2014年6月27日
国立大学法人東北大学
日本電気株式会社
東北大学サイバーサイエンスセンターとNECは、東北大学サイバーサイエンスセンター内に「高性能計算技術開発(NEC)共同研究部門」を設置し、将来の社会基盤として期待される次世代スーパーコンピュータの技術研究を、7月1日より開始します。 本共同研究部門では、主にスーパーコンピュータのアーキテクチャやシミュレーション技術の高度化と、その応用に関する研究を行います。また、計算機科学と計算科学の発展を担う人材の育成を目的としています。 東北大学とNECは、本共同研究部門を産学連携研究拠点と位置付け、将来の日本のスーパーコンピューティング環境の発展や産業競争力の向上に貢献していきます。 |
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東北大学とNECで共同開発されたSENAC-1 |
2014年10月運用開始予定の「SX-ACE」 |
背景
東北大学とNECは1958年にパラメトロン式の電子計算機SENAC-1(NEAC-1102)を共同開発しており、その後も継続して高性能計算技術の研究や、ユーザアプリケーションの高速化・並列化を行う研究を行ってきました。東北大学で稼働してきたベクトル型スーパーコンピュータは、高いメモリ性能を活かし、地震・津波・気候変動シミュレーション解析などの防災・減災に関する研究開発や、最新の航空機開発など、最先端のものづくり分野を含む幅広い計算科学分野において活用され、多くの研究成果をあげています。2014年10月に運用開始予定のNEC製スーパーコンピュータ「SX-ACE」の開発においても、これらのノウハウが活用されており、今後、先端学術情報基盤を活用した新しい科学(サイバーサイエンス)の創造に関する教育・研究を行う予定です。
また東北大学とNECは、文部科学省の委託業務である「将来のHPCIシステムのあり方の調査研究」(2012~2013年度)に共同で参画し、エクサスケールコンピューティングに向けて、特に高いメモリバンド幅を要するアプリケーションに適したシステムの実現性について、有用な知見を得ています。
目的
日本の高性能計算環境の強化・発展に貢献するとともに、高性能シミュレーション技術の先端科学技術分野や学際融合分野への応用を促進していきます。これらの成果を、近年特に重要性が高まりつつある防災・減災、ものづくり分野に還元することにより、災害に強い国土づくり、グローバルな産業競争力の形成に貢献していきます。
共同研究部門の体制と研究内容
本共同研究部門の開設に伴い、東北大学サイバーサイエンスセンターから研究者および職員、NECから技術者が参加し、研究活動を行います。
主な研究内容は、次世代スーパーコンピュータに必要とされる要素技術と、地震・津波・気候変動シミュレーション解析などの防災や最新航空機開発など様々な科学的・社会的課題を解決するためのアプリケーションプログラムの高速実行技術などです。
- 次世代スーパーコンピュータに向けた要素技術の研究
プロセッサアーキテクチャ、ノード・メモリシステム、ネットワークシステム、I/O・ストレージシステムの設計と、それらの実現に求められるデバイステクノロジーなどを対象としています。またマルチノード・ベクトルスーパーコンピュータシステムにおいて求められる高効率のベクトル処理や、大規模並列化技術の研究開発を実施します。
- アプリケーションプログラムの高速化・並列化技術の研究
防災・減災、ものづくり分野などのアプリケーションプログラムの特性解析技術、高速化技法、大規模並列化技術などの研究を行います。
本共同研究部門は、データ解析に伴って得られる大量データの利活用(ビッグデータ)においても学内外の研究者とも連携し、高性能計算を通じた産学連携拠点の形成を目指しています。
また、東北大学の関連する大学院研究科や国内外の研究機関等と積極的な人材交流を通じて、今後の計算科学・計算機科学分野における実践的な人材育成を図ります。
以上
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