コラボレーション基盤一新
全社員をマツダ革新のリーダーに

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1. 背景と目的
近年の自動車業界の世界的環境変化を受けて、マツダ株式会社は事業を再構築し将来の成長のための中期計画(ミレニアムプラン)を推進中である。技術進歩の速さ、人員削減等の劇的な環境変化からITの積極的活用が必然となり、「業務プロセス効率の最大化」、すなわち、スピーディなコミュニケーションと積極的な情報共有・活用におけるIT活用は、企業のファンダメンタルとして全社をあげて最優先で取組むべき課題として推進されることとなった。
一方、我々ITソリューション本部においても、PCやメールを中心に拡大するコラボレーション環境の利便性向上、新サービス提供を進めてきていたが、負荷増に対しシステム的な限界が顕在化してきたこと、セキュリティを含めたシステム適正利用の必要性が高まってきたこと、将来的には各業務アプリケーションシステムとのシームレスな連携が必要である、との認識から、コラボレーション環境の全社レベルでの抜本的な変革を進めようとしていた。
これらを受け、よりスピーディ、効率的かつ創造的な業務への変革を促進し、オフィススタッフのナレッジレベルを向上させるビジネス活動基盤を構築する「Enterprise Enablerプロジェクト(以下、EEプロ)」が発足、2001年5月より活動を開始した。本プロジェクトは、その発足後行われた全社員参加の教育プログラム(中期計画の大きな柱の一つで社員の意識改革が目的)の中で紹介され、全社員に対しコミットする形となったため、規模と比較し超短期開発が想定され、これまでのアプローチでは到底実現できない挑戦的なシステム化となった。

2. システム概要
構築するシステムは簡単に言ってしまえば「コラボレーションシステム」である。しかし、メールがないと仕事にならないといわれるようになった昨今、コラボレーションシステムは仮想的なワークプレースとしてビジネス活動になくてはならないものになっている。メール、スケジュール共有、掲示板、チャットや文書共有、検索機能などが主な機能となる。また、これらが全社レベルで適正に利用されるようにユーザ管理を中心とした人事DBと連携した「ディレクトリシステム」の構築も必要となった。さらに、本システム化では一度に多くの機能をリリースするため、短期の利用教育を可能とする「e-Learningシステム」を構築することにした。
これら3つの主要システムはコラボレーション領域のみに限定されるものではなく、アプリケーションシステムでの利用や連携も視野に入れ、将来のシステム基盤となるよう設計することも重要なポイントであった。
システム構成要素については、コラボレーションのベースとして「Microsoft Exchange 2000」、文書共有や検索機能に「Microsoft SharePoint Portal Server」を採用した。ディレクトリシステムとしては、ユーザを一元管理するDBを「Oracle8i」で、その配下に、Windows Network用の「Active Directory」、Webシステムのシングルサインオンを実現するため、「iPlanet Directory Server」及び「Netegrity SiteMinder」を採用した。E-Learningシステムとしては「Lotus Learning Space」を採用した。

3. キーポイント
ワークプレースに求められる最も重要なことは、「いつでも思った通りに使える」ことである。システム的には「高可用性」、「レスポンス保証」が求められる。可用性については、Microsoft Clustering Service、NEC CLUSTERPRO等を採用し機器の冗長化をはかっている。また、統合ストレージEMC Symmetrixのトリプルミラー機能を使って、ほぼ無停止のバックアップを実現し、いわゆる「24時間365日」運用としている。レスポンス保証については、高速機NEC Express5800/140Ra-4とSymmetrixを組合せ、負荷ツールを用いて実測し、サーバ台当りの利用可能ユーザ数を決定した。また、運用時においては、NetIQのAppManagerを用いて性能を監視している。
ディレクトリシステムにおいては、ユーザ指向の運用サービスを実現するため、まず、ユーザ管理DBを上位に構築し、人事DBからの変更を反映するバッチシステム、社外協力者等のユーザ申請用ワークフローシステムからの情報を取り込むようにした。次に、これらの情報を管理DBからActive Directory、iPlanet Directoryに自動的に反映する仕組みを構築し、ユーザの一元管理を実現した。
また、NTドメイン、SMTPシステム等既存環境からの移行においても、sidHistoryの活用、SMTPからの移行ツールを開発するなど、10,000人を超える利用者の短期でのスムースな移行を実現した。

4. 計画
パッケージを全面的に採用し、実績あるパートナ(NEC殿)とともに推進することで、短期開発を実現した。
2001年5月〜 EEプロ発足/開発着手
10月〜 E-Learning利用開始(EEプロ先行教育)
11月〜 Active Directory/Exchangeトライアル展開
2002年1〜6月 同上全社展開(約10,000人、1,500台以上/月)

5. 評価
本システムは2002年1月より全社への本格展開を開始した。展開は順調に推移、利用者数は増加しているが、システムは安定稼動している(2002年3月時点)。今後は、ディレクトリシステムを用いた認証機能の一元化、アクセス制御機能を実現した情報共有機能をリリース予定、また、その後の拡張も計画化されており、将来のシステム基盤との位置付けに成功したと考えている。
最後に、本システム化は全社の共通サービスということで、各部門のユーザにとってお仕着せという印象があったのは事実で、プロジェクトの進め方を含め反省する点は多い。今後は各部門からの意見を取り込み、ユーザ指向の「使いやすい、使える」システムに成長させていきたいと思う。