IT活用による在庫削減とローコストオペレーションの実現
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1.背景と目的
当社は、佐賀に本社を置く和洋紙・文具・事務器・園芸資材等の卸売業で、北部九州を中心に九州一円を商圏として福岡、長崎に支社を展開している。
20年程前に売上管理、仕入管理を対象にシステムを構築し現在に至っている。
地域卸売業界は、長引く景気低迷の中で、大型小売店の相次ぐ破綻や大手量販店からの価格低減要請、多頻度小口納品対応、大手卸売・メーカとの競合等、厳しさを増す事業環境の中にあり、当社においても急変する事業環境に対応すると同時に経営体質の強化を図る必要が出てきていた。
そこで今回、以下の点を重要な経営課題として捉え、システムの再構築とあわせて業務プロセスの抜本的な再構築をテーマに、全社を挙げて業務改善活動に取り組んだ。
1) 事務作業効率の大幅な向上
2) 利益管理機能の強化
3) 大幅な在庫削減
・在庫管理精度の向上
・発注管理強化・効率化
・入出荷管理強化

2.システム概要
本システムは、以下の特徴をもつ卸業向パッケージソフトを採用し、弊社向けにカスタマイズを行った。
1) 発注品、直送品管理等実際の業務の流れにマッチした販売管理システム
2) データ一元管理(利益把握、ミス発生防止)
3) コンピュータ世界標準プラットフォーム採用(Windows、SQL Server等)
全体のシステム化範囲は、大きく以下の4項目になる。
1.販売管理(EOS、自動FAX含む)
2.見積支援
3. 日報管理(件名管理含む)
4. DWH
HW構成としては、本社に基幹APサーバ、基幹DBサーバ、ターミナルサーバ(モバイル端末、支社接続)、DWHサーバの4サーバ、福岡支社、長崎支社に基幹サーバ(AP+DB)を各1式配置し、相互に在庫・売上データが参照可能になっている。
クライアントパソコンは本番前に事務職のほぼ全員※(約120台)に配布し、システム切替に対するモチベーションの向上とデータ活用スキルの向上を図った。
※社内事務職はデスクトップ、営業職はモバイルノート(PHSカード付加)

3.キーポイント
3.1 徹底した現状業務分析
システム導入決定後、最初の作業としてソフト会社と共に各部門の業務プロセス調査を細部にわたり行った。各部門の課題や業務の非効率な部分を洗い出すことで、プロジェクト発足と同時にメンバー全員が共通の課題認識を持てるように環境を整えた。
3.2 全社プロジェクトとしての取り組み
課題や問題点が把握できた時点で全社プロジェクトを発足。各部門から約40名のリーダを選出し、共通の課題認識の中で積極的にシステム改善に取り組んでもらうための体制を構築した。
3.3 パッケージを基にした業務改善の実施
今回のプロジェクトでは、現行業務の課題に対する改善案をパッケージ機能をモデルに提示することで、パッケージ導入の効果をメンバー全員に認識してもらうことができた。また改善ポイントや改善イメージを具体的に掴むことができたため、作業の効率化も図られた。

4.計画
本システム構築は以下のスケジュールで進めて行った。
1)各部門毎の現状業務確認、システム仕様検討(2000年1月〜4月)
2)システム検討・推進プロジェクト発足(2000年5月)
3)システム概要設計(2000年5月〜2000年8月)
4)システム詳細設計、製造(2000年9月〜2001年2月)
5)総合テスト・運用教育(2001年3月〜2001年4月)
4) システム本番稼働(2001年5月1日)

5.評価
本システム本番稼働後約3ヶ月は、運用形態変更に伴う仕入部門の作業増やマスタデータの不整合などで一時は混乱したものの、稼動後6ヶ月で当初の目的を達成し、以下の効果を上げることができた。
1) 受注業務の大幅な効率化
→大幅な人員削減(49名→37名へ)
例)
・ 在庫参照による受注・発注登録。
・ 受注登録に基づく仕入先への発注データ登録と自動FAXによる発注
・ モバイル端末利用による社外からの在庫参照・受注登録
2) 大幅な在庫削減(大幅なキャッシュフロー改善)
→大幅な在庫金額削減(55%減)
→倉庫管理費用削減(賃貸料、人件費、保険料)
例)
・ 受注登録と合わせた発注による在庫責任の明確化
・ 在庫管理精度向上による余剰在庫、不良在庫の削減
・ 適正在庫の設定
3) 利益率の向上
・ 受注単位の利益管理
・ 仕入先請求データの効率的なチェックとデータに基づく価格折衝
・ リアルタイムな経営情報提供によるスピーディな経営判断
以上が主な効果であるが、今後は更なる効率化と合わせて、より一層の顧客満足度向上を目標にDWHを活用したマーチャンダイジング機能の強化や営業支援機能の充実、インターネット技術を駆使した受発注処理の強化等に取り組んで行きたい。