全NUAユーザー事例論文:論文パル2005
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「システムに使われるユーザ」から「システムを使うユーザ」へ
〜業務効率向上を目指した基幹システムの再構築〜
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【1】 目的
 
業務効率向上を阻害する要因である『情報連携の不足』『非定型情報の取扱い』『迅速な業務ルール更新』を解消するために、基幹システムを再構築した。
   
【2】 概要
 
日々の業務を遂行する上で、その業務効率向上はどのような業種でも至上命題であろう。当社では、業務効率向上の阻害要因を調査した結果、その原因は『情報の連携不足』『非定型情報の取扱い』『迅速な業務ルール更新』であることに行き着いた。

小松ウオール工業は、事務所・病院・福祉施設用の「間仕切」の受注設計生産を中心に業務を展開している企業である。「間仕切」は、施工現場に合わせて寸法や配置が決められるため、ドア一つでも毎回加工寸法を計算する必要がある。また、部材製品の並び順によって「補強材を追加する必要があるかどうか」「どの位置に穴をあければ良いか」等の加工情報が変化するという、複雑なルールの組み合わせによって最終的に加工・製造する部品の寸法が計算される。

この「オーダーごとに加工寸法を計算する」工程は「部品展開処理」と呼ばれており、小松ウオール工業にとって最も重要なキープロセスであり、すなわちこの計算工程が完了しなければ下流工程となる材料調達や生産計画指示が開始できない。しかし、部品を展開するまでには物件の仕様が決定していなければならず、一方でユーザの要望を実現することが最優先であるため、ぎりぎりまで仕様の変更が出来なければならない、というジレンマが存在していた。

(1)従来の基幹システムでは、部門毎に別々に構築されたシステムがかろうじて連結された形になっており、部門間での情報の連携において融通が効かなかった。このため、システムに合わせた業務運用をせざるを得ず、また仕様変更を受け入れる期限を前倒しせざるを得なかった。

(2)また、たとえ仕様が早めに決まったとしても、一般的な仕様とは異なる特殊な仕様である場合、関連部門間で情報を十分に共有するための仕組みが無いため、必要部門へ適切な情報を提供できず、結果として伝達ミスや作業の遅れに繋がっていた。またたとえ仕様変更を受け入れても、多方面への問い合わせや段取のやり直しなど、業務が混乱することが多かった。

(3)さらに、従来のシステムでは業務ルール変更はシステム管理部門でなければ行えないため、製品の仕様変更を反映させるごとに処理の分岐は増えソースコードは複雑になっていた。当然、メンテナンスにかかるコストは次第に高くなり、新しい機能や情報を追加することもままならなず、修正が反映されるまではシステムから出力された値を手作業で検算・修正するという運用方法で対応するしかなかった。
業務をサポートするはずの基幹システムが、実際には業務の足枷となっていたのである。このような問題のため、基幹システムを再構築する必要に迫られていたのである。

   
【3】 キーポイント
 
上記のような問題に対処するために、根本からシステムの概念を変更することとした。すなわち、
(1) 情報を『ノード』という単位で扱い、このノードをツリー状に接続することで情報を管理する。
(2) ノードには値とその値の処理を行うスクリプトをユーザが容易に定義・修正できるようにした。
(3)ノード同士を繋ぎ合わせたり互いに情報を参照させ相互作用を行う。
このような情報の管理・処理方法をとることによって、業務効率向上の阻害要因となっていた要素をすべて取り除くことができると
   
【4】 評価
 
本システムによって、まず部品展開処理を置き換えた。新しいシステムでは、以下の成果を得た。

(1)従来方式で実装したとすれば約6億円と見積もられた部品展開処理の実装を、3分の1程度のコストで新しいシステムに移行することができた。

(2)また維持コストとして、プログラムの保守作業は従来6名のシステム要員を必要としていたが、半減の3名程度で対応可能となった。
さらには、以下のようなメリットも生まれた。

(a)ユーザに開放されたシステム情報
計算ルールが、ユーザが理解できる形で蓄積・参照できるため、そのまま仕様書として利用できる。また、各業務が作業途中であっても任意のタイミングで生成されている情報を閲覧できるため、業務の進捗度を確認することや、複数のユーザで同じプロジェクトを参照し協調して問題検討にあたることが可能となっている。

(b)高い拡張性と動的な変更を受け入れる柔軟性
データベーステーブルの変更を行うことなく、いつでも処理対象の変数を追加・変更を行うことができ、かつその影響範囲も小さい。この特性により、今回移行させた製造部門以外の業務で用いる情報の処理にも容易に拡張が行え、情報の一元管理を行うことができる。すなわち、全社のすべての業務情報を本システムに集約し管理できる、真の「統合業務システム」を構築する目処が立った。また、システムを運用しながら値の変更や処理判断の修正を行って評価をやり直すことが出来るため、例外的な条件での計算処理を行うことができる。

(c)レガシーシステムとの十分な連携
従来から稼動しているレガシーシステムとの連携も容易であるため、これまで利用してきたCAD(CAE2D/NEC)やPDM(Obbligato/NEC)をそのまま流用して運用されている。
今後は、本システムの適用範囲を広げ、基幹システム全体を本システムに移行すべく作業を進めている。
   

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