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NEC、高級漆器調バイオプラスチックで高度な耐傷性と蒔絵調印刷を実現

~漆ブラック調バイオプラスチックの実用化に向けて~

2018年2月6日
日本電気株式会社
科学技術振興機構(JST)

NECは、日本を代表する漆芸家の下出祐太郎氏(下出蒔絵司所三代目・京都産業大学教授)(注1)と共同で、伝統工芸の漆器のような漆黒の美しさを持つ漆ブラック調バイオプラスチック(注2)を開発しています。今回、その実用化に向け、耐傷性の大幅な向上に成功しました。さらに、漆器表面に描かれる精緻かつ立体感のある蒔絵(注3)を高度に再現できる蒔絵調印刷を実現しました。

地球温暖化の要因とされるCO₂排出量の抑制に向け、NECは植物を原料にしたバイオプラスチックの開発を進めています。高付加価値を実現する漆ブラック調バイオプラスチックはその発表後、多くの製品分野で高い関心を集め、実用化に向けて耐傷性やさらなる装飾性への期待が高まっていました。
今回、漆ブラックの光学特性を保持しながら、布や紙で繰り返し擦っても傷が入りにくくする特有な添加成分の配合技術を開発しました。これにより、装飾性を重視した用途で使用されるプラスチックの中で、最高レベルの耐傷性を実現しました。
さらに、下出氏により描かれた、精緻かつ立体感のある最高級の蒔絵をモデルとしてデジタル画像処理を行い、特殊印刷に強い印刷メーカーなどの協力を得て、インク組成、着色成分や印刷条件を最適化しました。これにより実物をほぼ忠実に再現できる高度な蒔絵調印刷に成功しました。

NECは、今後、本材料の実用化に向け樹脂材料メーカーとの連携体制の構築に取り組み、装飾性と環境調和性を重視する耐久財用途や高級日用品などでの利用を目指します。

背景

地球温暖化や資源枯渇、将来の食糧不足への懸念といった社会背景から、NECはバイオプラスチックの研究に取り組んでいます。これまで、とうもろこしなど植物由来の原料(デンプン)を使ったポリ乳酸複合材の開発と製品への適用、さらに、わらや木材など非食用植物由来の原料(セルロース)を使ったセルロース系バイオプラスチックとその低エネルギー製造技術の開発を進めてきました。高い環境調和性(植物成分率)に加え、耐久性にも優れる高機能なバイオプラスチック(NeCycle(R)、注4)の開発により、携帯電話の外装、パソコンのフレーム、ガソリンスタンドの給油機といった身近な製品への適用など、バイオプラスチックの普及に取り組んできました。
また、バイオプラスチックのさらなる普及拡大に向けて、機能性に加え、装飾性という新たな付加価値のあるバイオプラスチックを目指し、2016年には、高級漆器が持つ独特の美しい漆黒(漆ブラック)を初めて実現したセルロース系バイオプラスチック(漆ブラック調バイオプラスチック)を開発しました。
今回、ユーザーから共通課題として強い要望があった、美しい外観を保持するための高度な耐傷性と、高級漆器に筆で描かれた芸術性の高い蒔絵を再現できる蒔絵調印刷を実現しました。

蒔絵調印刷を施した漆ブラック調バイオプラスチック

新技術の特長

  1. 高級漆器の美しい漆黒(漆ブラック)と耐傷性を両立
    セルロース系バイオプラスチックに特有な添加成分の配合技術を新たに開発し、漆ブラックの光学特性(低い明度、高い光沢度、漆特有の深さと温かさ)と優れた耐傷性の両立を実現しました。耐傷性の実現においては、樹脂表面の細かな凹凸化や白濁化など、漆ブラックの光学特性が低下する課題がありました。本技術では、特定の分子構造を持つ添加成分を配合することで樹脂表面の摩擦を低減し耐傷性を向上しつつ、同成分の母材への親和性や配合率を最適化し、高度な光学特性を同時に実現しました。この結果、ガーゼによる摩擦試験では、100回程度擦った場合でも光沢度が高く保持され、装飾性を重視した用途で使用される一般的なプラスチックの中でも最高の耐摩耗性レベルを実現しました。
  2. 精緻かつ立体感のある蒔絵調の印刷を実現
    下出氏によって描かれた精緻かつ立体感のある最高級の蒔絵を、漆ブラック調バイオプラスチックへのスクリーン印刷により高度に再現することに成功しました。具体的には、蒔絵独特の精緻な描写のデジタル画像処理を行い、インク組成や印刷条件の最適化で立体的かつ滑らかな厚塗り印刷を実現し、さらに特殊な金属粉で高品位な金色を表現しました。これにより、射出成形された様々な形状の漆ブラック調バイオプラスチック成形体に、高品質な蒔絵印刷が可能となるため、量産品の大幅な付加価値向上を実現します。

今後、NECは、本技術を第17回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議「nano tech2018」(2月14~16日、東京ビッグサイトで開催、URL: http://www.nanotechexpo.jp/)への出展、および、樹脂材料メーカーやユーザー企業に向けた特別展示会の開催を予定しています。

なお、本技術開発の一部は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 先端的低炭素化技術開発(ALCA) 特別重点技術領域「ホワイトバイオテクノロジー」の「革新的合成法による高性能な高分子多糖類バイオプラスチックの創製と高機能部材化」(研究代表者:国立大学法人東京大学 大学院農学生命科学研究科・岩田忠久教授)の一環で行われました。

以上

  • (注1)漆芸家 下出祐太郎氏: 下出蒔絵司所三代目として、伊勢神宮式年遷宮御神宝平文や京都迎賓館の飾り台の蒔絵の制作、高台寺蒔絵の復元的制作などで知られる、我が国を代表する漆芸家。京都産業大学文化学部教授。大学での学術調査や後継者指導も積極的に行い、伝統的な技術を守るだけでなく、発展させる活動を行っている。特に最近は、外務省の依頼で、欧州諸国での講演や著名博物館での招待展示など、国際的にも広く活躍している。
    (*外務省HPでの紹介:http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000158375.pdf)
  • (注2)2016年8月17日 プレスリリース
    NEC、日本の伝統工芸の漆器が持つ美しさを実現した非食用植物原料のバイオプラスチックを開発~最先端の環境材料で和の美「漆ブラック」を実現~
    http://jpn.nec.com/press/201608/20160817_01.html
  • (注3)蒔絵:漆を塗布し研磨した漆器の表面に、筆を使って漆で描いた絵。その図柄は、花、動物、人物、建物など古典的なものから現代風の抽象的なものまで幅広い。著名漆芸家によって描かれた蒔絵は、立体感があり、かつ極めて精緻で、芸術作品として取り扱われている。
  • (注4)NeCycle(R)(ニューサイクル): NECが主体となって開発したバイオプラスチック材料のブランド名。

バイオプラスチックについて

URL:http://jpn.nec.com/rd/innovation/bioplastics/index.html

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 研究企画本部 研究プロモーショングループ
お問い合わせ

科学技術振興機構 環境エネルギー研究開発推進部
ALCAグループ 江森正憲
TEL:03-3512-3543
E-Mail:alca@jst.go.jp

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