Please note that JavaScript and style sheet are used in this website,
Due to unadaptability of the style sheet with the browser used in your computer, pages may not look as original.
Even in such a case, however, the contents can be used safely.

ICTが実現する社会価値創造 ~社会ソリューションによる新たな価値・市場創造~

取締役 執行役員常務 兼
CMO(チーフマーケティングオフィサー)
清水 隆明
(2013年7月3日 「IT Japan 2013」より)


はじめに

2050年には、世界の人口は70億から90億人と1.3倍、都市に住む人口比率は50%から70%になると推定されます。世界の経済規模は4倍になり、これに伴い、エネルギー需要1.8倍、CO2排出量1.5倍、食糧需要1.7倍、水需要1.6倍に増える、という予想があります。人口増大をベースにした経済成長が期待される一方、果たして地球はもつのだろうかという疑問が湧いてきます。

未来社会において「安全・安心な暮らし」や「効率的な資源活用」を実現するには、「新しい社会インフラ」が必要不可欠なものになってきます。そこでNECは、人が豊かに生きるために必要とされるICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業への注力」を経営方針の第一に掲げました。その内容は、創業以来培ってきたC&Cの実績や知見を活かし、NECグループの強みである「パブリック」「テレコムキャリア」「エンタープライズ」「スマートエネルギー」の4領域において社会インフラを高度化。「安全」「安心」「効率」「公平」の4つの提供価値によって“人が豊かに生きる”社会インフラを実現するという方針です。


NECが考える新しい社会インフラ

特に最近では、温暖化や都市への人口集中、社会インフラの老朽化により、自然災害による被害の甚大化が懸念されています。また一方では、ITとネットワークの進化により、紛争やサイバー攻撃など、人的な脅威も増大しています。こうした自然や人的な脅威に対する防御や危機管理、被害を最小化するには、個人、街、国だけでなく、グローバルレベルの取り組みが必要です。



安全・安心を実現する社会ソリューション

NECが提供する安全・安心に向けた社会ソリューションとして、(1)市民サービス/入国管理、(2)法の執行・警察、(3)重要インフラ監視、(4)行政サービス、(5)情報管理、(6)危機・災害管理、(7)組織間の連携の主に7つがあります。

実際にこれらのソリューションが導入された事例をいくつかご紹介します。
まず(1)の場合、指紋による生体認証を利用したソリューションです。シンガポール空港では、安全・確実な出入国を実現する「eパスポート」が「自動出入国高度管理システム」に採用されています。また南アフリカでは、約4,500万人の「国民認証データベースシステム」に指紋による生体認証が採用され、公平性を実現しています。また、国内での生体認証の事例として顧客サービス向上を図られた、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン様の顔認証による入退場の簡便化があります。指紋認証と同様、NECの顔画像解析精度は世界№1と評価されており、入退場の簡便化だけでなく、お客様に楽しんでいただくという意味でも好評をいただいています。NECの指紋認証ソリューションは、照合精度№1の評価をいただいており、30か国以上、480以上のユーザに利用されています。

(3)の重要監視インフラでは、ブラジルのサッカースタジアムのICT化の例です。2014年のワールドカップ開催を控え、最近「コンフェデレーションズカップ2013」が開催されたブラジルですが、ブラジルの名門チームのホームスタジアム新設において、NECは統合ICTインフラの設計・構築を担当。スタジアムの管理や防災に貢献しています。また、このスタジアムは、周辺施設を含む次世代スマートシティ開発の中核拠点に位置づけられています。

また、アルゼンチンのブエノスアイレス州では、11都市の監視システム・サービスを提供しており、都市の安心な暮らしやビジネスの基盤づくりに貢献しています。

近年では、重要インフラ監視へのニーズは、ますます高まっています。こうした旺盛なニーズに応えるため、NECは、カメラやセンサ、指紋や顔認証などで膨大な情報を収集し、それを高速処理する高精度監視システムを提供しています。

また(6)の危機・災害管理では、宇宙や海からの地球の監視にも貢献しています。宇宙開発では、安全・安心のための衛星利用を加速するとともに、観測・通信・測位を利用した新たなサービス創出にも力を注いでいます。安心・安全への貢献では、地球観測衛星「だいち」の防災などへの利用、大震災の際の超高速インターネット衛星「きずな」の重要拠点間を結ぶ通信インフラとしての活躍などがあげられます。また、経済産業省の推進する「ASNAROプロジェクト」では、小型の地球観測衛星の開発を担当しており、2013年には打ち上げの予定です。一方、サービスの創出では、2010年に打ち上げられた準天頂衛星「みちびき」は2019年までに4機体制を整え、地上システムとの連携によって数センチメートル単位までの高精度の測位を実現します。これによって、ITS高度化や建設機械の無人運転への応用などが期待されています。

海からの観測では、海底地震観測システムを9基設置。地震・津波および地殻活動を観測し、緊急地震速報に活用しています。2014年には、室戸岬沖に10基目が稼働する予定であり、観測網の拡充に貢献しています。

情報管理では、現在、特にサイバーセキュリティの必要性、重要性が認識されています。独立行政法人 情報処理推進機構の「10大脅威 変化・増大する脅威」に見られるように、サイバー攻撃は複雑化、巧妙化、ボーダレス化しており、標的も政府機関から重要インフラや企業へと拡大。政府や大企業においては、個別のツール導入は一巡していますが、「情報セキュリティ政策会議」で提唱されているように「サイバー攻撃等に強く、イノベーションに満ちた、世界に誇れる社会を実現」するサイバーセキュリティ戦略が求められています。

NECは、情報管理に関して「NEC Security Vision」を掲げ、「情報セキュリティマネジメント」「情報セキュリティ基盤」「情報セキュリティ人材」の3つを柱とし、各組織でのマネジメントシステムを確立することによって、セキュアな情報社会の実現とお客様への価値提供を実践しています。

具体的には、セキュアプロセスを標準化することによって、セキュリティを考慮した開発を行っています。また、サイバーセキュリティソリューションを提供し、可視化/分析/防御モデルという検証サイクルを回し、変化する攻撃にも対応できるようにしています。このように、NECはシステム構築と運用の両面でセキュリティに関するノウハウやサポートを提供しています。

NECは、これまでの実績と信頼をベースに、グローバルに安全・安心を提供するため、2013年4月に「グローバルセーフティ事業部」を新設。迅速なマーケティング、共通ソリューション開発、プロジェクト支援など、スピード感のある事業を戦略的に企画・実行する拠点をシンガポールに置きました。組織間の連携として国際刑事警察機構(インターポール)とも提携し、サイバー犯罪などを調査・分析し、国際レベルでのセキュリティ強化に貢献しています。

ご紹介した事例でお分かりのように、NECは安全・安心な社会の実現に向け、個人から施設、都市、国家、地球、サイバー空間まで、さまざまなレベルに対応する安全・安心な社会ソリューションを提供しています。


安全安心な社会の実現に向けて


ICTによる社会価値創造、ビッグデータの活用

ITとネットワーク技術の飛躍的な進化によって、想定を超える情報・データ量の爆発的増加が起こっています。2011~2016年の年間データ量の平均成長率を見ると、企業内情報などの構造化されたデータが19.3%であるのに対し、センサ・マシンが生成する情報やメディア情報などの非構造化データは51.5%にのぼると推定されています。

したがって、今後はこの大容量の非構造化データの管理・活用が、これまで以上に重要な位置づけを持つようになってきます。それは、大量の情報を自動的かつ高精度に分析することで、人間には理解・解明できない規則性や法則などを見出し、これらの解析に基づき、実世界で起こる現象の予知・予測ができるようになるからです。いよいよICTが社会を支える環境が整ってきたと言えるでしょう。

こうしたビッグデータを活用し、いかに価値創造につなげるかが重要ですが、そこには3つのステップがあります。最初は「大量データ・情報の収集」です。センサや従来型のフィジカルデータをはじめ、カメラやスマートデバイスなどからデータ・情報を収集します。第二は「法則やパターンの抽出」です。収集した膨大なデータ・情報からさまざまな分析を行い、法則やパターンを見出します。現在は、この分析の段階の優劣が競争のポイントになっています。そして第三は「価値創造」の段階です。今後は、見出した法則やパターンをいかに予知・予測に結び付けることで価値を創り出していくか。この段階が競争のポイントになってきます。

NECは、法則やパターンを抽出可能にする世界トップレベルの分析エンジン群を揃えています。R&Dの独自技術をベースに開発した世界初、世界№1のエンジンがあります。データの相関関係を自動発見する世界初の「インバリアント分析」、大量データ中の異なるパターンや規則を自動発見する世界初の「異種混合学習」、世界№1と評価される「顔画像解析」、同様に2文が同じ意味を含むかを判定する「テキスト含意認識」のほか、人やモノの位置・時刻・移動履歴などを分析するNEC独自の「行動分析」などのエンジン群があります。

具体的なエンジンの利用例として、大規模プラント故障予兆監視システムがあります。発電所1基あたりセンサを3,500設置し、毎秒1センサあたり100件のデータを収集します。つまり、3,500×3,499組のセンサの相関関係から、インバリアント分析によって「いつもと違う」を発見します。お客様の電力プラント運用の専門家とNECのドメイン/分析エキスパートの密な連携によって、単体のセンサでは見つからない予知監視精度の飛躍的な向上を実現しています。

また小売業では、異種混合学習技術を用いて、曜日、天気、気温、商品の人気トレンドなど、売上に影響する複合的なパターンを自動で抽出し、高い販売数量の予測を実現。空きの目立つ棚をなくし、廃棄ロスや販売チャンスロスを軽減する微妙なバランスの取れた商品在庫の維持が可能になります。さらに自動発注システムと連携することにより、商品廃棄を少なくするだけでなく、発注作業時間を半減するといった大きな価値創出に寄与していきます。


小売業における販売数量予測 (異種混合学習技術)

このように、NECのビッグデータソリューションでは、ビッグデータ基盤の中にセンシング、基盤、ミドルウェア、分析エンジンなど、各レイヤの製品群を用意し、お客様に最適なビッグデータ活用のシステムをインテグレートします。



ネットワークをソフトウェアで制御し、ICTシステム全体の最適化を実現

NECは、ICTの高度化に寄与するネットワーク技術の高度化に取り組み、OpenFlow技術ベースに、ネットワークをソフトウェアで動的に制御できるICTの常識を変える画期的な技術「SDN(Software-Defined Network)」を開発。いち早く市場に製品を投入しました。

従来は、ネットワーク専用機器によるネットワーク制御と通信処理が一体となった静的なネットワークでしたが、これからはネットワーク制御と通信処理を分離し、汎用サーバのソフトウェアで通信処理のみを行う機器の動的な制御が可能になります。これによって、ネットワークの柔軟性が飛躍的に高まり、ICTシステム全体での最適化が実現できます。ICTの高度化は、社会システムの充実につながります。

たとえば、災害時にはソフトウェアでネットワーク利用の配分を変更し、安否確認に必要な音声通話やメールを優先させるなど、状況に応じてICTシステムによる制御が可能になります。


社会システムの充実


最後に

NECは、ICTによる社会インフラの高度化に貢献するため、「大量情報の収集」「分析・将来予測」「社会課題の解決」の3つの段階において、独自性や競争優位性のあるICTアセットを活かし、情報による社会価値創造に努めていきます。

そして、安全・安心・効率的・公平で豊かな社会の実現に向け、社会ソリューション事業に拍車をかけ、ICTで世界中の社会インフラの高度化を支えていきます。また、社会の課題解決を自らの成長のチャンスと捉え、新たなビジネスモデルを確立することによって、社会価値創造型企業になるための変革を推進していきます。


ICTによる社会インフラの高度化への貢献