在庫管理ASPサ−ビスの提供
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【要旨】

1.目的と背景
物流業界は、数社の大手企業以外は中小企業であり、コスト削減・業界再編の波の中で激しい生き残り戦略を展開している。物流に関するすべての動きがリアルタイムで把握できるITを使った戦略は、在庫情報とそれに対しての生産や入出荷の無駄を省くといった効率化が図れる為、経営の再編として各企業行っていかなければならないものとなっている。
このような物流業界の経営環境の中で、L社(製造メーカの系列物流会社)は生き残り戦略として、システム管理コストの削減、既存システムの機能拡張、系列会社外への事業拡大を目的に、様々な業務形態に適合でき、他社との差別化を図れる様な在庫管理システムの再構築を行う事となった。
在庫管理システムの開発を通して、在庫管理システムの業務運用を弊社に委託するASPサービスを採用する事によって、より一層のコスト削減が図れると提案を実施し、採用された。
ASP事業は、インターネットを核とした最先端のサービス体型であるため、他社に先駆けてサービスを開始し、市場の優位性を確保する必要があった。その為、企画からASP運用サービス開始まで、9ヶ月という超短期間で立ち上げることとした。

2.システム概要
本システムは、ASPセンタに全てのサーバ・アプリケーションを設置し、WAN・インターネットを介して、L社が運用する倉庫に対し、業務アプリケーション(倉庫管理システム)を提供するASPサービスを採用している。
本システムでは、画面操作性を重視する為にVBでの開発を行い、WAN・インターネット経由でも性能を落とさず使用出来る様に、メタフレームの適用を行っている。メタフレームは、@サーバ上でアプリケーションを管理する為、TCOを削減(例:アプリケーションの入れ替えがサーバのみで完了)、A画面情報の更新イメージ(圧縮)のみの転送で有る為、WAN環境でも高性能である、等の特徴が有るミドルウェアである。

3.キーポイント
《ASPサービスの提供》
L社は、コアコンピタンスである物流業務に専念する事によって、(1)24時間・365日対応の実現、(2)情報システム管理コストの削減、(3)最新IT活用による効率化を実現した。
弊社としては、(1)ASP事業の立ち上げ、(2)安定した費用回収の実現、(3)PKGソフトとしての倉庫管理システムを得る事が出来た。
《最新ITの採用》
Web画面よりはVB画面の方が操作性という観点では優れている。しかし、VB(クライアント・サーバ)をWAN経由で実行すると性能的に問題が有る為、WAN環境ではWebを採用せざるを得なかった。今回は、LAN環境と同様にWAN環境でもVBアプリケーションを使用出来る様に、メタフレームの採用を行った。
在庫管理システムを開発していた時期には、メタフレーム自体NECのサポート対象外で有った為、メタフレームの日本側の代理店と直接交渉等を行いながら、運用可能レベルの品質を確保していった。

4.計画
本システム開発においては、在庫管理システム(PKG)の開発とASPサービス提供という2つの作業を並行して行った。各々、開発期間が短かった為、社内一丸体制を取って行った。
(1)在庫管理システム開発
在庫管理システムの開発においては、数百Kステップという大規模であったにも関わらず、本番迄は9ケ月という極めて短納期の開発であった。短納期策としては、プロトタイプ手法を用い、製造・テストの後戻り工数の撲滅を図りながら開発を行った。
(2)ASPセンター構築
メタフレームの採用、10数台のサーバ設置等、短期間にシステム構築が必要な為、弊社のIT部門と協調し、ASPセンターを立ち上げた。

5.評価
現在は、L社が物流業務を引き受けている企業の中で、4社がASPサービスを利用して運用を行っている。今後も十分な利用企業数拡大が見込まれ、ASPサービスは十分事業として確立出来るものと考えている。
また、L社においても、顧客を獲得してから実際に業務を始められる迄の間は約2ケ月程で、非常に短納期でシステム提供が可能になっている。ビジネスサイクルが短くなっている現状では、非常に大きなメリットが有ると言える。