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携帯電話とバーコードリーダを利用した荷物追跡システムの構築事例 PDF(397KB)
 
   
  当社は四国地区・関東地区を中心に事業展開を行う運輸企業である。今般、当社はリアルタイムに荷主企業に配送情報を提供する荷物追跡システムを構築した。携帯電話を端末として利用することで、従来のシステム導入と比較し3分の1という低コスト・短期間でのシステム導入を実現した。その事例について以下に記述する。
   
【1】 システム構築の目的
 


運輸業界においては、荷主企業(顧客)から従来、「配送ネットワーク網の整備」・「小口配送への対応」・「運賃の低減」といったテーマに対する要求があった。近年、それらのテーマに加え運輸業者には、荷主の「物流サビスの向上」と「物流効率化」を実現する、「物流パートナー」としての提案の要求が強くなっている。
当社では、百貨店・通販企業を荷主として配送事業を展開しているが、同様に荷主からの配送サービス強化のニーズは近年強くなっている。特に、「お客様(一般消費者)にお届けする荷物の配達状況が即時に把握できること」は百貨店・通販企業にとって大きなテーマであった。百貨店では特にお中元・お歳暮シーズンを中心にギフトの配達状況の問合せが一般消費者から殺到し、問合せに対して配達状況がタイムリーに閲覧できる仕組みの構築は、お客様サービスの品質向上という観点から必須要件となっていた。
 荷主へタイムリーな情報提供を行い、荷主へのサービス強化により、「既存荷主との関係強化」と「新規荷主の獲得」を実現するために、当社では「配達員に携帯電話端末・バーコードリーダを携行させ、荷物の配達状況を配送中にリアルタイムに荷主に送信するシステム」を導入することとなった。

   
【2】 システム概要
 
本システムは、「携帯電話端末」、「ネットワーク(KDDI cdmaパケットアクセス網)」及び「本社サーバ(データ受信サーバ)」から構成されている。

(1) 携帯電話端末

・配達員の操作性を考慮し、携帯電話には大きなボタンを持ち、ストレートタイプである「au INFOBAR」を採用。バーコードリーダには読取精度・読取幅を考慮しレーザタイプスキャナを採用した。
・携帯電話アプリケーションには、操作性、運用面を考慮しプラットフォームとしてBREWを採用した。
(注 BREW:KDDI au携帯電話で採用されているプラットフォーム)

(2) ネットワーク
 
・携帯電話から本社への配送データ送信には、「データ送信が確実にできること」及び「セキュリティ」を考慮して、KDDIのcdmaパケットアクセスを採用した。

(3) 本社サーバ
 
・携帯電話からのデータ受信用サーバとして、ホスト(ACOS I−PX7600)へのデータ送信を行う。顧客へのサービス強化の観点から無停止であることが要求されるため、デュアルシステム構成とした。
   
【3】 キーポイント
 


■配達員の「使い易さ」を考慮したシステム構築

データ送信用の端末として携帯電話を採用する際、懸案事項であったのが、配達員の携帯電話利用スキルの差であった。また、繁忙期(お中元・お歳暮期)においては、配達業務が非常に多忙になるため、素早く操作ができることも必須条件であった。
複数の携帯電話端末・バーコードリーダによる実機デモを作成し、配送部門の意見を取り入れ検討を重ねた結果、「使い易さ」が最適であったことから、ハードウェア面ではストレートタイプ・大型のボタンがついている携帯電話を導入した。アプリケーション面では自由度の高いBREWをプラットフォームに採用し、「一発起動」機能による入力時間の短縮、どの配達員にも見やすい画面表示(大きい文字・シンプルな表示)の実現を図った。

■低コスト、短期間でのシステム導入

配達員用に多数の端末が必要となる本システムの導入にあたっては、いかに低コストの端末を導入するかが重要なポイントであった。端末としてハンディターミナル・PDA等の検討を行ったが、最終的に携帯電話を端末として利用することで、ハンディターミナルと比較して約3分の1のコストでシステム構築が実現できた。携帯電話の耐久性・操作性という問題点については、比較的破損しにくい端末(INFOBAR)の選定、アプリケーションにおける操作性向上によりカバーすることができたと考えている。
開発期間においても、携帯電話という汎用端末を採用したことで、設計フェーズ〜テストフェーズを約3ヶ月という短期間でシステム構築を行うことに成功した。拠点への展開フェーズにおいても設計段階から簡易なユーザインタフェースを考慮したシステム開発を行った成果として、第1次導入の約50拠点への端末展開/操作教育をわずか1ヶ月という短期間で実現できた。

   
【4】 導入後の評価、今後の展開
 
本システム導入後、百貨店・通販企業を中心とした荷主に対するリアルタイムでの配送情報提供が実現でき、一般消費者からの問合せに迅速に対応できていることから荷主に非常にお喜びいただいている。また、従来営業所と配達員が無線で連絡を取り合っていた配達状況確認の工数が大幅に削減された。合わせて、配達中の問合せ回数が減ったため配達員の安全性の向上、作業効率の向上に寄与している。
現在は約260拠点へ導入展開しているが、今後の展開については、アプリケーション機能強化及び他運輸業者とのデータ連携を予定している。
アプリケーションの機能強化にあたっては、ユーザインタフェースの観点から敢えて一部機能だけに限定していた配送ステータス(「配達完了」「不在持ち戻り」)を荷主の要望に合わせて追加すること、配達員毎の配達実績管理/分析等を予定している。
また、全国展開している大手運輸企業への対応のため、他運輸業者とのデータ連携を行い、現行当社汎用機(ACOS)で行っているデータ集信を、将来的には他運輸業者と共同で統一のデータ収集プラットフォームに移行し、データ送信用の端末として全配達員に携帯電話端末を配布する構想がある。
   

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