90億人になると予想されています。人口が30%増加するのに対して、エネルギーは80%、食糧は70%、水は60%も需要が増えると見込まれています。その理由は、都市開発が進み、都市人口が50%から70%になるために人々の生活環境が変わり、人口の増加以上のエネルギーや食糧、水が使われるためです。このように、将来的には多くの資源が逼迫すると見られていますが、それを無尽蔵に増やすことは不可能です。しかし仮に、今使っている1の資源を0.9で足りるようにすれば、10%資源が増えることになります。この「0.9への効率化」を実現することができるICTは、“第二の資源”といっても過言ではありません。

ここ4、5年、ICTの世界では“クラウド”の話題が続きました。そのクラウドも、今や第二世代の“ビッグデータ”時代を迎えています。ビッグデータは、“コンピュータとネットワークによるICTプラットフォームを有効に使い、保有するデータから新たな価値を生んでいこう”という考え方です。

ビッグデータの活用法の一つとしては、大量データを集め、そのデータを処理し、分析して将来を予測する、ということが挙げられます。。予測から生まれる新たな価値は、エネルギー、気象、農業など、社会の様々な分野における課題解決に効果を発揮します。



ビッグデータから生まれる価値とは

90年代半ばから2000年代の半ばまでに、通信速度は1600倍、パソコンのCPU性能は100倍になり、それらを活用した情報流通量は2倍に増加しました。ところが、増加したデータの利用量はわずか1、2%に留まっています。今後はフルに情報を使い、ICTに携わる人と利用される人が知恵を絞り、データを活用する必要があります。

ビッグデータから生まれる価値には「大量のデータから生まれる価値」と「ICTの能力から生まれる価値」の2つがあります。さらに、大量のデータから生まれる価値の中には、「Implicit情報(暗黙知)を見出す」というものと、「蓄積された大量データからルールや法則を見つける」といった価値があります。

まず、データをたくさん集めると、これまで見えなかった情報が見え始めるという例をご紹介します。例えば、車のワイパー自体からは、それが動作しているのかいないのか、どのくらいのスピードで動いているのかという情報しか得られません。しかし、多くのワイパーのデータを集めると、ある地域での雨の動きが分かるようになります。これが暗黙知の例です。次に、蓄積された大量のデータからルールや法則を見つける価値の例です。今までは部分集合を取り出してアルゴリズムを作っていましたが、現在は大量のデータをそのまま扱えるようになり、全体の中から相関関係をうまく取れるようになりました。その一例が将棋プログラムです。以前は棋譜の一部を使ってアルゴリズムを作っていましたが、現在は大量の棋譜データを使ってソフトウェアを作り、棋士に勝てるようになりました。これは、経験値という大量のデータを使えば、新しい価値を見出せることを意味しています。

次に、ICTの能力から生まれる価値にも、「リアルタイム/ダイナミックなサービス」と「リモートマネジメント」の2種類があります。

リアルタイム/ダイナミックなサービスの例では、女性がウィンドウショッピングをしていると、カメラがその女性の好みや好きな色などを認識し、お店の中の商品をデジタルサイネージでリアルタイムに推薦する、というものがあると思います。お客様は、ウィンドウショッピングで目にする以上の情報を得ることができますし、お店にとってはそれによってビジネス機会を増やすことにもつながります。。リモートマネジメントについては、例えばアフリカにいるドクターロボットを使って、日本にいるドクターが執刀するということも可能になります。これまでは処理できなかった、細やかな手の感覚などの膨大なデータもリモート処理できることによって、このように非常に大きな価値を生み出すことができるのです。




価値創造を支えるNECの技術

価値創造を支える技術には、①データの大量収集、②蓄積データの分析、③大量データの高速処理、④ネットワーク技術の4つがあります。

まず、データの大量収集に関しては、同じ種類のデータをたくさん集める時に、小型、軽量、省電力のセンサが必要になります。NECが開発した振動センサは、小型で従来センサ比20倍の超高感度を実現しています。そのため、どこにでもつけられ、建物の劣化監視などに利用することができます。また、衛星もセンサの一種と捉えることができます。高所から大気の状況などを俯瞰し観察するのも、重要なセンシング技術です。

蓄積データの分析について、NECは顔認証や指紋認証を得意としていますが、その基本は相関関係を取る技術です。相関関係の取り方でいろいろな価値が見えてきます。具体例として、プラントの異常の早期発見があります。中国電力様の原子力発電所では、3500個のセンサによって得られたデータからパターンと相関性を分析し、システムをモデル化。そのモデリングデータとリアルタイムデータを比較し“いつもと違う”動きがあれば、異常を早期に発見できるシステムを導入いただいています。

相関性分析により、これまでに全く理解できなかった関係も見えるようになります。、例えば、異種混合学習技術を使えば、これまで数値化できなかった相関関係を見つけて、全く違う価値を生み出すことができます。

大量データの高速処理では、現状を把握しながら少し先の状況を推定し、最適なマネジメントを可能にする世界トップレベルの高速ストリーム処理技術があります。これによって、都市交通の最適化やエネルギーの最適配分などが可能になります。

また、ネットワーク技術については、ソフトウェアでネットワークを制御するSDN(Software-Defined Networking)に力を入れています。ネットワークの混み具合やサーバの空き具合を見てデータの流れをコントロールし、IT・ネットワークの最適な構成をダイナミックに実現できます。例えば、データセンターの特定のサーバを最大限有効に使い、その他のサーバの電源を切れば、省電力を実現できます。また、東日本大震災の直後は携帯電話が通じませんでしたが、SDNを使って周波数帯域を変える実験を行い、ダイナミックに広い帯域を電話に割り当てられることを実証しました。



重要なセキュリティ対策

ネットワークをソフトウェアで制御できるようになると、インフラがオープンなネットワークにつながります。日本のインフラは、これまであまり攻撃されることはありませんでしたが、アメリカではここ1、2年で100件を超える攻撃を受け、サイバーテロ対策が最も重要な政策の1つになっています。私たちも、今まで以上にセキュリティに力を入れる必要があります。

なりすましを防ぐためにセンサからのデータに秘匿をかける技術として、NECは「TWINE」という、軽く破られにくい暗号アルゴリズムを開発しました。

また、NECは、国際刑事警察機構(インターポール)とサイバーセキュリティ対策で提携し、インターポールの国際的ネットワークとNECのサイバーセキュリティソリューションを組み合わせ、脅威情報の調査や分析を行っています。



結び

お客様は様々なビッグデータをお持ちです。NECは、それらのデータを活用して新たな価値を創造することができます。データをいかに最大限活用するか、NECは皆様とのコミュニケーションを通じて知恵を出し合い、新たな価値を共に創り出していきたいと考えています。本日は、ご清聴誠にありがとうございました。