全NUAユーザー事例論文:論文パル2004
 < トップ < 特選/要旨
タイヤ製造工場の情報基盤整備とシステム停止「0」への挑戦PDF(168KB)
 
【1】 目的・背景
  SRIグループの住友ゴム工業株式会社白河工場は、国内、海外向けの乗用車及びトラック・バス用タイヤの生産工場である。1990年代にメインフレームを廃止して、クライアント/サーバ型の分散型システムに全面移行を行い、その後のシステム化拡大に備えてIT環境を急速に発展させる必要があった。この当時のIT産業は、オープン化、マルチベンダ化が主流であったことから、サブシステム毎に最適なネットワークOSやデータベースを選定して、それぞれの業務形態に合ったシステム構築を行っていた。そうした結果、基幹業務からFA分野の広範囲にわたるシステム拡大が行われ、2000年にはデータベースサーバ40台、クライアント1000台を超すシステム規模に発展していた。一方、情報化の基盤確立に伴って、業務プロセスの改革要求が強まり、それらの要求を満たす為には分散されたデータベースを複雑に連携させる仕組みが必要となり、多種多様なハード/ソフトを論理的に一元化させるための膨大なインターフェースや処理サーバを設けざるをえなくなっていた。
こうした背景から、業務部門のプロセス改革を視野に入れ、工場システム全体の最適化を目的とした情報基盤整備を行う事とした。また、業界の動向によってシステム環境が変化し、過去に何度も再構築やコンバージョンを行った経緯がある。これらは、今後も永久的に発生するものと考え、それに備えたシステムの最適化、可視化、標準化を行っておく事が有効な得策であると考えた。
   
【2】 概要
  工場の業務プロセスを徹底分析し、今後の業務変化を想定した新システム構想をたて、工場システム環境全体の再編を実施した。以下に具体化した内容を述べる。

1)サーバ、データベースの再編 
基幹業務システムの15台のデータベースサーバを3台に統合した。また、FA業務システムの20台のデータベースサーバを4台に統合。(一部移行待ちあり)サーバOSは、NetwareとWindows系の混在を廃止して、全てWindows系サーバOSに統一し、データベース種別をMS SQL Serverに一本化した。レスポンス低下を回避する為に、ネットワーク幹線のギガベース化に加えサーバ性能のグレードアップを図った。基幹系システムの統合を以下のサブシステムに分類し、FA部門は工程で分類した。

a)技術部門
b)生産・物流部門
c)管理部門

2)システムの最適化
生産に関わる情報の流れを基本にして、それに付随する全てのシステムを再分類した。各サブシステムは、中心となるデータベースを基に再構築を実施して、不要となるシステムや複雑に関連し合うシステム間のインターフェースを全て排除した。統一性がなかった開発手法やドキュメントを全社で標準化し、開発言語は全てMS Visual Vasicに統一した。
   
【3】 キーポイント
  1)停止要因の徹底排除
分散型のサーバを集約型に変更する事は、障害発生時の影響範囲から想定してもかなりのリスクを伴う事になる。24時間連続稼働の当工場にとって、システム停止は許されず、徹底的な停止要因排除を検討する必要があった。以下にソフト障害とハード障害の対策を述べる。ソフト障害による停止要因としては、データ連携に絡む部分とバックグラウンド処理に関連する部分がほとんどである。これを排除する為に、関連度の高いデータベースを統合し、複雑に絡み合うデータインターフェースを無くした。また、バックグランド処理に関しては、サーバ側にEMSPRO/JMSSを搭載してスケジュール処理させる事で分離された処理サーバを排除した。ハード障害による停止要因としては、サーバ機器故障、電源供給障害、ネットワーク障害が挙げられる。サーバ機器故障と電源供給障害を回避するために、基幹系サーバにNEC製のExpress5800にクラスタシステム(CLUSTERPRO)を搭載し、現用系と待機系の二重化構造とした。また、ネットワーク経路の完全冗長化と機器の二重化を利用し、サーバへの接続経路を2系統に分けた事でネットワークトリガでのサーバ停止要因を排除した。FA系サーバは、クラスタとFT(Fault Tolerant)を比較検討した結果、フェールオーバによる影響を避ける為に、NEC製のFTサーバを選択した。

2)業務プロセスの最適化
システム部門の最適化だけでは企業にとってのメリットは低い。エンタープライズ・アーキテクチャの概念にもあるように、組織全体の最適化が必要とされていた。システム部門が各現場に出向いてプロセスの理解を深めるとともに、全ての業務部門からIT推進者を選任してシステムの仕組みを理解させた。そうした中でそれぞれが少し離れた客観的な目で実態をとらえ、無駄のないより効果的な業務フローを作成した事で全体の最適化を可能にした。

   
【4】 評価
  このプロジェクトにおける最大の効果は、業務部門の効率化と標準化によるCR効果であり、投資対効果が予想を上回った。システム面としては、システムの最適化と標準化による維持コストの大幅な削減で、今後のシステム改革においても大きな効果が期待できる。また、ハード環境の統合による管理運用費削減、更にフォールトトレラントによる大幅な信頼性向上が挙げられる。これらを総合的に判断して、全体の最適化は有効であったと評価する。

 < トップ < 特選/要旨

Copyright(c)NEC C&C Systems Users AssociationAll Right Reserved.