会社合併時におけるHUBシステムの構築
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a)目的
住友海上火災保険(株)と三井海上火災保険(株)は、2001年10月の合併に向けて、2000年4月からシステム統合の協議を開始した。
両社は同業かつ同規模の損害保険会社ではあったが、ホストコンピュータはACOS6とIBMで大きく異なり、また契約データベース構造や契約事務処理にはかなりの相違があった。システム統合は合併の重要な命題のひとつであったため、ホストコンピュータを最終的にはIBMに統合することになったが、契約データベースを一度に移行することが困難であったため、合併後順次移行していく方針とした。
このため、合併後も両ホストに契約データが残ることで、社内、代理店のシステム利用者はACOS、IBM双方のホストシステムを使い分ける必要があり、事務処理の混乱による販売活動への影響が懸念された。
この課題を解決するため、契約照会、保険料試算、契約申込書作成、契約入力などの基幹業務系オンラインシステムを将来性のあるWeb技術を活用して再構築することとした。システム構築にあたっての要件は次のとおり。
・契約データあるいは業務アプリケーションが存在するホストを意識させないこと。
・ユーザーインターフェースを統一し操作性を向上させること。
・カットオーバーの期限厳守すること。
・最新Web技術を採用し、24時間稼働を前提とした社内外のシステムとの連携利用可能な基幹業務システムとすること。
・代理店4万店、社内1万7千人の大規模Webシステムとして堅牢かつ高レスポンスなシステム基盤を構築すること。

b)概要
本システムは、ACOS6ホスト、IBMホスト、および最も利用頻度の高い最新契約データならびに両社合併に際し再構築した顧客の世帯名寄せシステムを保管する統合顧客管理サーバをそれぞれ連携利用するために必要なサーバ群(Webサーバ、APサーバ、DBサーバ合計14台)で構成される。
Webサーバはセキュリティの関係で代理店用と社内用にセグメント分割配置したが、APサーバとDBサーバは効率的な運用を狙いとし共有化した。代理店サービス向けのインターネットファイアウォールは2段構成としたDMZを構築した。APサーバ、Webサーバはクラスタ構成、DBサーバは待機系による2重化構成とした。APサーバの基盤ソフトウエアにはNEC社のWebOTXを採用した。

c)キーポイント
・Webテクノロジーによる異機種・基幹システムの統合
ACOS6とはOLF−TP、IBMはMQ、統合顧客DBとはJDBCで接続し各機器に分散されたデータをその運用時間と業務分担に応じ自在にハンドリングできるようにした。画面はDBの所在に関係なく、極力共通化しブラウザで操作するために、JavaにてAP開発を行った。
・システム開発の工夫
カットオーバーの期限厳守のため、保険料計算機能など既存ホスト資産を徹底的に活用した。また、Web・AP自動生成ツールの開発などで、開発期間を圧縮するとともにAP品質の向上をはかった。
・代理店3.3万店、社内1.7万名の大規模24時間無停止のオープン・ミッション・クリティカルシステム
処理性能面では当初設計目標を60件/秒に設定。
処理量、ユーザー増、新規サービスリリース等に応じ柔軟にシステム構成・業務APの拡張が可能なシステム構成とした。10月のカットオーバー後、12月の業務量ピーク対応のため、Webサーバ、APサーバの追加をほぼ業務停止せず実施することができた。
システム全体の停止を回避するため、Web、APサーバはクラスタ構成、DBサーバは待機系による2重化構成、データストレージは無停止バックアップのため3重化構成とし、業務アプリケーションはマルチプロセスマルチスレッド構成とすることで、障害時のサービス停止の極小化を図った。

d)評 価
・2001年10月の新会社発足時点において、社内・代理店に対し統一画面操作による基幹業務システムの統合を実現した。当初レスポンス改善と代理店固有環境に起因する障害対応に追われたが、業務全体の停止に至る障害はなく、稼働後約3週間で安定稼働できる目処をつけた。
・代理店による保険料試算、申込書作成、契約入力は会社施策に応じ順調に利用が進んでおり、営業現場における販売効率化がはかられている。現状での最大TRX件数約123万件/日、最大スループット36件/秒(3月25日)。
・さらに、最新Web技術を本格的に採用したため、24時間稼働を前提とした社内外のシステムとの連携利用も可能なシステム基盤が構築できたことで、今後システム開発の重複投資の軽減が期待され、システム統合作業のなかでも特に成功した事例である。