全NUAユーザー事例論文:論文パル2005
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5GHz帯無線アクセスシステム(FWA)を用いた放送中継システムの構築についてPDF(1,814KB)
 
  <はじめに>
 
当社は、これまで電気通信事業者として多くの放送局様へ様々な映像伝送サービスの提供を行なってきた。
ここ数年は特にMPEG2overIP型CODECの普及により当社光ファイバを用いた広域イーサネットサービス(L2L)を用いての素材伝送・パノラマカメラ映像伝送が著しく増加していた。
ただ、光ファイバの敷設が困難な地域や仮設的な中継放送利用の場合は、放送局様による従来のマイクロ波伝送が主であった。
   
  <目的>
 
電気通信事業者だけ(当時)が利用可能である屋外5GHz帯の無線アクセスシステム(FWA)に着目し、IP型CODECを接続することにより、限りあるマイクロ波を用いず、また光ファイバの敷設が困難な無柱化エリアにおいて、低コストでかつ移動中継が可能なスポット中継のシステムを実現する事を目的とした。
また、当社が『アステルPHS電話(H16年3月25日事業廃止)』を提供する為に構築したビル屋上のPHS無線局(CS)設置架台・電源設備・光ファイバの有効利用も同時に実現することも目的としていた。
   
  <システムの実現まで(概要)>
 
屋外型5GHz帯無線アクセスシステム(FWA)は、無線区間の通信速度は、上下方向とも最大54Mbpsを実現するシステムであるが、対向する無線局の出力の違いから、距離などの物理条件によって非対称の速度でリンクが確立する仕様である。
元々5GHz帯FWAは、電気通信事業者が主にコンシュマー向のインターネット接続サービスを提供する「ラストワンマイル」の手段として開発・販売されていたシステムであった。インターネットアクセスにおいて通常重要視されるのは、データ量が多いダウンストリーム(無線区間では親局から加入者局への下り方向)であるので、この仕様で特に問題は無い。
しかし、当社が検討していた5GHz帯FWAの利用形態は、撮影した映像をIPパケットとしてエンコードし途切れなく局へ送出する、アップストリーム中心のデータフローであり、無線区間の安定かつ高速なアクセスリンクが絶対条件であったため、実際にフィールド試験を実施するまでは、満足のいく映像伝送の実現が困難であると想定していた。
当社は、NEC北海道支社様のご協力を頂きながら、机上検討・フィールド試験を重ね、最終的には、「YOSKOIソーラン祭り中継」など実際の生中継番組の中で道内民放様にご利用頂き、MPEG2−8Mbpsの画像圧縮レートを用いての放送中継に問題の無いシステムの構築を実現できた。
   
  <工夫点など>
 
加入者無線局を3m程度まで伸縮するカメラ設置用のポールに安定固定して、親局までの見通しを確保する設置形態を採用したことや、加入者無線局以外の機器をまとめて車イスに乗せて移動中継を容易に行う構成を道内民放様と整えた。
また、加入者無線局へ安定した電源供給(AC100V)を実現することや、通常は屋内で使用されるCODECを屋外に持ち出したことによる温度対策などに苦慮した。
(実際に、CODECが冷却されず本体温度が40度近くなった場合は、ブロックノイズが画像に発生する事が現象として現れた。)
   
  <適用効果>
 
実際に試験利用をして頂いた道内民放様からは、本システムを用いた新しい放送ソリューションの提案に対して賛辞を頂いたと共に、今後において本システムの継続的なスポット利用を求められたため、新サービス化(平成17年6月サービス開始)に至った。
加えて、他の放送局様からもマラソン中継など機動力を求められるコンテンツ中継時のスポット利用の引き合いも頂いた。
また、5GHz帯FWAを移動中継用途としてだけではなく、光ファイバの敷設が困難なエリアでのパノラマカメラ映像の伝送媒体して恒久設置利用の打診も頂いた。
   
  <今後の課題等>
  周波数の移行を含めた屋外5GHz帯の今後の電波利用の方向性に対しての検討や、QoS機能など無線機自体の仕様の向上を開発メーカー様と検討を重ねていく必要がある。
また、地上波デジタル放送の本格的な開始により、放送中継もHD伝送へのシフトが想定されるため、これに対応すべく様々な技術検討が必要と考えている。
   

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