デジタルフォトコンテスト特別企画フォトレッスン

写真はひらめきと想像力が大切!

【Scene1】 ポートレートを撮る

 ひとくちに人物写真といっても、相手に気づかれないように撮影したり、あるいは逆にカメラを意識した写真を撮るなど、方法はさまざまです。私の場合、被写体の豊かな表情を撮ろうと思ったら、シーンを想定して撮影することもあります。たとえば「デートの約束をしているけれど時間になっても彼女が来ない、ちょっとイラついた様子で」とか、「100m先に来た彼女を発見」とか、被写体にテーマを与えて、表現してもらいます。一方的に撮るのではなく、相手と一緒に写真を作ってゆく。それもまた写真の楽しさのひとつではないでしょうか。

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友人に、「人を待ってる様子で」とテーマを設定して撮影しました。気温の暑さも手伝って、ふてくされたような、いつもとは違った表情になりました。

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窓から差し込む光を見て、ふと朝帰りが浮かび、友人に「疲れきった朝帰り」を表現してもらいました。ちょっとけだるい雰囲気が出たかなぁと思う1枚です。

 

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右から入ってくる光が気持ちよかったので、「壁で、寝てみて」と声をかけて撮影。気持ちよいゆっくりとした時間を演出してみました。

 

【Scene2】 日常の風景を撮る

 ありきたりな日常。みなさんはたとえばテーブルの小物を撮るとして、いいなと思ったら、すぐその場で撮ってしまうのでは? そんなとき、光を意識すると写真は変わります。蛍光灯の下ではなく、窓辺に置いて太陽の光を当ててみる。光がどこからくるのか、夜の光だったらどうなるかを想像してみる。今はカメラがよいので簡単に撮れてしまいますが、立ち止まってゆっくり考えて撮るのもいいかと思います。

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窓の写り込みを利用しました。雰囲気がありませんか? 窓にぴったりレンズをつければきれいに撮れますが、あえて窓を写し込ませるのも一つの方法です。

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みんな違う動きをしているのに、なぜか海辺で一列に並んでいるように見えて思わず撮った一枚です。

 

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風車のトンネルがすごくキレイで撮りました。このように全体を写すことで、1個の風車を撮るのとは違った感じを表現することができます。

 

【Scene3】 観光スポットを撮る

 絵葉書写真は、一番のお手本かもしれません。でもそれだけではちょっと面白くありません。私は定形が嫌で、あえてブローニーフィルム(6×6サイズ)のカメラで撮ったりしています。フォーマットを崩すと、別の印象になりますよ。それとお城ならお城を全部入れるのではなく、気に入った部分をアップで撮っても印象的な写真になると思います。
 また観光スポットは人が多く、うまく撮れないことがあります。そんなときは、逆に大勢の人を入れ込んで、撮ってみるのも手です。きれいに写すだけが写真ではありません。たくさんの人がお城を眺めている光景をまるごと撮ると、面白い写真になるかもしれません。

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インドのジャイプルにて。お城の気になる部分をクローズアップして撮りました。人を下に持ってくることで、お城の雰囲気を表現しています。

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プラハのエステート劇場の一部です。画面の右側にしか人がいないところが面白くてシャッターを切りました。全景でなくとも、壁の色や装飾等から劇場の雰囲気がわかりませんか?

 

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インドのウダイプルのシティパレスにて。人も建物と一緒に写し込むことで、絵はがきとはちょっと違ったオリジナリティを出せると思います。

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トルコ旅行中に、船の中から撮影した一枚。トルコでは、スィミットというかたいパンを大人も子供もおなかがすくとつまみます。こうした、みんなが食べてるものを撮影するのもおもしろいですよ。

 

【Scene4】 街なかでのスナップ

 ゆっくり歩くこと。急いで通り過ぎるのではなく、いろいろ眺めること。たとえば2階の窓に干してある靴下の干し方が面白いな、というようなファニーな部分を見つけて撮ってみる。水溜まりに何か映っていたら、まず何だろうと眺め、それも撮っておく。最近では携帯電話のカメラでも大きく引き伸ばせますから、とにかく撮ってコレクションしておくと、見ることの訓練にもなり、次の発見につながります。

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いきつけのカフェの入り口近くに置かれたシフォンケーキ。こうして熱を冷ましているのだとか。おもしろいでしょ?

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鎌倉を散歩していて人力車を発見。結婚式の途中かな、と不思議に思ってシャッターをきりました。

 

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それほど大きくないアパートなのに、何人もの人がペンキを塗っていて、びっくり。不思議で印象的だったので撮りました。

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散歩していたら、自転車を利用して洗濯物が干してありました。しかも布団まで! こんな利用方法があったとは驚きです。

 

【Scene5】 動物を撮る

 ペットだったら名前を呼ぶと反応すると思いますから、その瞬間を撮る。野良猫はカメラを向けると逃げてしまいますから、じっとして猫がこちらに来るまで待ってみる。動物園では動物の仕草を観察することも大切です。活動的な姿を撮りたいならその動物の活動時間を狙って。まずは観察から始めましょう。動物の習性を知ることも必要ですね。

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窓辺の猫。猫専用出口なのかなと不思議に思って撮影しました。

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ペットと同じ目線で撮影してみました。気を許してこの表情!

 

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海外の動物園は広い。ゆったりと動物たちも過ごしています。そんな雰囲気を出してみました。

 

【Scene6】 子どもを撮る

 デジカメだったら、撮った写真をモニターで見せて、こんなふうに撮れるよ、と話しながら撮るのもいいと思います。以前、5、6歳の子どもを撮っていて、モニターを見せたら、その子が写真のボケに気づいたのです。面白がってビー玉を持ってきて、カメラにぐんと近づけてみたり。いつものピース写真とは違う写真になりました。

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ふだん撮影されるのを嫌がるのですが、物を使って遊ばせたらこんな豊かな表情が撮れました。

【Scene7】 アウトドアで撮る

 写真の基本は光を意識すること。太陽の位置によって山が力強く見えたり、やさしく見えたり。想像しながら、時間をかけて自分のイメージになるまで待つことも大切です。あるいはさらに想像力を働かせて、夜を長時間露光で撮ってみる。夜が昼になるくらいに露出をかけて。するとただの夜景も、まったく違う世界になるのではないでしょうか。

最後にひとこと。

 たとえば旅行へ行ったときの写真などを後で整理するとき、みなさんは時系列で並べませんか? そうではなくてストーリーを決めて物語風に並べ替えてみるとさらに面白くなります。
 それとやっぱり考えること。インドへ行ったときは、「ゆったりいこう」と思いました。では、「ゆったりとは何か、牛さん、教えて?」と問いかけてみたり、チャイを飲んでいるおばさんと話してみたり。根源的なところで立ち止り、自分なりのテーマを設けるだけで、写真の世界はぐっと大きく広がりますよ。

写真家・鮫島亜希子さんインタビュー

写真:鮫島亜希子

プロフィール

鮫島亜希子(さめしまあきこ)
日本大学芸術学部写真学科卒業。ササキスタジオ、藤代冥砂氏のアシスタントを経て独立。昨年10月に開催された写真展「FROM LEFT TO RIGHT」など、物語性のある写真と構成で人気を博す。

 
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