ACOS・COBOLプログラム管理システムの構築
(PDF文書,283KB)


【要旨】

1.目的と背景
1994年当時、当社ではACOS2システム3300を中核に、約1,000本のCOBOLプログラムで基幹システムを稼動させていた。これらのプログラムは、3名のスタッフにより、全て社内開発を行っていた。
これだけのボリュームになると、システム変更要求があった場合に、どのプログラムを変更しなければならないかを漏れなく調査することは、システムの品質を左右する重要で神経を使う調査となる。しかし、3名という少人数の開発担当という環境では、他人のために管理ドキュメントを作成する必要性が感じられず、ほとんど管理されていない状態であった。従って、システム変更時の影響範囲調査は、プログラムを開発した人にしか分からないという状態であった。
そんな折、大部分のプログラムを作成したシステム部門長の退職があり、残された2名のスタッフは窮地に追い込まれていた。
この状況を打開するために、ドキュメント類の整備を行うとともに、次のことを主眼に「プログラム管理システム」を構築した。
(1)影響範囲調査を行える機能を持つこと。
(2)ドキュメント作成は、自動で行えること。
(人手をかけて行う余裕が無いため。)
(3)コストは極力かけないように、必要最低限の自動化とし、紙ベースのドキュメントも併用すること。

2.概要
システム変更要求がユーザー部門より来た場合、「プログラム管理システム」を活用し、調査対象のプログラムがどれなのかを素早く抽出できる。
「プログラム管理システム」の利用ステップは、次の4ステップに別れる。

(1)プログラム基本情報の手入力(情報の蓄積)。
・プログラム日本語名称など
(2)プログラム自動解析(情報蓄積)。
・プログラム名、JCL名、利用ファイル名(内部ファイル名、外部ファイル名)
・オープンモード(参照、更新、出力、拡張)
(3)影響範囲調査(蓄積情報の活用)
《ファイル名による画面検索》
指定した外部ファイル名を利用しているプログラムを瞬時に検索できる。画面に表示される情報は、
・JCL名、プログラム名、プログラム日本語名称
・利用ファイルのオープンモード(参照、更新、出力、拡張)
《レコード内の項目列名による、利用プログラム検索》
指定したレコード内項目列名を利用しているプログラムをリスト出力できる。
(4)ソースレベル調査
「(3)影響範囲調査」で絞り込まれたプログラムソースを読む。

3.キーポイント
(1)COBOLソースプログラムの順編成ファイル化
ソースライブラリ内のCOBOLプログラムを順編成ファイル(テキストファイル)に変換するテクニックを知っていたことが、システム開発のきっかけとなった。
(2)COBOL言語
「SELECT句」や「OPEN命令」など解析しやすい言語構造である。

4.導入計画
(1)第1次開発 1989年4月(COBOL言語対応)
当初、COBOL言語のみ対応でスタート。約1ヶ月で、社内開発を行った。
(1)第2次開発 1993年9月(IDLU言語対応)
IDLU言語プログラムに対応
(2)第3次開発 2000年3月(ソフトウェア資産管理機能追加)
(3)第4次開発 Notesデータベースを使い、他の管理ドキュメントも含めた総合データベースを検討中。

5.プログラム管理の評価
《具体的効果》
(1)他人の開発したプログラムでも、影響範囲抽出を素早く確実に行うことができる。これにより、改造漏れなどがほとんど無くなった。
(2)この仕組みを継続させるにあたり、データ登録の手間は、プログラム自動解析プログラムを起動することと、変更履歴の手入力だけである。
(3)ドキュメント作成工数を極小化できた。
ドキュメント作成の重要な部分を自動化したため、それ以外のドキュメントは必要に応じて作ればよくなった。
(4)(1)に起因するが、安心して影響範囲調査が行えることで、担当者の精神的ストレスが激減した。
《まとめ》
当初狙っていた性能は充分に発揮している。プログラム管理システム登場後、12年目を迎えたが、現在もその当時のままのシステムが継続稼動している。
現在は、スタッフも9名の大所帯となり、他人の作ったプログラムを保守する機会が増え、とても助かっている。特に、担当者の精神的ストレスが激減したことが最大の効果であると考えている。