2013年1月29日
日本電気株式会社
(図)カーボンナノホーン
NECは、カーボンナノチューブ(
注1)の一種であるカーボンナノホーンを本日から販売開始します。
カーボンナノホーンは、NECの飯島澄男特別主席研究員らのグループが1998年に発見しました。直径2~5nm(ナノメートル)、長さ40~50nmの形状をもち(図)、数千本集まり直径100nm程度の球形の集合体を形成しており、単位質量当たりの表面積が広く、分散しやすく、導電率が高いといった様々な特性を有しています。
カーボンナノホーンは、蓄電を行うキャパシタ、圧力や電力でスイッチのオンオフを行う等の機能を持たせるアクチュエータ、燃料電池等のエネルギー関連から、薬物輸送等の医療関連まで幅広い分野へ適用できる素材として期待されています。
NECは、純度95%という高純度のカーボンナノホーンを1日1kg以上量産可能な技術開発および装置の稼働実証に成功し、販売を本格化します。NECは、本素材を国内外の企業、大学、研究機関などに拡販するとともに共同で用途開拓を進めることで、今後3年間で20の企業・団体への提供を目指します。
カーボンナノホーンの特長は、次の通りです。
- 特徴的な構造と性質を有し、様々な分野での応用が可能
- 直径2~5nm、長さ40~50nmの形状をもち、数千本集まり、直径100nm程度の球形の集合体を形成。
- 単位質量当たりの表面積が広く、また、開孔した場合は約5倍の表面積となる。
- 表面積が広く、導電率が高いため、キャパシタに適用することで大容量化や、アクチュエータにおいては高い駆動力を実現。また、燃料電池への適用による高い出力を実現可能。
- 抗がん剤など薬を内包させ、患部へ直接薬を投与するドラッグデリバリーシステムのキャリアとしての応用が研究されている。
- 他の物質と融合しにくい特性を持つため、反応性の高いガスなどを内包させることが可能。
- 金属不純物を含まず、また、球状形態のため、安全なドラッグキャリアとして期待される
- カーボンナノホーンは、生成過程で金属触媒を利用しないため、金属不純物が含有されておらず、これまでの種々の動物実験や細胞実験では短期での毒性が確認されていない。
- 100nm程度の球状形態であるため、周囲にある細胞や組織に悪影響を及ぼさない安全なドラッグキャリアとして期待されている。
- 低コスト化が可能
- 室温、常圧環境下において、シンプルな方法(レーザアブレーション法、注2)で効率的に製造するため、製造方法が複雑な他のナノカーボン素材に比べ、低コストでの提供が可能。
- 1日1kg以上の量産可能な技術と装置を開発・実証し、企業や団体のニーズに迅速に対応。
NECはカーボンナノホーンの提供を通じてエネルギー分野や医療分野等の発展に貢献していきます。
なお、NECは本材料に関して、本年1月30日から2月1日に東京ビッグサイトで開催する「nano tech 2013」(
http://www.nanotechexpo.jp/)のナノテクノロジービジネス推進協議会ブースに出展予定です。
以上
(注1) カーボンナノチューブ
1991年に飯島澄男氏によって発見された炭素材料。原子5~10個分の太さ(直径)の円筒状の炭素原子の構造体。
(注2) レーザアブレーション法
グラファイトターゲット(炭素の塊)に強いCO2レーザを照射する製造方法。室温で簡単に高純度のカーボンナノホーンを製造することが可能。
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