全NUAユーザー事例論文:論文パル2005
 < トップ < 入選/要旨
ロケーション管理と作業効率アップを狙った部品入出庫システムの構築 PDF(1,161KB)
 
【1】 背景と導入目的
 


この度、開発依頼を頂いたお客様は、基幹システムにSAP R/3を導入されており、業務に関するすべてのデータをSAP R/3で管理し運用ている。在庫管理システムの運用を進めて行く中で、出庫部品の先入れ先出しが 徹底されていない運用状況が発覚し、その原因を追求した結果、在庫管理システムにおいて、ロケーション情 報が明確に管理されていないことが問題点として挙げられた。この問題の対応策として、SAP R/3の管理項目 にロケーション情報を追加し、管理を行う方針を検討したが、要求を実現するに当たってのカスタマイズ費用  が肥大化した為、断念せざるを得なかった。
その打開策として、SAP R/3の在庫管理システムを支援するサブシステムを新規開発し、SAP R/3への在庫 実績の反映はインターフェースファイルの受け渡しを行うことでデータの整合を図りつつ、在庫部品のロケーション管理を明確化し、出庫作業の効率アップを図ることが期待された。

   
【2】 問題点の整理
 
(1) 各部品の保管場所、在庫数、入庫日に関する情報は、SAP R/3で管理されているがロケーション情報の管理が行われていない為、出庫部品の先入れ先出しが徹底されていない。
※ 出庫時に、引き当てられた部品を格納しているロケーションを明確に指示出来ない。
(2) 入出庫作業者は、キット台車またはリフトでの作業となる為、PCを持参しながらの作業は困難である。
(3) 出庫時に、作業者が間違いなく対象部品を特定出来る仕組みが必要である。
※ 在庫引き当てをシステムが代行しても、出庫作業者が引き当てられた部品でないものを出庫したのでは意味がない為、間違いなく引き当てられた部品を出庫する仕組みを考える必要がある。
   
【3】 問題解決へのアプローチ
 
(1) ロケーション管理
 
1. 部品の入庫予約時に、どのロケーションに格納するかを指定させる。
  2.ロケーションの入庫状況を参照出来る機能が必要となる。
  3.入庫部品のサイズが不明な場合、入庫スペースが十分かを実際に確認してから入庫するケースが考えられる。
  4.ロケーションに部品が格納された時点で、出庫可能な部品(在庫)と識別させる必要がある。
   
(2) 入出庫情報入力の工夫
 
1 バーコードリーダー一体型の無線ポータブル端末(以下 無線POT)により入出庫、及び棚卸を行う。
  ※ キット台車やリフトによる作業に対応可能。
   
(3) 部品特定の仕組み
 
1.入庫予約時に棚カードを発行し入庫部品に貼り付けてロケーションへ格納する。入庫ロケーションに誤りがない事をチェックする為、ロケーションに貼り付けられた棚番地のバーコードを無線POTで読込みデータベースと照合する。照合でエラーとなった場合は、正しいロケーションを再入力させることで誤ったロケーションへの誤入庫防止を徹底させる。
 
2. 出庫部品に関しては、入庫時に貼り付けられた棚カードの部品情報をバーコード入力させ対象部品に誤りがないことをチェックすることで誤出庫の防止を徹底する。
   
無線POTを導入することで、入力作業の軽減、入出庫に関わる作業者のオペレーションミス防止の効果
が期待できる。
 
   
【4】 開発期間及び、開発ツールの選定
 
(1) 機能提供に関する要件
1. 運用環境
サーバOS:Microsoft Windows 2003 Server Standard EditionDBサーバ:Microsoft SQL Server 2000 Standard Edition
 
2. 部品在庫数、部品入出庫の履歴情報、ロケーションの在庫格納状況に関しては、環境に依存することなく参照及び、必要データのダウンロードを可能とする。
 
3. 棚カード、出庫指示書、棚卸票などの帳票類は、無線POTによるバーコード読込が行える必要がある。
※ バーコードが読めるレベルの帳票出力が行える事を最低条件とする。
 
4. ユーザインターフェースに関しては、入力項目も多くかつ、マスタテーブルからの参照入力も多数ある。
5. 移動票は、他システム(工程管理)のデータをExcelシートに出力し、そのデータを基に在庫引き当てを行わせる。
 
6. 社内LANは高速だが、社内のサーバと入出庫を行う部品保管場所はINS回線で接続されている。
7. 開発期間は約6ヶ月で開発費用も少ない。
   
(2) 開発ツールの選定
1. 在庫履歴、ロケーション情報は環境に依存することなく参照、及びダウンロードが行えるシステムを提供する為、Microsoft Visual Studio .NET 2003 で開発を行う。
 
2. 入出庫、棚卸のGUIに関しては、ユーザインターフェースを充実させること、バーコード付き帳票作成の容易性、Excelファイルの画面読込等の機能を短期間で実現する為、Microsoft Access 2000を用いた。しかし、部品保管場所と社内サーバがINS回線で接続されていることから、大量データの受け渡しを避けたい事、また今後のWebシステムへの移行を考慮し、更新系の処理は、Stored Proc-edureで開発を行った。
 
   
【5】 開発におけるキーポイント
 
(1) WebシステムにMicrosoft Visual Studio .NET 2003を使用
グラフィカルなインターフェースによる画面生成と、.NET Frameworkが提供する豊富なWindowsコンポーネントの利用で僅かなコーディングでWebシステムの開発が行え生産性の向上に繋がった。
(2) Stored Procedureで使用するデータ引渡しにSQL Serverのテンポラリテーブルを使用
Stored Procedureで使用するデータは、テンポラリテーブルに格納し、テーブル名を引数とすることで通信回線の使用率を最小限に押さえるように設計した。
   
【6】 本プロジェクトの結論
 
システム導入後は、システムが引き当てた在庫を担当者が間違いなく出庫出来ているとの評価を頂いた。
しかしながら主な処理をStored Procedure化しているにも関わらず、通信回線が思った以上にネックと なっているとの報告もあり、インフラ面を強化してTAT改善を図る手段も考えられるが、将来的な 作業保管場所の拡大のことも考慮すれば、サーバサイドでの起動を主体としたシステム構成を強く提案 すべきであったことが反省点として残った。 この度のプロジェクトを経験し、基幹システムに情報セキュリティのリスクに強いSAP R/3を導入されて いるお客様に対して、サブシステムの新規開発と言った提案のきっかけが出来たことは大きな収穫となった。


 < トップ < 入選/要旨

Copyright(c)NEC C&C Systems Users AssociationAll Right Reserved.