Web型キャッシュレスシステムの開発
(PDF文書,732KB)


【要旨】

1.目的と背景
当社は、建設業という特性上、本社、各支店のほかに、全国に約1500の現場事業所が散在している。これらの各事業所は、個別に小口資金を準備し、経費・交通費等の精算処理を現金にて行っていた。また、社内預金に関しても同様であり、各事業所においては経理を担当する社員が必要であった。このような状況は、現金を用意する手間と危険、経理処理の煩雑さ、受付時間の制限などがあり、各事業所の担当者にとっても利用する社員にとっても過度な負担となっていた。
一方、当社はITによる経営戦略を推進し、散在するすべての事業所を社内ネットワークで接続するとともに、全社員が同一環境下で業務が推進できるように、約13、500台のパソコンを配備した。
本システムは、このような情報処理基盤環境下において、最新のIT技術を活用し、業務の効率化・合理化を目的に開発されたものであり、その着目点は。以下の4点である。
・現金精算の廃止→金融機関への振込に統一、業務改善、リスク回避
・社内預金の本社集中管理→支店・現場業務の廃止、業務改善、サービス向上
・精算処理、社内預金払出請求の個人対応(担当者が不要)→業務の効率化
・Webの活用→操作性の簡略化

2.システム概要
本システムは、出向者も含めた全社員の利用を可能とした。
本システムは、1年365日毎日7時〜24時の稼動とし、社員の利便性向上を図った。
社員への支払は、精算処理等を毎日14時に締め、指定口座へ一括振込み処理を行うことにより、翌日支払を実現した。関連する経理処理については当社の経理標準システムと連動し、自動的に出納システム、原価会計システム、管理部門会計システム等へ連携可能とした。

3.キーポイント
<情報処理基盤>
本システムを開発・運用可能とした背景には、前述のとおり、イントラネットが現場事務所まで整備されるとともに一人一台のパソコンが設置されたことにより、Web環境下での構築が可能となったことがあげられる。
<経理標準システムのC/S化>
当社基幹業務である経理標準システムは1999年度にクライアントサーバーシステムとして再構築し(ホスト分散処理からサーバ分散処理へ)本稼動していた。関連データベースがすべてサーバ上に構築されているため、本システムとの連携が容易であり、利用者もオンライン画面からの処理に慣れていたため操作上の混乱は発生しなかった。

4.計画
本システムの開発にあたっては、支店のヒアリングから開始し、イメージを理解させるためにプロトタイピング手法を採用した。
・基本仕様の作成(任意事業所・支店のヒアリングを含む) 1999年10月〜12月
・基本設計                       2000年 1月〜 3月
・詳細設計、製造                    2000年 4月〜 9月
・テスト(試行運用を含む)               2000年10月〜11月
本稼動は2000年11月20日からとした。

5.評価
一般社員からは、所定用紙が不要となったこと、運用時間が拡大され業務実態に合わせて処理可能となったこと、過去データの利用による入力処理の簡素化、指定口座への振込みによる受取の容易さ、等が評価されている。
経理担当者からは、現金取り扱い業務の解消(金種作成、払出手続き、搬送、社員への支払等)、手書き用紙がなくなり誤読が解消、窓口業務の解消等、予定された効果が具現化され好評をえている。同時に経理処理の流れが自動化されて関連業務へ連携され、業務手順の大幅改善が実現された。
現在日平均4000〜5000件の利用があり問題なく稼動しているが、今後は利用実態等の業務分析を行いシステム機能の改善をすすめる予定である。

<キーワード・参考文献>
イントラネット、Web,キャッシュレス