NEC、イタリア大手電力会社から欧州最大クラスの大容量リチウムイオン蓄電システムを受注

NECは、イタリア大手電力会社ENEL SpAの関連会社であるENEL Distribuzione社（エネル ディストリビュゾーネ社：以下ENEL、注1）から、次世代スマートグリッドに向けた実証実験用のリチウムイオン蓄電システムを受注しました。本システムは、リチウムイオン電池を用いた蓄電システムとして欧州最大クラスとなる出力2MW、容量2MWhを実現するものです。

本蓄電システムは、気象状況の影響を受けやすい風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの発電量の変動による電力系統への影響を、蓄電システムによって吸収し、電力品質を安定化させる実証実験に利用されます。
このたび受注した蓄電システムは、ENELが実証実験を予定しているイタリア カラブリア州キアラバッレ変電所に設置される予定です。

ENELは、本実証実験により、発電量と電力消費の不均衡を低減し電力系統のエネルギー損失を最小化することで、イタリアの配電網における再生可能エネルギーの流れの最適化について有効性を検証します。

NECの國尾執行役員常務は、「ENELに蓄電システムを提供することは、欧州における事業拡大の大きな一歩です。NECは、今後も電力系統や配電網向けに利用可能な大型蓄電システム事業を展開し、欧州の電力事業者をサポートしていきます。」と述べています。

NECヨーロッパ スマートグリッドソリューション バイスプレジデントの Ugo Govigliは、「NECがENELに高品質な蓄電システムを供給することは、非常に重要な成果です。NECは、EMEA(欧州、中東、アフリカ地域)における蓄電システムビジネスの拡大に向けたキーカントリーであるイタリアで、ENELのような産業リーダーに蓄電システムを供給することで、世界における蓄電システム提供をさらに革新的に進めていきます。」とも述べています。

IEAエネルギー技術展望2012のレポートでは、蓄電システムは、柔軟な電力システムの実現や、エネルギー効率が高くコスト効率の良いエネルギー市場の発展に向けた重要な技術と報告しています。また、2011年には、グローバル太陽光発電量のうち、欧州での発電が75%を占めており、中でもイタリアの昨年の太陽光発電量は、世界トップクラスとなる9.3GWと、欧州最大となっています。

昨年、NECは、イタリア現地法人であるNECイタリア社にコンピテンスセンターを設置し、中核拠点としてENELが推進する実証実験プロジェクトなどスマートエネルギー事業に取り組んでいます。また、イタリアの経済開発省と、イタリア国内で蓄電システムの生産や、インテリジェントな電力ネットワークの先進的なコンポーネントを開発する可能性の調査を目的とする同意書も交わしました。
さらに、NECは、スマートエネルギー事業のグローバルな拡大に向けて、2011年4月に、ENELと蓄電システムを中心とした先進的かつ効率的なソリューションを開発することで、戦略的提携関係を構築しました。（注2）

このたびのENELへの高品質な蓄電システムの供給は、今後NECが電力系統や配電網向けに利用可能な大型蓄電システム事業を、欧州市場に展開するための第一歩です。

NECは、リチウムイオン電池とICTの両方の技術を有する数少ないメーカーです。これらの技術を組み合わせることで、電力系統や大規模工場から家庭まで利用可能な蓄電システムや、効率的な電力管理システムなどの開発を可能にします。
今後もNECは、蓄電システムをはじめ、スマートエネルギー事業をグローバルに展開してまいります。