受注生産型製造業に適用する生産管理システムの構築
(PDF文書,924KB)


1.背景・目的
日本車両製造(株)及び関連グループ会社では「IT化」のキーワードをもとに全社的な活動を展開しているが、個別受注生産である鉄道車両本部でも業界を取り巻く環境の変化に伴い、生産管理業務の効率化を求めるニーズが高くなっていた。また、従来より稼動していた基幹系生産管理システムのハード老朽化を契機として、システム全体の再構築に着手した。
今回は部品加工ラインを中心とした生産管理をターゲットとしており、「工数低減」「製作リードタイム短縮」「管理精度向上」「品質向上」等を効果として期待している。

2.システム概要
機能構成
・部品管理−電子データによる部品及び作業工程の管理
・日程計画−山積み及び平準化による作業優先度の算出
・作業指示−工程ごとの作業優先順にもとづいた作業指示
・実績収集−作業の着手完了報告及び出来高管理
・工数集計−作業者・作業日・工程・部品単位ごとの発生工数実績
機器構成
・基幹サーバ NEC UP4800/770AD(UX4800 R13.5)
・分散サーバ NEC Express120Lf,PC-NX MA20S(Win2000Pro)
・タッチパネル式現場端末 AVIO FMT-N30(WinCE3.0) 62台
・無線アクセスポイント PROXIM RangeLan APU 9台
・クライアントPC 65台
その他
・DBMS Oracle7.3.4.5.0
・開発言語 VisualBasic6.0,PL/SQL,IDLU

3.キーポイント
1)部品加工図を図象及び文字情報に分けての管理
CADにて部品加工図を作図する際、図象と文字情報を切り分けて管理する。両者をもとにイメージ変換したデータ(.tiff)に作業工程及びコメント等を付加して製造現場に配布する。

2)部品、工程及び納期情報をもとにした日程計画
多岐にわたる製品、工程及び納期を有機的に繋ぎ合わせた情報をもとに作業順位のスケジューリングを展開する。パッケージソフトASPROVAを一部機能として採用している。

3)製造現場への作業指示及びリアルタイムな実績収集
日程計画にもとづいた的確な作業指示を可能とする。また、部品出来高の報告を兼ねた着手完了報告をおこない、リアルタイムな工程進捗状況の把握及び発生工数実績を算出する。

4.プロジェクト推移
2001年1月〜 要件定義
2001年8月〜 設計及び製造
2002年6月〜 順次機能別運用開始
2003年2月  全機能稼動

5.評価
1)業務面
・品揃えや部品集めなどの間接業務、段取り等の直接工が行う準備作業を約3/4に低減。
・部品製作リードタイムを全部品平均で従来の2/3に短縮。
・個人単位の工数管理(従来はグループ単位)を行うことで作業者工数意識が向上。
・作業上の品質ポイントや過去の不具合を作業時に確認することで品質が向上。
・作業状況をリアルタイムに確認することで工程遅れ等の早期発見及び対策が可能。
・部品加工図の電子データ化による原紙のペーパレス化及び情報伝達速度の向上。

今回は部品加工を中心とした業務範囲への適用を試みたが、材料手配業務を担う既存システムとの連携、また下流の組立工程を含む一貫した車両生産工程にシステムを適用することで今後一層の生産性向上に努める必要がある。

2)システム面
多くの機能について既存技術を適用したが、スケジューリングにおけるパッケージソフトとの連携、現場端末に対するタッチパネル及び無線LANの採用は今後のシステム開発に有用なノウハウを蓄積することができた。
部品管理機能ではCAD技術との融合及び部品加工図のイメージ化に取り組んだこともあり、ツールの選定及び技術的な検証に多くの時間を費やしたのが実状である。今回に限らず、開発環境の急速な変化への対応は大きな課題であるといえる。