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世界初、NECが夜間・悪天候・遠方など見えにくい映像を鮮明化する技術を開発~ パブリックセーフティを支える24時間広域監視の実現へ ~

2012年12月5日
日本電気株式会社



NECは世界で初めて、夜間、悪天候(霧・もや)時、および遠方から撮影した監視映像の視認性を向上し、24時間リアルタイムに広範囲の監視を実現する技術を開発しました。

昨今、国内外を問わず、犯罪やテロを未然に防ぐために映像監視へのニーズが急速に高まっています。不審行為を迅速に発見するには、多数のカメラを設置したり、広範囲が撮影できる望遠カメラや旋回カメラなどを用いて、都市全体を把握できる監視システムの実現が求められています。現状は、監視員の目視により映像を確認しますが、夜間・悪天候時・遠方など視認が困難な状況では、見落としが生じ発見が遅れるという課題があります。

このたび開発した24時間広域映像監視技術は、(1)視覚特徴分離型デヘイズ(注1)、(2)リアルタイム複数枚超解像技術(注2)、(3)大規模映像処理技術(注3)を組み合わせて実現しました。これらにより、従来の映像監視システムでは困難だった暗所や霧・もやなどが発生した状況下でも、より遠方の観察対象をクリアに視認できるようになるとともに、数千地点のカメラを用いた広域な映像監視を実現します。

本技術の特長は以下のとおりです。
  1. 夜間や悪天候(霧・もや)下で撮影された映像を鮮明化
    夜間などの暗所や悪天候時(霧・もや)に撮影した映像を鮮明化する、視覚特徴分離型デヘイズを開発。映像の視覚特徴を解析し、物体と背景の境目など色の変化が大きい領域と変化が小さい領域から構成される骨格成分と、細かい模様からなるテクスチャ成分に分離。骨格成分には、映像の明るさと、悪天候の影響を受けて低下したコントラストを改善する処理を実行。またテクスチャ成分には、特に暗所や悪天候時に発生するセンサノイズを抑制する処理を実行。これらにより、従来は夜間や悪天候時に見えにくかった映像の鮮明化を実現。


  2. 広域監視カメラで撮影した被写体を、リアルタイムに高解像度化
    映像中の複数フレームの画像情報を用いて、被写体の解像度向上とノイズ除去を行い視認性を向上する、リアルタイム複数枚超解像技術(realtime multiple frame super resolution:rmSR)を開発。メニーコアサーバ(注4)において並列処理を行える高速アルゴリズムを開発することで、映像中の前後数十フレームの低解像画像から高解像画像を復元する複数枚超解像の処理を、従来技術と比較して約85倍高速化(注5)。これにより、一般的なカメラと比べて解像度が低い広域監視向け広角カメラでも、撮影したばかりの映像をリアルタイムに高解像度化が可能。

さらに今回、これらの技術と、従来開発した監視カメラで撮影した映像の内容に応じて、解析処理の実行を制御する技術を組み合わせました。本制御技術は、映像中に人が映っていない時の処理を落とす、場所や時間帯によって処理頻度を調整するなどを行うことで、異常検出の精度を維持しながら解析処理量の削減を実現します。これにより少ない計算リソースで、数千台規模のカメラを用いた広域な映像解析を実現します。

NECは今後も本技術の研究を進め、防災や広域監視などのパブリックセーフティ事業の拡大に向けた映像処理・解析技術の開発に積極的に取り組んでまいります。


以上



(注1) ヘイズ(haze)とは空気中に漂う微粒子により視界が悪くなる大気現象のこと。もや。デヘイズ(dehaze)は、もやの影響により視認が低下した映像の画質を改善する画像処理のこと

(注2) 複数枚超解像とは、画像に映った小さな被写体を拡大し識別しやすくするために、動画から得られた複数枚の画像を基に解像度を向上する技術。被写体が限定されない、ノイズを抑制する効果がある、などの特徴があるが、処理負荷が高く、これまではリアルタイム処理が困難だった(注5参照)

(注3) 2012年9月4日発表。
従来比3倍の広域な監視エリアに映像解析を適用できる大規模映像処理技術を開発
 http://jpn.nec.com/press/201209/20120904_01.html

(注4) Intel(R) Xeon Phi(TM)コプロセッサーを2つ搭載したサーバExpress5800/HR120a-1を使用。

(注5) 2010年11月10日発表技術との比較。
動く被写体の高精細さを復元できる複数枚超解像技術を開発
http://www.nec.co.jp/press/ja/1011/1007.html

* インテルおよびXeonは、米国およびその他におけるインテルコーポレーション、および子会社の登録商標または商標。


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