ハイパフォーマンス・ローコストなFAシステムの構築
(PDF文書,494KB)


【要旨】

1.目的と背景
製鉄プラントの制御を行うコンピュータシステムにおいてH/W老朽化に伴うシステム更新が実施される事となり以下の条件を満足する必要があった。
1)H/W、S/W費用共に安価であるが制御用コンピュータとして必要最小限な機能を持つ事。
2)後々のメインテナンス及び機能追加等の改造が容易である事。
3)24時間365日連続稼動を可能とする信頼性がある事。
4)スムーズなシステム立上げを実現する為の支援機能を持つ事。
今回当社では、これらの要求を全て実現する為にExpress5800をベースに当社ミドルウェアを搭載し、FA分野でのシステム構築を成功すると共に支援機能を充実させる事によってスムーズなシステム切替えを実現した。本レポートではこれらの企画、開発、導入、結果について紹介する。

2.概要
FAシステムにおいてHMIである画面、帳票の占める割合は多い。又、この部分はプロジェクトメンバーの中でも初心者、パートナー社に依存する事が殆どである。しかし画面、帳票関連は、仕様変更、改造の頻度が高い為、メインテナンスが容易な作りである必要がある。当社のS/W開発ツールは、この点に着目し画面開発効率の向上及び高品質なアプリケーション作成を可能としている。
又、画面の他にも重要な部分として位置付けられるタスク、共有メモリ、ファイル等の管理があるが、これらについても本ツールは対応しており、S/Wの機能設計(設定制御、操業管理、トラッキング、実績収集、プロセス信号入出力、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)、伝送、支援機能等)及び柔軟な構造設計に貢献している。
当社ではExpress5800シリーズの採用は今回初であるが、当社のS/W開発ツールとの相性も良く完成度の高いシステムを実現する事が出来た。又、Express5800と当社S/W開発ツールによる組合せは、FAシステム構成における一つの選択肢として強力な実績となった。
スムーズなシステムの立上げを確実なものとする為に当社では汎用信号シミュレータを製作する事とした。機能としては、プロセス内で発生する信号を任意のタイミング及び組合せで再現するものである。基本ソフトはExcelを採用しており横軸に各種信号の定義、縦を時間軸として任意の値を設定するだけである。実行すると順に信号を擬似入力できる仕組みとなっている。又、実際にプロセスから取込んだ信号情報をシナリオとして使用する事により再現テストが容易に実行可能である。このシミュレータによって実操業以上に複雑なケースのテストが可能となりテストケースについても全パターン実施可能であった。この効果は絶大なもので現地でのトラブルは全くなく、ユーザーからも高く評価された。

3.キーポイント
1)自社S/W開発ツールの採用
Expressサーバーに当社ミドルウェア、各種支援ツールを搭載する事により大手メーカー専用機に対抗し得るコンポーネントを構築。専用機にありがちなブラックボックスの排除。優れた拡張性、EMSPROとの組合せによる強固な信頼性(リモート監視、保守)。
2)シンプルなS/W構成
トラブルの元となり得る市販アプリケーションは採用せず全て自製アプリケーション。
メモリリーク、ハングアップ要因を徹底して回避する事による信頼性向上。
3)容易なメインテナンス
OSに依存する部分をミドルウェアで吸収。複雑なプログラミングを不要とし開発言語には、認知度の高いC言語を採用。

4.システム開発の計画
プロジェクト期間:98年4月〜99年6月
マイルストン:システム設計(5ヶ月)
製作&テスト(6ヶ月)
並行運転(2ヶ月)
試運転(2ヶ月)
投入人月: 54人月
参加人員:SE1名、PG4名
使用マシン等:Express5800 120La、Mate NX MA33D

5.評価
システム立上げから1年近くなるが現在極めて順調に稼動中である。費用面で見ても大手メーカー専用機と比較して約1/2で納まっておりH/Wのコストパフォーマンスの大幅向上を実現した。生産性についても従来の2倍を達成している。
これらの結果は期待以上の成果であり達成感は大きい。今回の成果は、検討、設計をはじめ社内での出荷前テストに充分時間を掛けての取組みにあると考えている。
今回は、予算の都合で採用していないが、今後の展開としてクラスタシステム導入による更なる信頼性の向上、ESMPROによるRAS機能強化を図る事によってより高レベルなFAシステムの構築も可能であると考えている。
今後の展開としてExpressシリーズをはじめ、MATEシリーズと組合せる事により中規模システムまでをサポートし、バリエーションの拡大を図っていきたい。