パッケージソフト導入によるグループ会計・給与業務の改革
(PDF文書,840KB)


1.ERP導入の目的

 一村産業グループは一村産業梶i繊維事業と化成品事業を主とする商社)と、関係会社である丸一繊維梶i紡績)、東和織物梶E丸和織物梶i織布)、優水化成工業梶i化成品)、且O交社(保険代理)で構成されている。
一村産業グループ各社が利用していた経理システムは、自社開発したシステムであり構築後約30年が経過し、かつ各社個別の仕様で作成されていた。そのため、ドキュメントの不備や、システム・経理業務担当者の交替などでシステム保全の限界にあるため新システムを再構築する時期にきていた。
一方、グループ連結決算・税効果会計・キャッシュフロー会計などの会計制度の変更や国際会計基準への準拠が求められることと、今後更に高まる決算処理と月次処理日程のスピードアップに対応するために、企業グループとして統一した経理システムを導入することが必要となった。
そこで、新システムの構築は従来からの自社開発方式を避け、開発費用と作業効率を考慮して、会計・給与・固定資産の各システム、およびグループ連結決算などを含めたERPパッケージを導入することにした。

2.ERP導入プロジェクトの概要

 H12年年初からERPパッケージ調査を始め、ERPベンダ数社を対象に、グループ内各社の主要メンバーによるパッケージの評価・選定作業を行い、経理パッケージは「Protean」、連結決算パッケージは「DIVA」、人事・給与パッケージは「Explanner」を採用することを9月に決定した。
H12年4月の方針決定後、本プロジェクトをH12年7月に発足し、導入スケジュールとしてグループ全体を一挙に移行することによるリスクを回避するために、業種別に3つのステップで段階的に移行することとした。すなわち、初年度は第1ステップとして織布2社、翌年度の第2ステップは織布以外の関係会社に適用し、最終年度は第3ステップとして一村産業経理の再構築と一村産業グループ連結決算を導入した。
H15年3月現在、ほぼ当初のスケジュール通り新システムの再構築を完了した。

3.キーポイント

(1)ERP導入プロジェクトマネジメント
プロジェクト推進にあたり、ERP導入推進室・仕様まとめチーム・ソフト開発チームなどの導入プロジェクト体制を作った。この体制で利用部署の実務担当者と専任事務局による定期的な検討会を開催し、プロジェクト会議・ソフト開発会議・グループ経理標準化分科会議などの運営で作業進捗を管理した。また、利用者への事前トレーニングと、安定稼働に向けての事後フォローを徹底するとともに、グループウェア(StarOffice)を利用してドキュメント類の情報を共有することができた。その結果、専門技術を有するNECメンバーの支援もあり、移行期間が長引くことなくProtean導入を円滑に推進することができた。

(2)グループ経理業務の標準化推進
 H15年3月現在、20回におよぶグループ経理標準化分科会で、勘定科目・セグメント・部門組織についてコード体系を統一し、仕訳処理・原価計算方式は共通方式を採用することにした。また、伝票・依頼書・出力帳票の様式は標準化したものを使用することとし、さらには支払日を集約するとともに月次決算日程を統一するなど、多数の事項を標準化・統一化し経理事務処理およびシステム運用の効率化を図った。

(3)技術的特徴
新システムの構成として、経理システムのサーバはExpress5800を3台使用し、OSはWindowsNT4.0、データベースはOracle8.0とした。連結決算システムのサーバはExpress5800を1台使用し、OSはWindows4.0、データベースはOracle8.1とした。人事・給与システムのサーバはExpress5800を1台使用し、OSはWindows2000、データベースはOracle8.1とした。
また、経理や人事・給与といった機密性が必要とされるデータを扱うため、セキュリティの設定には特に留意した。

4.評価
利用者からの意見を集約した結果では、自動仕訳・ファームバンキングへの自動データ連携などで、データ入力の省力化・正確性の向上が実現し、入力作業を平準化することでデータ入力が早まり月次処理を早期化することができた。また、ユーザ各社自身で運用するため必要なタイミングで帳票出力やデータ検索が可能となり、業務の効率化につながったという具体的な効果・意見が出ており高い評価を得た。
このように、新システムへ移行した結果、経理処理や出力帳票などグループ経理業務の標準化・月次処理や連結決算業務のスピードアップが実現された。また、手計算企業2社のシステム化・新システムの運用に必要とするドキュメント類の整備、ならびに各社での自己完結的な運用体制が確立されたことにより、一村産業のシステム保全・運用作業を軽減することができ、その工数を業務支援に振り向けることができた。
今後の課題としては、蓄積データの有効活用による計数分析の充実と、出力帳票の削減と電子帳票保存の案件などを推進している。