デジタルフォトコンテスト特別企画フォトレッスン

写真はひらめきと想像力が大切!

写真って、もっと自由なんだと思った修業時代。

 小さい頃、母が趣味で油絵や水彩画を描いていたこともあって、絵にはずっと興味がありました。また、おじいちゃんが6×6のカメラで撮っているのを見ていて、写真を撮ることは、なんだか特別な時間のような気がしていました。絵の道に進まなかったのは、写真のほうが簡単に表現できそうに思ったから(笑)。高校1年のときに父の一眼レフを借りて撮影したり、あるいはコンパクトカメラやレンズ付きフィルムで撮ってみたり。それが写真とかかわった最初だと思います。
 大学は芸術学部写真学科に入りました。そこでは「○○を撮ってこい」というのではなく、「上から見る」とか「流れを撮る」といったテーマの課題が与えられて、テクニックよりは、発想力を高めるのに役立ったように思います。
 卒業後、1枚で表現できる広告写真が撮りたくて、スタジオに入りました。でもアシスタントをしているうちに、かっちりした写真ではなくて、もっと自由に撮りたい、と思い、人物写真が好きだったこともあり、藤代冥砂さんのアシスタントになりました。藤代さんは相手に対する距離が見事なんです。ときには恋人に接するときみたいに撮ることもありましたし。雰囲気づくりがとても上手い。
 独立した今、自由に撮影しているという意味では、かえって大学時代の気分に近いかもしれませんね。

ただ撮るだけではなく、さらにその先を表現して。

 ところで、私にとって写真とは何か、そしてカメラとは何かといえば、自分を後押ししてくれる道具といえます。人とのコミュニケーションの手段でもありますし、新しい発想やものの見方を考えさせてくれるものでもあります。ことに外国へは、カメラなしじゃ怖くって行けません(笑)。また、私が考えたこと、他人に伝えたいことを補ってくれるのも写真です。ですから、日常でも旅先でも、面白いなと思ったらさっと撮ることもありますけれど、被写体を見て思い浮かんだことを基に、さらに想像を膨らませて撮ることも多いです。

インドで裸の男たちが沐浴するお祭りを撮影。天国を表現したくて白っぽい画面にしました。

 たとえばこのインドの写真は、男の人たちが裸で、ガンジス川で沐浴をするというお祭りを撮ったものです。花飾りをしていて、それがとてもきれいだったのですが、そこから天国を連想しました。ドキュメンタリーなら「裸で沐浴」そのものを撮るのでしょうが、私は、その日は「天国を撮る」と決めて撮影しました。インドの人々の向こうに見た天国を表現したかった。そこで露出をオーバー目にして、白っぽい作品に仕上げました。写真は撮るだけではなく、表現することだと思うのです。それには自分の気持ちを言葉(この場合は“天国”がキーワード)にしてみるのもよいかと思います。

 

ひとつの写真に別の写真を組み合わせてみると……。

「FROM LEFT TO RIGHT」の一作品。動物とスナップ写真を組み合わせて新たな意味づけに。

 写真展「FROM LEFT TO RIGHT」の作品では、動物園で動物を見ていたら、どこか人間に似ていた。それを人物スナップと並べて展示することで、別の面白さを出してみたものです。あ、このシーンは、あのときの仕草に似ている! とひらめくんです。それで昔撮った写真を引っ張り出してきて組み合わせたりしてみました。そういう意味では、昔撮った写真を整理して捨ててしまったりしないほうがいい。そのときはつまらなく思えても、後で「これ、案外いいじゃない」と思うこともあるからです。最近ではデジタルになって、さっと消してしまう人もいますが、もったいないことです。

 

すぐに撮るのではなく、待つことも大切。

 それと撮影する際には、待つということも大事です。「あの人、面白いから撮ろうかな」と思い、「あ、ちょっと待って、動くかもしれない、ほらやっぱり動いた」って、人の行動を予測するのも面白い。今の瞬間を撮るのも大事ですが、さらにその後を待って撮るのもいい。ものの見方をちょっと変え、そこに自分なりのテーマやストーリーをもたせると、写真の幅がぐっと広がるのではないかと思います。みなさんも楽しいストーリーの写真をたくさん撮ってくださいね。

 

シーン別・ステップアップ撮影術

写真:鮫島亜希子

プロフィール

鮫島亜希子(さめしまあきこ)
日本大学芸術学部写真学科卒業。ササキスタジオ、藤代冥砂氏のアシスタントを経て独立。昨年10月に開催された写真展「FROM LEFT TO RIGHT」など、物語性のある写真と構成で人気を博す。

 
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