全NUAユーザー事例論文:論文パル2004
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HDTVデジタルアーカイブシステムの構築
〜動画プレビューによる映像素材貸出業務の効率化〜
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【1】 目的
 

麹町から汐留への新社屋移転に伴い、従来のようにテープの保管や保存素材の下見用にスペースを割くことが困難な状況になった。さらに、素材の検索から貸出申請を行うまでには、まず検索システムで素材を検索し、実際のテープまたは下見用のVHSテープを視聴して映像を確認し、貸出申請を行うという非効率な作業を強いられていた。
そこで、
<1>報道用素材や永久保存素材の素材検索、貸出業務の効率化
<2>テープ保管スペースの削減によるスペース効率の向上
<3>ノンリニア編集システムとの連携による生放送番組への即応性の確保を目的とし、本システムを構築することとなった。

   
【2】 概要
  このシステムは、
・従来テープで保存していた素材のデジタルストレージへの保存
・パソコン上での素材検索、素材の下見、素材貸出申請
・デジタルストレージからの素材の取り出し
を可能とするシステムであり、主に下記の機器から構成される。

■検索端末
素材検索、貸出申請は、社内LANに接続された100台の検索端末から行うことができる。下見用の動画が保存されている素材については、端末上での下見も可能である。

■制御端末
 素材のエンコードとデコードを行う端末。エンコードは、HDCAM、デジタルβカム、D2などのテープやノンリニア編集サーバーの素材を対象とする。エンコードは、放送用MPEG2映像と下見用MPEG4映像の同時作成または下見用のみの作成ができる。デコードは、HDCAMテープへのダビングのほか、ノンリニア編集システムへの映像送信も可能となっている。

■デジタルストレージ
放送用のHDTV画像を蓄積するストレージで、テープストレージとキャッシュの役割を果たすサーバーから構成される。テープストレージはMPEG2フォーマット、ビットレート80MbpsのHDTV映像を約1万時間分保存する。テープを増やすことにより、最大約3万3千時間まで保存できる。キャッシュ部分には、階層型ストレージ管理により、使用頻度の高い素材が格納される仕組みとなっている。

■検索用画像サーバー
下見用の動画を蓄積するサーバーで、MPEG4フォーマット、ビットレート最大1Mbpsの素材を約4万時間保存することができる。デジタルストレージに格納された素材1万時間分の下見用動画に加え、下見用動画のみの素材を約3万時間分保存する。
   
【3】 キーポイント
  このシステムのキーポイントは、
・フレーム単位でのHDTV素材貸出
・ノンリニア編集システムとのシームレスな連携
・素材情報(メタデータ)入力業務の効率化
である。

■フレーム単位でのHDTV素材貸出
ユーザーは検索端末で、下見を行い、貸出申請を行う際に、欲しい素材をまるごと申請するだけでなく、フレーム単位で必要な部分だけを指定することもできる。貸出情報はそのまま、制御端末に送信され、ライブラリスタッフがデコード作業を行うと、対象のMPEG2ファイルがデジタルストレージより呼び出され、必要な部分の切り出しを行うことができる。

■ノンリニア編集システムとのシームレスな連携
このシステムはノンリニア編集システムと連携している。それにより、ノンリニア編集システムへHDTV映像を直接送信することが可能となり、生放送番組への対応を迅速に行うことができる。また、ノンリニア編集システムで放送された素材を直接デジタルアーカイブに取り込むことにより、エンコード作業の効率化を実現している。

■素材情報(メタデータ)入力業務の効率化
ノンリニア編集システムだけでなく、ニュース番組の番組項目や素材情報を管理するシステムとも連携しており、素材タイトルなどの情報を再利用することが可能である。これにより、ライブラリスタッフの素材情報(メタデータ)入力業務の効率化を実現している。
   
【4】 評価
  開発は、ほぼ予定通りに終了し、2004年2月末に無事本番稼動することができた。当初の目的に対しての評価を整理すると、(1)については検索、下見端末100台の導入によりほぼ達成された。(2)については、まだ運用が始まったばかりであるが、対象となるテープを全てストレージに格納すれば約100uのスペースが約20u程度で済むことになり、約5倍のスペース効率を達成することになる。(3)についても、報道番組の一部で使用され始めたばかりであるが、これから徐々に利用が進むことで、効果を発揮するものと思われる。

今後の課題としては、当面はサーバーに蓄積する動画を増やし、より利用の促進を図ることと共に、テープの削減を推進することでスペース効率を高めることである。将来の方針は、今回構築したシステムをベースに、他システムとの連携を強化し、番組情報、権利情報、素材情報を統合したメディアアセットマネジメントシステムの構築を実現していくことである。

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