全NUAユーザー事例論文:論文パル2005
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トレーサビリティシステムの構築事例 
〜ITによる工場改革と品質保証の実現〜
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【1】 背景
 


現在社会において、食に対する安全への要求は、食品等事業者に対しての責務として捉えられている。そのためには、原材料はもとより製造工程から製品の出荷に至るまでその全工程の情報収集と開示が可能となるシステムの提供が必要不可欠となる。従来のシステムは、数量、金額を管理することを主目的として構築されていた。今回のシステムの構築にあたっては、従来機能の継承、事務処理の省力化に、且つトレーサビリティの要件を盛り込み、物の動きを把握できるシステムを構築することが求められた。これを実現することにより、顧客の掲げた「情報技術による工場改革と品質保証」という、テーマが達成される。

   
【2】 目的
 
システム化を検討するにあたって、工場における製造の流れ、従事者の作業内容および付随する事務処理を整理することから行った。顧客とのヒヤリング、手作業で作成されている記録物等を詳細に分析し、システムモデルの確立を進めていった。弊社においては、製造業の開発は初めての経験であったため、NECとの共同作業により分析を進めた。
今回のシステムを導入する以前は、人による判断、人による管理をベースに製造が行われていた。これに対してシステム化要件としては、
(1)作業の属人化を排除し、工程の標準化と作業負荷の平準化を図る。
(2)作業記録を電子化し、事後検証、情報開示に活用できる。
(3)人、物と情報の一体化による現場管理を実現する。
これらを実現可能とするシステムを検討し、開発工数の軽減と他社での稼働実績があるパッケージを選択することとした。いくつかの候補の中から、NECソフト製品である「PROCESSFACTORY」を導入することとした。あわせて原材料、製品について情報を紐付け管理することにより、倉庫管理から製品出荷までを管理することとし、NECシステムテクノロジー製品である「Explanner」を導入した。これらのパッケージシステムを連結することにより、「いつ」「どの原料が」「どの製品に」「どの工程で」使用されたのか、「いつ」「どの製品の」「どのロットが」「どこに」出荷されたかが記録される、製品トレーサビリティの実現を図った。
   
【3】 システム概要
 


実際の物と情報の一体化による情報の伝達方法として、どのような方法で行うのかについて顧客と検討をおこなっていった。基本的な流れとして、物、人が動くたびに、情報を記録することとし、記録されたものが目視でも確認、伝達できることを可能とした。
検討のポイントとして、

1. 取扱い原材料が、多種多量であるため、コスト面で予算の範囲内であること。
2. 業界標準がなく、取扱い業者によって、情報の仕様が異なるため、複数の仕様が対応可能であること。
3. OEM製品の製造が大多数であるため、製品への印字、貼付ができないこと。

以上の点について検討した結果、非接触ICチップ(RFID)は、コスト面で困難であり、二次元コードとバーコードを利用することとした。あわせて、可能な限り情報をラベルに印字して、目視確認もできる様にして作業者の安心感を配慮した。
また、製品については、得意先の製品であり貼付ができないことから、パレット単位に添付することとした。

   
【4】 評価
 
当初検討から2年の開発期間を要して、2004年3月に本番稼働となった。その間、開発プロジェクトにおいては、

(1)複数パッケージを結合してシステム構築をした結果、システムインターフェースの仕様確定に時間を要した。

(2)複数の協力会社によって、プロジェクトを構成して開発を行ったため、サブシステム間の整合性確認や、作業進捗状況の把握などプロジェクト管理に苦労した。

(3)現場担当者との打合せ時間の確保が容易ではなく、要件確定までに時間を要した。

などの点が、反省点として挙げられる。  

本番稼動後には、当初の目的であった、トレーサビリティと品質保証の向上について、一定の評価をいただいた。製造現場における調合ミスの未然事故防止、製品出荷時における賞味期限管理、誤出荷の未然防止等が具体的な成果として挙げられる。但し、現時点では全ての工場およびラインで導入が行われておらず、完全実施にむけて該システムの評価、効率的改善を施しながら、完全展開を推進している。


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