2014年2月12日
日本電信電話株式会社
日本電気株式会社
4K/60P エンコーダ(VC-8150)
NTTおよびNECは、フルHD(注1)を超える高精細映像の高効率圧縮技術の研究開発を進め、この度、4K/60P高精細映像(注2)のHEVC(High Efficiency Video Coding、注3)によるリアルタイム圧縮を世界で初めて実現しました。 さらにNECは、4K/60P高精細映像に対応したリアルタイム圧縮装置「VC-8150」を世界で初めて開発し、本日から販売開始します。 本製品は、最新の映像符号化に関する国際標準規格HEVCに準拠し、リアルタイムでの高い圧縮率と映像品質の両立を業界に先駆けて実現するものです。 NTTおよびNECは、このたびの取り組みを通じて、フルHDを超える高精細映像による次世代放送サービスの実現・普及に大きく貢献します。 |
背景
現在、4Kおよび8K(
注4)の高精細映像を用いた放送サービスの高度化が計画されています。
これまで、4Kの処理画素数は従来HDの8倍となるなど、高精細映像のデータ容量は大容量化するため、従来の映像符号化の国際標準規格AVC(
注5)に対して、約2倍の圧縮性能を持つ、HEVC圧縮の早期実用化が求められていました。一方で、HEVCは多くの演算量を必要とするため、リアルタイム圧縮のためには処理の効率化が必要でした。
この度、NTTおよびNECは、長年に亘り培われてきた両社の映像圧縮技術およびノウハウを基に、フルHDを超える高精細映像の高効率圧縮に向けた技術を確立しました。
新技術の特長
- NTTは、HEVCの特徴である可変ブロックサイズに適応したフレーム間予測やフレーム内予測におけるハードウェアアルゴリズムを検討してきた。これらの検討を基に、複数のブロックサイズでの探索と広い探索範囲を実現する高い予測効率を持つ動き予測や、映像の特徴を解析した上で事前に予測方向を絞り込むイントラ予測等のハードウェアアルゴリズムを確立し、SoC(System on Chip)にて実現可能である見通しを得た。
- NECは、画像をいくつかのブロックに分割して行う映像圧縮処理において、瞬時に画像を分析して最適なブロック分割を行う「最適圧縮パラメータ推定技術」を開発。既存の方法のように、想定される全てのブロック分割パターンを試行した上で処理する必要がなくなり、処理量を約1/5に削減し、4K高精細映像のリアルタイム圧縮を実現(注6)。
- 従来の圧縮装置では、4K高精細映像を4領域に分割した画像を各々処理して結合表示していたが、この場合、各領域を跨ぐ部分の映像の品質低下が課題だった。NECは、境界部分の画像劣化を抑える「画像境界処理技術」を開発。これにより、継ぎ目のない高画質な4K高精細映像圧縮を実現(注6)。
今回、次世代放送サービスの実現・普及を加速するために、上記の両社の技術を利用することで、世界で初めて4K/60P高精細映像のHEVCによるリアルタイム圧縮を実現しました。さらに、NECは、業界に先駆けてHEVC圧縮装置を販売開始し、今後4年間で100台の販売を目指します。
新製品の概要
新製品の型番、価格、出荷開始時期は次のとおりです。
型番 | 価格 | 出荷開始時期 |
VC-8150(エンコーダ) |
オープン |
2014年4月 |
VD-8100(デコーダ) |
オープン |
2014年4月 |
新製品の特長
- 映像圧縮方式として映像符号化規格H.265/HEVCを採用し、Main10プロファイル(注7)に対応。世界で初めて4K高精細映像、10bit高階調(注8)で60fps(1秒間に60フレーム)の映像圧縮をリアルタイムに実現。
- 圧縮処理を全てハードウェアで行い、高い安定性と信頼性を実現。
- 入力は、3G-SDI×4もしくは1.5G-SDI×8に対応し、3G-SDIについてはレベルA/B(注9)を自動認識。4K放送に関連する他の装置との接続性を向上。
- 放送局間制御信号(ARIB STD-B39準拠)によりカラリメトリ(注10)や音声モードのリアルタイム変更が可能。
製品の仕様については、
別紙をご参照ください。
NTTおよびNECは、総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」で示された、フルHDを超えるスーパーハイビジョン(4K/8K)の高精細映像による衛星、ケーブル、IPTVの高度化といった次世代放送サービスの普及に向けたロードマップの早期実現に貢献していきます。
NTTは、高精細映像の高効率圧縮技術の研究開発を通じて、放送サービスの実運用や、高精細映像伝送による様々なサービスの実現に不可欠となる高画質化・低消費電力化・低コスト化を進め、新たな映像サービスの創造と発展に貢献していきます。
NECは、注力する「社会ソリューション事業」の一領域である放送事業において、機器提供やシステム構築など、国内外で多くの実績を有しています。新製品を世界に先駆けて市場に展開することにより、放送事業のさらなる拡大を目指します。
NECグループは、「2015中期経営計画」をもとに、人が豊かに生きるための安全・安心・効率的・公平な社会の実現に向け、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進し、「社会価値創造型企業」として、社会の様々な議題解決に貢献していきます。
なお、NECは、本製品を「NEC Innovation World」(品川ショールーム)に展示しています。
http://jpn.nec.com/niw/ 【別紙】仕様(VC-8150/エンコーダ)
以上
(注1) フルHD:1,920×1,080ピクセルの順次走査映像。
(注2) 4K/60P:3,840×2,160ピクセル、毎秒60フレームの順次走査映像。
(注3) 最新の映像符号化に関する国際標準規格。ISO/IECおよびITU-Tにおいて、それぞれISO/IEC 23008-2 High Efficiency Video CodingおよびITU-T Rec. H.265として、国際標準規格化済。
(注4) 8K:7,680×4,320ピクセルの順次走査映像。
(注5) ISO/IECおよびITU-Tにおいて、それぞれISO/IEC 14496-10およびITU-T Rec. H.264として、国際標準規格化済み.ワンセグ放送やBlu-ray Discなどに採用。
(注7) プロファイル: 目的用途別に圧縮データの互換性を保つために規定された、HEVC機能群の定義。現時点で、Main10プロファイルはHEVCの最高位プロファイル。
(注8) 映像の画素精度を10bitとすることで、空などの繊細な階調変化を忠実に再可能。
(注9) SMPTE 425M で規定される3G-SDIへの信号マッピング方式。
(注10) ITU-R BT.709やITU-R BT.2020など、色再現に関する規定。
NECの映像処理技術について
本件に関するお客様からの問い合わせ先
NTTサービスイノベーション総合研究所 広報担当
TEL:046-859-2032
NEC 放送映像事業部 新事業推進部
TEL:03-3798-6366