全NUAユーザー事例論文:論文パル2005
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生産系システムのグローバル統一への取組み
〜国内で培ったハイサイクル工場経営をグローバルに短期水平展開〜
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【1】 目的・背景
 
当社では、需要変動に追従して最小の製品在庫で品切れを起こさない体制の確立をめざしてきた。そのため、販売情報をタイムリーに生産に反映する仕組みとして、計画立案から部品調達、生産指示までの生産管理プロセスのサイクル短縮・多サイクル化などハイサイクル化の思想に基づくダイキン流の生産方式「ハイサイクル工場経営」を構築してきた。
また近年、当社の海外事業比率は急激に高まっており、生産拠点もグローバルに急展開している。これらグローバルビジネス環境に対応するため、国内で培ってきたダイキン流生産方式をグローバルにトランスファーし、「あたかもひとつの工場のように」
 ・コスト、供給、生産、品質の管理レベルを統一する。
 ・各拠点の業務を統一し、人員の交流を可能にする。
 ・情報面での共有が容易にできる環境にする。
そのために、以下のことを実現する必要があった。

(1)国内で独自開発したダイキン流生産管理システム「ALPHA ※1」を海外へトランスファーする。
(2)海外での急速な生産拡大にあわせてシステムの垂直立上げ(5拠点/2.5年)を行う。
(3)ビジネスプロセスの急激な変革に即応して、システム変更時のグローバル同時適用を実現する。
   
【2】 システム開発概要
 
日本のシステムをグローバルに展開するにあたり、
.言語の問題
.商習慣、サプライヤ環境の違い
.海外拠点で採用した生産管理未経験者への教育
を克服しながら、約半年余りの短期間での導入が必要
であった。これら課題に対して、以下の取組みを行った。
(1)グローバル各拠点への展開に伴うシステムの多言語対応
(2)ビジネスプロセスの変化に伴うシステムの柔軟な対応を実現した、処理ロジック部分とユーザインターフェース(UI)表記言語部分の分離
(3)グローバル統一と拠点独自のローカル機能のモジュール化
(4)システム実習環境によるダイキン流生産方式のユーザ教育
(5)日本国内での一括集中開発と各拠点でのユーザ支援体制
   
【3】 キーポイント
 
(1)システムの多言語対応
各生産拠点で使用する言語を英語・日本語・中国語の3言語とし、システムとしては英語・日本語・現地語として、データ構造についても名称に関する正規化を行った。現地語は各国毎の言語対応が可能であるが、現在は中国のみが使用し、タイ・チェコでは英語を使用している。また各生産の場面で使われている用語を整理して、英日中のダイキン流の用語辞典を作成し、約1500語の用語の標準化を行った。この用語辞典を使った自動翻訳機能を組み込むことにより、日本語の画面を作成すると英語、中国語の画面が同時に作成されるしくみを作った。

(2)処理ロジックとUI表記言語部分の分離
これまでの処理ロジック部分とUI表記言語部分を完全に分離して、処理ロジック部分はソースをグローバル共通とした。各生産拠点へは、UI表記言語部分の差替えを行うことにより3カ国語の対応が可能になるようにした。これにより、システムの変更に対して、1本のソースの修正によりグローバルの生産拠点への一斉リリースを可能とした。

(3)グローバル統一とローカル機能のモジュール化
各拠点に同一のシステムを導入するうえで、グローバル統一部分(計画・基準情報・調達等のグローバル共通部分)とローカル部分(生産指示での現地設備の違い、原価管理の商習慣の違いについての拠点固有の部分)に整理した。各拠点の業務を統一したことにより、新しい拠点のキーマンに対してシステムの先行導入している拠点でのOJT教育や、日本からの実務者による業務指導を可能とした。また日本では協力企業から工場のライン側へ直接納入しているために必要としない部品倉庫の管理システムを、海外拠点向けに開発展開した。あわせてデータベース構造に関しては、適用日管理などの正規化を行った。

(4)現地教育
日本のしくみを思想・生活環境の異なる各国の工場に移管するにあたり、ジャストインタイムなど生産管理手法の基本から画面の操作に至るまでのユーザ教育を行う必要があった。また現地にユーザ教育用のシステム環境を構築し、ユーザへの教育と業務実習ができる場を提供した。システム導入後は業務が安定稼動するまで約半年の間、OJTによるヘルプデスク体制を設けた。

(5)開発体制
ユーザ支援は現地、システム開発は日本国内という体制をとった。主要SEはシステムリリースの前後4ヶ月を現地に出向き、ユーザへのヘルプデスクを設置して、そこで挙がった課題を日本国内の開発部隊へフィードバックした。特に後半はチェコ・中国の2拠点で同じシステムを同時立上げの必要に迫られたが、その際に導入したのがソースの変更点管理を行うツール CVSであった。これにより、各拠点のどこにいても最新のソースの確認ができたことで、グローバル各拠点での同時開発が可能となった。またサーバの設置から本番稼動においてNEC殿に2ヶ月間現地へ同行して頂き、新たなる技術課題に対する迅速な解決を導いていただいたことは、短納期開発において非常に貴重であった。

   
【4】 開発日程
 


   
【5】 評価
 
国内で構築したシステムをわずか2年半で5拠点に展開し、特に後半は半年で3拠点へのスピード展開を成し遂げることができた。チェコに関しては全くの新工場の立上げにもかかわらず、生産管理システムの経験のないユーザに対してきめ細かい教育と業務フォローまでを行って、生産の立上げに寄与することができた。また今回の各拠点へのグローバル展開を機に、システムとしてのグローバル標準形を形成することができた。今後はグローバル拠点に分散した生産管理サーバの統合運用監視体制の確立と、グローバルSCM実現のための営業系システム(海外はSAPで統一)との連携強化を図っていく。

参考文献
※1 「NUA平成13年度論文集」の弊社論文「市場変化に即応するハイサイクル工場経営の実現と新生産システムの構築」
   

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