Webを活用した通信ネットワーク管理システムの構築
〜事務系イントラと監視制御系のセキュアな連係〜
(PDF文書,1,279KB)


1. 背景と目的
東北電力鰍ナは,新潟県を含む東北7県のお客様宅へ電気を安全に且つ安定して送り届け続けるため,電力系統の保護制御や運転監視等を主目的とした情報を伝達するマイクロ波無線通信や光ファイバ通信などの自営通信ネットワークを有している。この通信ネットワークを効率良く維持管理するための管理システム(愛称:TOTEM「トーテム」)を昭和56年より開発・導入している。
今般,旧システムの老朽化とIP系の監視要求に対応するため本店ビルの移転にあわせて平成14年にシステムを再々構築した。再々構築にあたっては次のような問題点をクリアし,システムのコスト低減・スリム化の実現を目指した。
@ システムは9情報通信センター毎の分散構成。(平成3年に再構築)
A 全ての機能・処理が定型ルールによって完結した印刷出力方式。
B そのため拡張性・汎用性に弱く組織や業務ルールの変更都度,プログラム修正・試験といったメンテナンスが全ホスト,全端末に必要だった。

2. 概 要
TOTEMは,通信ネットワークに発生した故障の主原因と停止範囲を求め保守・運用者に提供する監視機能と,通信回線のA/Bルートを遠隔制御で切替え,故障の早期復旧と安定な運転維持を支援する監視制御システム(リアルタイム系)である。また,設備の型式・容量などの諸元データ,故障・作業などの保全データ,回線停止時間などの信頼度データ(バッチ系)も有する総合管理システムである。
       ・ 通信設備の設置箇所数  2,300ヶ所
       ・ 通信設備数      58,000台
       ・ 通信回線数      16,000回線
       ・ 監視警報点数    101,000点 

3. キーポイント
(1) 監視制御システムにIP通信,Webを採用
・ 旧システムは全て手作りで,通信プロトコルも業界独自のCDT方式(サイクリック伝送)であったものを,一般的なIP,x.25を採用し,システムを二重化集中構成にして開発期間の短縮とコストの削減を図った。
・ 端末インタフェースにはWebを採用しExpressサーバ,NX7000,CX5000等異なるホストへのHMI(Human Machine Interface)統合化と端末内のプログラム保有を極小に抑えた。
(2) 事務系イントラ端末からアクセスが可能
・ 通信ネットワークの保守・運用業務プロセスを見直し,定型処理はリアルタイム系の監視制御機能に限定した。バッチ系業務は事務系イントラ端末のOA機能でも対応可能なことから,新システムではデータの整理程度に留め,保有しているデータは原則全て開放し利用者が自席のイントラ端末で自由に処理・加工できる構成とした。システムに対するDBデータの投入もイントラ端末から可能とし,監視制御専用端末を削減した。
(3) 現在,過去,将来のデータをもつデータベース
・ 旧システムはリアルタイム系が当日のデータのみで稼動し,バッチ系は履歴(過去)データのみを対象としていたが,新システムでは日毎単位の変化分のデータを現在,過去,将来と持った。これにより日にち単位の設備構成・回線構成が確認でき,故障ならびに作業による影響範囲の精度向上と作業の効率化が図れた。
(4) パッケージソフトの採用(ESMPROをシステム本体の運用管理に採用)
・ ホスト,端末ならびにシステムを構成しているネットワークの運用管理にESMPROを採用し,運用管理機能のコストを抑えた。各ESMPROコンポーネントが収集した情報は,システム管理者の端末で一括確認できる。

4. 評 価
IP,Webを採用することで開発期間の短縮が図れ,現地工事約40日でシステムの切替が出来た。新システムは運用開始後,一日数万件程度の警報状変でも異常なく稼動している。
また,HMIのWeb化は,使い慣れているイントラ端末と操作が同じなので利用者の操作ミスを少なくできるとともに,表示方式に視覚的な効果を加えることによって認知度がアップした。この点は業務の効率化に加え新システムに対する取扱い等の教育訓練の簡素化にも寄与している。さらに工事保守担当者が自席のイントラ端末から担当設備・ネットワークの構成状態,運転状態(故障/作業状況など。ただし制御を除く)を把握でき,より迅速な業務処理が可能となった。
監視制御システムへのIP採用と事務系イントラとの融合は,信頼性を含めてまだ不透明な部分が残されている。今回,二重化構成とIPの速度に余裕をもたせることで融合を実現させたが,今後もIPの適用枠を更に拡大するなど考慮し確認していく予定である。