IP-VPNを利用した音声データ統合網構築
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【要旨】

1、目的と背景
現状、住友重機械の社内ネットワークは
●拠点数約90(9工場、本社、支社、その他営業所など)、端末数約7000台、内線電話数約8000台のネットワークである。
●拠点間を、主にNTT専用線(DAまたはHSD)で接続している。
●基幹機器としてTDMを利用し音声とデータを完全に分離している。
●またTDMの両端にPBX,ルータを接続し内線電話網と外線専公システム、及びデータネットワークを構築している。
●このネットワーク上で音声系、情報系、業務系、技術系などすべての処理が稼動している。
という特徴をもった旧来型ネットワークである。

このネットワークの問題点として
●全局について、PBX,TDMといった基幹機器が老朽化している。
●社内オンラインシステムのレスポンスが悪化している。
●電話、データともに運用コストが大きい。
●今後予測される拠点の増加やデータ量増加などに対処しにくい。
●中継局がトラブルの場合、主要拠点間の通信が不通になる。
などがあげられる。

そこで、今回の新ネットワークでは、
●こうした問題点の解消
●グループ全体のネットワークコスト削減
●社内SLMの向上
などを目的とし、ATM方式などいくつかの主要な方式を検討した結果、Voice over IPとIP−VPNを採用し、ネットワークを再構築した。

2、システム概要
本システムは、
●IP−VPNサービスを採用している。
●伝送路の機器構成は、ルータが中心である。
●音声系システムはVoice over IPを使用している。
●外線はPRISMの付加サービス(IP電話)を使用している。
●IP以外の主要プロトコルはIP変換を行うことにより、アプリケーションは一切の修正をしない。
●網で提供される予定のさまざまな先進的付加サービスを利用することが可能である。

という特徴をもった最新の音声データ統合網である。
機器構成、トポロジともにシンプルなネットワークで、現状の問題点解消のほか、将来性として
●網の柔軟な拡張性
●通信世界の多様な変化への対応性
●各種ASP事業への発展可能性
も兼ね備えている。

3、キーポイント
本システムでは、通信世界の現状と今後の発展を熟慮し最新方式であるがゆえ実績が少いなか、実験と考察を繰り返し、技術的問題点と直面、クリアしながら、結果として今回の形態を採用するに至った。
本システムのキーポイントを要約すると以下のようになる。
●最新サービスであるIP−VPN採用の考え方
●音質、FAXの品質など音声系システムの安定性の確保
●既存ネットワークシステムとの親和性・共存性

4、計画
本システムへの移行にあたっての計画は、
●日常業務への影響を極力低く抑える。
●技術的問題点が本当にクリアされているのか実証実験を行う。
ことに留意しながら慎重に進めた。

(1)実験テストフェーズ:平成11年8月〜平成12年5月
(2)方式採用・意思決定フェーズ:平成12年6月〜平成12年12月
(3)移行フェーズ
●第1次移行:平成13年1月
●第2次移行:平成13年2月
●第3次移行:平成13年4月
●最終移行 :平成13年5月

5、評価
(1)データ系ネットワーク
本システムは移行完了後の5月末時点でオンラインシステムのレスポンスは飛躍的にアップしたうえ安定稼動している。
(2)音声系ネットワーク
同じく5月末時点で、一部のFAXでトラブルがあったものの全般的には良好な結果
である
(ほとんどの社員は移行に気づいていない。トラブルについてもメーカー対応にて改修予定)
(3)運用費は、現在のところ年間概略1億円程度の削減が図れる見込みである。

6、その他
定性効果・定常効果を確認すると同時に、IP統合化や付加サービスをフル活用しさらなる発展可能性を模索・創造し提案していく。