図面管理システム構築による設計情報の共有化
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【要旨】

1.目的
高度情報通信社会が到来する中で、情報通信関連市場には、国内だけでなく世界中の多くのメーカーが参入し、生き残りをかけた競争を展開している。こうした情勢の中で、今回、光コネクタ製品、光クロージャー、光融着接続機等を商品化している弊社通信機器部門の事業体質の強化とさらなる発展を図るべく、業務の効率化、販売力強化、コスト低減を狙いとして、「1.主要グループ会社との連携強化」「2.営業部門への迅速な情報提供」「3.生産管理システムの改革」を3つの柱とした「通信機器システム(SCATS)」を構築中である。この一環として、製品設計開発業務の効率化を目指し、グループ会社との連携強化を図るべく「図面管理システム」を構築した。

2.概要
本図面管理システムは、技術部門における設計・開発業務のスピードアップはもちろんのこと、グループ会社・協力会社との図面を主とした設計情報の提供を従来以上に迅速化し、開発から製造までの製品供給リードタイムを大幅に短縮することを目指している。本システムは、「1.図面データの電子管理」、「2.ワークフローによる図面の検図・承認・配布」、「3.主要グループ会社との開発・設計業務での連携」、「4.協力会社への迅速な図面配布」の4つの機能から構成されている。なお、これらの機能を実現するにあたり、住友電工情報システム(株)が開発した文書管理システム「楽々ドキュメント」を、その中核アプリケーションとして採用している。以下、各機能についてその概要を述べる。
-1)図面データの電子管理
従来、CADで作成した図面は、プロッタ・プリンタ等で出力し、それを原図として管理し、検図・承認・配布等を行っていた。本システムでは、この紙ベースでの図面管理を撤廃し、CADデータそのものを図面管理サーバ上の電子データとして管理する。またこれまでの資産である紙図面についても、イメージスキャナにて電子データ化し、図面サーバに登録した。こうして電子化された図面データは、文書管理システムのISO9000文書管理機能によって、登録、改訂、最新版や旧版の管理を行い、全てのデータがサーバ上にて完全に一元管理している。
-2)ワークフローによる図面の検図・承認・社内配布
文書管理システムのワークフロー機能を用いて、図面の検図・承認・配布・受領作業を行っている。設計者が図面管理システムに図面データとともに、検図・承認・社内配布ルートを設定することで、これらの作業対象者に電子メールによる通知が行われる。通知された作業対象者は、図面管理システムにアクセスし、承認や受領確認をオンラインにて行っている。オンラインで図面データを閲覧するために、LAN接続された各作業者のパソコンには、CADデータビューアを導入し、紙出力することを極力さけている。従来までの図面配布担当者によるコピー・配布・配送作業が不要となり、承認後、瞬時に社内関係部門に配布通知が届く仕組みである。
-3)主要グループ会社との連携強化
通信機器部門では、通信機器関連のグループ会社との連携強化によるグループ全体としての効率化・スピードアップを事業戦略として位置づけている。本システムでは、この連携強化を実現するため、図面だけでなく仕様書等の各種ドキュメントデータの共有を図るっている。まずグループ各社とのネットワーク(Extranet)を強化し、「図面管理システム」の利用をグループ各社に開放した。ここでは製品毎による開発グループ単位、あるいはプロジェクト単位で各種設計情報を共有している。
-4)協力会社への迅速な図面配布
部品調達や部品加工などを依頼する協力会社への図面配布は、従来までは必要数をコピー後、郵送しており、図面が届くまで数日の日数を要していた。本システムでは、ネットワーク接続したグループ会社には、社内電子配布と同様にオンライン通知・配布を行っている。ネットワーク接続していない他の協力会社については、FAX送付機能により送信している。本機能により、ほぼリアルタイムでの図面配布を実現している。

3.キーポイント
-1)全図面データの電子化
今回、製品情報の中でも重要な情報の1つである図面を全て電子化し、作成から社内・社外配布に至るまで、完全にペーパーレスで行うことが可能である。このため、以下の2点を行った。
a)過去の図面も全て図面サーバに登録
一般に文書管理・図面管理システム等を導入する場合、過去のデータについては、サーバに登録せず、新規分のみ登録する例が多いが、今回は、過去11年間の図面を全て事前登録した。このため、その管理が一元化されたことに加え、文書管理システムの各種検索機能を活用することで、検索作業が容易となっている。
b)紙図面文化の撤廃
これまでの紙ベースによる図面運用から電子データによる運用、また図面への承認印の押印という「紙図面文化」を完全に撤廃した。製造現場での、パソコン画面での図面閲覧作業には、抵抗感があったことは事実である。しかしながら、プロジェクト責任者によるトップダウンによる指示、また製造現場での図面データの紙出力を容認したことで、現在ではスムーズに運用ができている。また、図面への押印についても、本システムで採用している文書管理システムが ISO9000文書管理に準拠したシステムであることから、本システムで公開している図面データは、承認・受領等の履歴が明確に管理されていることを社内外に宣言し、押印を不要とし、完全に電子データのみで運用している。
-2)WEBアプリケーションによるシステム構築
本システムは、いわゆるWEBアプリケーションによって構築されており、システム利用ユーザは各人が所有するPC上のWEBブラウザや電子メールソフトを介して、システムを利用する。このことは、システムの初期導入コスト低減だけでなく、各人が日常使い慣れているWEBブラウザであるため、初期教育、インストール作業などの付帯作業を大幅に軽減できる。さらに、こうした標準的な技術を使うことにより、グループ会社とは、ネットワーク(Extranet)を構築するだけで、非常にスムーズにシステム運用を開始することができた。

4.計画
 まずシステム化の検討を、1999年6月より開始したが、10月にシステム開発、サーバ機器やソフトウェアの設備投資を開始した。今回、最も作業量が必要であった過去図面の読みとりには約 3ヶ月を要した。この間、社内及びネットワーク接続するグループ会社へのシステムの説明、運用方法の提案などを行い、 2000年 2月にシステムの本格運用を開始している。

5.評価
-1)瞬時に行われる図面配布とその配布作業の撤廃
図面回覧及び配布によるタイムラグをほぼゼロとし、配布作業そのものを無くすことができた。
-2)製品設計・開発リードタイムの短縮
当社内だけでなくグループ会社との連携により製品設計・開発リードタイムの短縮がはかれた。
-3)グループ力の強化
これまでもグループ会社との連携によって、製品開発・設計を行ってきたが、本図面管理システムを中核として、さらにそのグループ力を強化することができた。

6.今後の展開
 現在、ホストコンピュータ(ACOS)にて管理している設計情報、部品構成情報についても、本図面管理システムとの連携を予定している。またこれらの設計情報についても、グループ会社と情報共有を行うことで、さらに設計・開発での連携を強化していく予定である。

―以上―