モバイル端末を利用した営業支援システムの構築
(PDF文書,440KB)


【要旨】

a)目的と背景
当社はシステム開発、SI(システムインテグレーション)、SO(システムオペレーション)、システム機器販売などの事業を展開しているコンピュータ関連ベンダ企業である。
そのSO事業で長年、お世話になっている企業の中にF社がある。F社は福岡県を中心に高校入試模擬試験の開催、塾経営、教材販売などの事業を展開されている教育関連企業である。
昨年の1月、そのF社から受注処理の効率化と営業情報の共有化を図る為にモバイル端末を利用した営業支援システムを開発してほしいとの依頼を受けた。
F社の商品受注形態は大きく分けて、FAXでお客様から受注する場合と営業マンが出先から電話で受注内容を総務へ連絡して来る場合の二通りである。
いずれの形態においても総務が受付けた内容を元に受注票を作成し、営業マンがその内容を認証しないと売上処理、出荷処理等の作業が出来ない事になっている。
営業マンは日中、学校等の客先廻りをしているので、受注票の内容認証を夕方、会社に戻ってから、或いは翌日の客先廻り前にするというのが開発依頼時の状況であった。
その為、営業マンにとっては客先廻り件数を増やせない、総務や出荷担当にとっては売上処理や出荷処理が特定の時間に集中し、作業の平準化が図れないという問題を長年、抱えておられた。
また、営業マンの活動状況が手書きの営業日報、週報では情報の即時性、回覧性に欠けると共に共有化が図れないという問題も抱えておられた。そこでモバイル端末を利用した営業支援システムの構築により問題解決を図ろうとされた訳である。

b)概要
上記の問題の解決を図る為に当然、開発するシステムは営業マンが出先で受注票入力を行う、FAX受付分の受注票についは出先から認証行う、営業情報については出先で入力を行い、照会も出来ることが求められた。
その要求を満たす為に以下の様な方針で開発を行うこととなった。
・モバイル端末から受信した情報でF社内に設置されたDB(データベース)サーバ上のDBを直接更新する。DBとしてオラクルのリレーショナルデータベースを使う。
・DB情報をWWW(ワールドワイドウェブ)サーバからハイパーテキスト形式でもらい、モバイル端末のブラウザ機能で表示する。
・営業マンが11名で、しかも入力する情報量も少ないので、RAS(リモートアクセスサービス)サーバを通してDBサーバ及びWWWサーバと通信を行う。電話回線は当面、2回線とする。
・すべてのサーバ機能を1台のExpress5800に載せる。

c)キーポイント
WWW開発の実績は他の部署ではあるが、私共の部署では実績がなく、モバイル端末に関しては当社での実績は全くなかった。 その為、モバイル端末のOSであるWindowsCE、開発言語であるVisualCEについての調査、プログラムのプロトタイプ作り等において試行錯誤を繰り返しながらの開発となった。
当初、モバイル端末上のVisualCEからDBサーバ上のDBを直接更新する予定だったが、VisualCEの機能が対応できていないことが判り、一端、モバイル端末で発生したデータをDBサーバ上に別なDB形式で蓄え、バッチプログラムでDB更新を行うという様な工夫も余儀なくされた。 又、モバイル端末の障害復旧をやり易くする為、RAS専用サーバを新たに設置する事態も発生した。

d)計画
  プロジェクト期間:99年1月〜99年7月
  マイルストン  :構想・企画(1ヶ月)
           プロトタイプ作成評価(1ヶ月)
           本番システムの設計〜開発(4ヶ月)
           試行(1ヶ月)
  開発要員    :SE2名(技術支援SE1名)
  使用マシン等  :モバイル端末   MobileGearU
                    (WindowsCE2.11,VisualCE3.0)
           RASサーバ    MateNX
                    (WindowsNTワークステーション4.0)
           DB及びWWWサーバ Express5800
                    (WindowsNTサーバ4.0)
           データベース   Oracle7.3

e )評価
システムが稼動して8ヶ月が経過した。本番開始時は操作ミスでモバイル端末のプログラムが消えることも度々あったが、最近はその様なことはほとんど発生せず、システムは順調に稼動している。受注作業の効率が上がったし、社員全員が営業情報を見たい時に見られる様になったので導入当初の目的は達成出来たとF社は評価されている。
しかし、システムが順調に稼動すると共に情報の入力、照会の回数が増えて来た。その上、DB更新をモバイル端末から直接できない等の条件が重なり、営業マンのしたいことがしたい時に出来ない状況が発生しつつある。
今後の課題として、回線数増加或いはルータ接続等によって、サーバへの同時接続台数を増やす必用性を感じる。又、次にモバイル端末の機能強化により、DBへの直接更新が可能となったので、使用している基本ソフトウェア及び開発したソフトウェアの見直しの必要性も感じる。
最後に当社しても今後、WWW対応のシステム開発が拡大すると思われるので、その要員育成を急がねばならないと思う次第である。

(キーワード)
モバイル端末、DB、WWW