顧客希望納期の実現と流通コストの削減を目指して
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【要旨】

1.目的と背景
YKK(株)ファスニング事業部の主辰事業であるファスナー事業は、国内に於ける40社の代理店を経由して最終顧客であるアパレル・鞄・靴及びその他産業にファスナーを販売し、国内での9割強の市場占有率をもっている。また、海外58ヶ国に営業・製造拠点を展開している。が、近年、少子化、高齢化、グローバル化に伴う国内縫製産業の海外縫製化により、対象となる市場の縮小という問題を抱えていた。また、前述した如く海外展開したことにより、海外グループ会社との価格・納期での競争という問題にも直面した。更に、国内縫製産業自身の改革を目指したQR(Quick Response)・SPA(Speciality storeretailer of private label apparel)という動きも大きくなり、従来の仕事の仕方及びシステムを変革することが必要となってきた。これ等の問題を解決するために物流の面に重点を置き、顧客の希望する納期を達成する「絶対納期の確立」及びYKKと代理店との間でBtoBを実現することでYKKと代理店の「トータル販売費の削減」を目的としてシステムを構築した。

2.システム概要
旧来での各々の製造部門・営業部門の独算制により、当社の業績が順調に伸びてきたことは事実ではあるが、最近の子女言うの変化及びグループに占める日本の役割の変化に応じてシステムの改革も必須のものとなってきていた。初めはNEC・NCR・IBMと各々の部門がホストを所有して、各々が独自のシステムを構築してきていた。これを90年代前半にNECにホストは集約したが、システムをそのまま単純コンバートした態であり、またホストもPX7800・AX7300・ACOS3600・ACOS3500とそれぞれのシステム規模に即したものを保有していた。これを今回のシステム再構築を機会に、全てのシステムをUNIXオープン系のNX7000に集約することとした。また、代理店とのネットワーク連携にはNTTコミュニケーションズの提供するフレームリレー網・ArcStar21を採用した。また、当社は材料部門から最終ファスナー製品までの一環工場として稼動しているが、今回は主要最終ファスナー製品の受注から発注までをシステム範囲とし、それ以外は二次・三次と分けて開発することとした。

3.キーポイント
汎用機でのCOBOLによる開発から、オープンシステムへの移行を決断した。データベースにOracleを選択したことから、同社のDeveioperを主要開発ツールとして採用した。代理店への納期回答をリアルに、なおかつ5秒以内(アクセス回線64Kbps)という目標を掲げてシステム開発を行ったが、初期バージョンでは15秒も掛かり、その改善版を次にリリースしたが、これも7秒と目標に達成せず、データベース構造やプログラムロジックの見直しを行った結果第三次リリース版で、目標の5秒以内を達成している。また、今回のシステムのキーポイントの一つは代理店があたかも自分のシステムの如く操作して納期を決定し、直接製造現場とつなげていくというとのことでの、代理店の担当者の教育に力を入れると共に、従来、営業と業務で行われていた数々のチェックをシステムの中に取り入れ、かつ、代理店担当者が操作しやすい環境を構築したことである。

4.計画
このGLORY (Global Logistics Organization Re-engineering of YKK)システムの構築は1997年に計画され、実際には1998年6月から開始された。製造業務の考え方を従来のプッシュ型からプル型へ変革するために、現場意識の改革、製造設備の開発・設置、ストア管理方式の採用、代理店との協働による運用教育並び関係部門要員の教育をそれぞれ、YKKの製品製造部門、部品材料製造部門、繊維及び金属材料製造部門そして周辺サブシステムと分けて開発することとした。当社の保有するプログラムの相ステップ数が400万ステップ強と膨大なものであり、第一次として260万ステップを対象として(実際は重複業務等があり140万ステップ相当となった)構築をした。その後の計画は以下の通りである。
(1)一次開発 1998年6月から2001年1月
        ファスナー製品主要3部門における
        発注・受注・納期回答・生産管理・在庫管理・出荷管理
        及び各種統計データシステム

(2)二次開発 2000年7月から2002年1月
        部品材料部門・金属材料部門における
        納期回答・生産管理・在庫管理・出荷管理
        及び各種統計データシステム
        周辺サブシステム(外注管理・貿易EDI・売掛管理)
(3)三次開発(最終開発) 2001年9月から2003年1月
        繊維材料部門・繊維&樹脂製品部門における
        納期回答・生産管理・在庫管理・出荷管理
        及び各種統計データシステム

5.評価
現在、GLORYシステムがリリースされて4ヶ月過ぎているが、代理店及び最終顧客からは、情報の即時性が飛躍的にアップしたと好評を得ている。社内でも目標とした効果(人員削除・CS向上・後期短縮)が見えてきており、今回の開発が次のステップにつながるものとの評価を得ている。我々自身についても、今回の経験を通じて、システム構築において確実に力を付けてきており、これからの保守・運用・開発にも大いなる効果を発揮するものと思っている。また、グループ各社からも大いに評価されており、代理店の先の大手縫製メーカーからも直接つなぎたいとの申し入れも出てきている。今後の二次及び三次の開発が完了して初めて目標が達成されると考えており、その完成に全力を尽くしたい。