全NUAユーザー事例論文:論文パル2004
 < トップ < 佳作/要旨
品質保証を担保するシステム開発手法・バリデーション・変更管理と運用体制PDF(9KB)
 
【1】 目的
 

人類の生命と健康に貢献する製薬業界においては、製品のみならず生産機器およびコンピューターシステムについても継続的品質保証が求められる。一方、コンピューターシステムのライフサイクルの中での維持・運用をも含めた、コンピューターシステムにかかる費用の総計であるTCO(= Total Cost of Ownership)低減も求められる。コンピューター本体が高価だった1990年代前半までは、コンピューターシステムの導入にかかる費用は、ハードウェアやソフトウェアの初期購入費用を指していた。当時でもコンピューターシステムを維持・運用するための費用も掛かっていたが、保守費用等の人的コストなどに比較すると、初期導入費用が圧倒的に大きく、維持・運用費用は問題にはならなかった。しかし1990年代後半になってコンピューターシステムが多くの企業に導入され、ハードウェアやソフトウェアの品質・機能の向上と共に価格が低下してくると、初期導入コストよりも、導入以後にかかる各種の維持・運用(保守料金、故障したシステムの修理、障害の回復、ハードウェアやソフトウェアのバージョンアップ、テスト費用、データおよび資源の管理・運営等)に多くの費用が掛かるようになってきた。そこで、コンピューターシステムを導入する企業としては、始めは高価なシステムだったとしても、導入後の管理・運用に費用の掛からないシステムのほうが、結果的にコストダウンができることになる。TCOを低減し、目的を達成するために、確立された開発方法論・バリデーションが必要であり、信頼された運用を続けるためには、変更管理と運用体制の確立が必要である。

   
【2】 概要
  システム導入プロジェクトにおいて、初期の目的を達成し、TCOを低減するためには、開発方法論・バリデーション・変更管理・運用体制を効率的かつ効果的に推進できる理論と実践が必要である。加えて、当社が属する医薬品業界ではバリデーションは重要である。特に米国向け製品用にはFDA 21CFR Part11への対応が必須となる。本編では導入時の開発体制から稼働後の変更管理を含む維持管理のノウハウを具体的に紹介する。プロジェクト体制については全体の組織、組織/機能毎の役割と責任を論じる。開発方法論についてはプロジェクトの計画・開始段階から導入後の評価および変更管理を含めた維持運用までを論じる。バリデーションについては概論からガイドラインと文書モデルを論じる。事例としては、ERPを中心に、既に稼動中の事例に加えて、現在クライアント側NEC製PC約5,000台を使用して開発中の中外製薬株式会社を含める。
   
【3】 キーポイント
  スイスに本拠を置く世界的製薬企業であるロシュグループでは1996年以降グループ会社に、国際会計基準に基づくグループ基準運用システムおよび統一コード運用システムを備えたERPを導入している。導入した国は世界で50カ国を超え、本邦でも2つのグループ会社において安定稼動中である。筆者らは複数社へのERP導入経験をもち、ロシュグループメンバーとしての中外製薬株式会社で構築中のERP導入プロジェクトにおいても、ロシュグループのグローバル標準を基にして、開発方法論・バリデーション・変更管理・運用体制を効率的かつ効果的に活用している。単なる事例紹介でなく、汎用的に利用可能な理論とモデルを説明する。ユーザー要件定義、開発、教育、テスト、データ移行、システム稼働、変更管理および運用体制について、具体的な文書名と内容等、NUA会員各社に参考になる情報を提供する。
   
【4】 評価
  稼働している全てのシステムは安定稼働のみならず、費用、バリデーション、変更管理および運用体制について当初の目標を達成している。効果については全てではないが、一部達成している。評価方法についても紹介する。
以上

 < トップ < 佳作/要旨

Copyright(c)NEC C&C Systems Users AssociationAll Right Reserved.