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海外工場への業務システム導入について
〜TCO削減に向けて〜
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【1】 目的、背景
 


日本企業に於いて、生産拠点を日本から海外へ移すケースが増えており、弊社の親会社である住友ゴム工業でも同様に数年前から中国やインドネシアといった国々でタイヤ生産を実施している。海外工場の稼働に伴い、生産設備を輸出もしくは現地手配を行っているが、それらの設備機器と接続しているコンピュータシステムをスムーズに現地対応させる必要があった。

通常、日本国内でパソコンを使用する場合は、システム開発も含めOSに日本語を使用する。中国やインドネシアなどの諸外国で稼働するパーソナルコンピュータ(以下PC)を日本語のまま導入すると言葉の問題が生じ、現地作業員の業務に支障を来す。逆に、導入する現地に合わせてローカライズする場合、国毎の対応にソフトウェアの開発が発生すると共に、それにより様々なバージョンが派生し、最終的には保守費用の増大につながる。そこで、いかに日本語環境で開発したシステムをマルチランゲージ対応するか、又、国内及び海外工場で同一のソフトウェアを使用し、導入ならびに運用コストを下げるかが課題となっていた。

【2】 概要
 
従来から弊社は、国内工場に於けるFAシステム開発に携わっており、DOSシステムのWindows化や各種FAのシステム開発を手掛けてきた。本システムは、国内及び海外工場向けに開発し、タイヤ製造での加硫工程を対象としてシステム化を実現している。システムは、3つの基本機能「モニタリング、データ管理、集計管理」で構成している。海外工場での言葉の問題については、互換システムを開発し対策を講じた。

(1) システム構成
  システムはPC側10台と設備(シーケンサー:プログラム内蔵方式でシーケンス制御
を行う工業用電子装置)100台が対象の群管理システムである。
※群管理とは、複数の設備をPCから集中管理する事によって業務を効率的に行う事を目的としたシステムである。
(2) 開発言語
  マイクロソフト社のVisualBasic6.0(以下VB)を使用している。
(3) 言語対応(複数言語に対応)
  国内工場(日本語)、海外工場(中国:中国語、インドネシア:英語)
(4) ソフトウェア本数
30本
 

【3】 キーポイント
 
(1)ソフトウェアの表示文字について

通常はソフトウェア内部に表示文字を実装している。しかし、この方法だと表示文字を変更するたびにソフトウェアのコンパイルが必要となる。更に対応には開発費と開発環境(OSやVB環境)が必須となる。そこで、ソフトウェアと表示文字を分離させる
事で、文字の変更にコンパイル作業を必要としないシステムを開発した。具体的には、Localesファイルを駆使しマルチランゲージ対応させる事で、ソフトウェアが実行されるOS環境を判断し、表示文字を自動的に切り替える様に構築した。日本語環境で構築したソフトウェアに手を加える事無く、現地ローカル環境に適用させる事を可能にした。

a)表示文字
b)印刷文字
c)メッセージ文字

(2)運用コスト(TCO)の削減

工場内の生産現場に於いて、設備とPCが密接に関連しており、近年ではパソコンシステムの利用(重要度)が非常に増えてきた。PCについては、ハード障害や連続運転に耐えられる仕組みが必要となり、ハードディスクを二重化した構成(NEC スタンバイDISK)を取り入れた。運用監視ツールではNECの WinshareやSymantecの PC Anywhereを導入し、日本からIP/VPN経由で現地のPC状況をチェックできる体制を構築した。また、現地のトラブルに対して柔軟なサポートを実施する為、ソフトウェアからのエラーメッセージにもLocalesファイルを利用した。メッセージ番号をソフトウェアで共通化する事で、状況把握を正確かつ迅速に実施出来るような障害対応のシステムを開発した。これらの対策により、運用コストやトラブルの削減を図った。

【4】 計画・実績
 
2003年 システム開発(国内)
2004年 システム横展開(国内、中国、インドネシア)
将来 タイ工場(新工場)へ導入

【5】 評価
 
このプロジェクトにおける最大の効果は、国内及び海外工場のソフトウェアが共通化し、品質を同レベルに維持出来ている事である。また、海外工場への導入については、国毎のソフトウェア改善が不要となり、開発を導入費用のみに抑える事が出来た。運用面でもソフトウェアが一本化出来た事で、機能拡張やバージョンUP時は、ソフトウェアを配信するだけで対応可能となった。遠隔地からの運用監視では国内からの一元管理により、TCO(維持コスト)削減に繋がっている。今後は、新たな国(工場)への展開や他工程(業務システム)の構築を目指し、システム化の推進を通じて大きな経済効果を出す予定である。


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