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自治体システムアウトソーシングへの挑戦PDF(8KB)
 
【1】 背景と目的
 

柏崎情報開発センター(商標KASIX、以下「KASIX」という)は平成2年から柏崎市役所(以下「市役所」という)の電算室に社員を常駐させ、住民基本台帳システムをはじめとする住民情報システムの開発・運用・保守を行ってきたが、市役所には住民情報システムの他にも多数のシステムがあり、これらに係わる次の情報化課題を抱えていた。

<1>情報化技術への対応
高度化する情報化技術への対応が市職員では困難になってきている。人事異動により継続的な情報化人材育成が困難な状況にある。

<2>住民サービスの向上、業務効率向上、本来業務集中
市職員が帳票の発注、印刷後の裁断、機器契約などを行っており業務効率が悪い。本来業務への集中、職員の有効活用が期待される。

<3>電子市役所への対応
行政手続のオンライン化など電子市役所の実現にはインターネットによる24時間365日の住民サービスを行う必要があるが、そのための基盤・体制がない。住民サービスの向上と業務効率化が望まれる。

<4>安定・安全運用
システム毎に、開発・保守・運用を行う会社が異なるため、トラブル時の連携が充分でない。

<5>地元情報産業の育成
大手ベンダーが情報化業務を質・量ともに担当。地元に情報技術が残らない。
これらの課題を解決することを目的として、柏崎市役所の情報化関連業務を一括してアウトソーシングすることを提案、実施した。

   
【2】 概要
  <1>アウトソーシング対象業務
(1)基幹系システム
    住民基本台帳、住民税、法人税、固定資産税など各種税、国民健康保険税ほか。
(2)情報系システム
    財務会計、人事給与、グループウェア、柏崎市HP、電子メールほか。

<2>サービス内容
(1)情報サービスの提供(サーバ・システムの運用管理、PCを含めた利用環境の提供)
(2)帳票の手配、印刷、後処理、市役所への配達
(3)情報システム保守
(4)問合対応

<3>期間と規模
(1)期間:平成15年4月1日〜平成20年3月31日(5ヵ年)
(2)規模:約25億円(5ヵ年)
   
【3】 キーポイント
  <1>経費削減
以下の方策により10年間で約7%の費用削減を予定している。さらにこの費用の範囲内で次に述べるデータセンターによる情報化基盤の提供を実現しており、電子市役所に向けた環境が整備された。
(1) 長期的な計画による機器などの合理化
(2) 保守・開発作業の内製化率向上 (→地元情報産業の育成・雇用創出)
(3) 帳票関係の作業、問合対応などこれまで市職員が実施していた作業の合理化(→本来業務集中)

<2>セキュリティ確保
ファシリティ面のセキュリティ要件を満足するため、KASIXはデータセンターを整備し、市役所電算室にあったサーバを移設した。データセンターはISMS認証対応可能な以下の仕様とした。
(1) 電源設備:商用2系統、自家用発電機、無停電装置、電源車対応
(2) ネットワーク2重化:別キャリア、別経路
(3) 入退室室管理 : 指紋認証、ビデオカメラ監視
(4) 空調・消化設備
また、情報セキュリティ確保のため以下を実施している。
(1) 守秘義務契約:要員の登録と機密保持誓約書の提出。関係会社代表者の誓約
(2) データセンターセキュリティポリシー:「柏崎市情報セキュリティポリシー」と整合したデータセンターセキュリティポリシーの策定
(3) 「データセンターセキュリティポリシー」に基づく社員へのセキュリティ研修の実施

<3>サービスレベル協定
提供する情報サービスの品質を定量的に確保するため、サービスレベル協定(SLA)を締結した。70を超える項目について、重要度と目標値を設定し未達成の場合はペナルティを受ける。

<4>共同企業体による運営
柏崎市の第3セクターであるKASIXと地元の情報関連企業と共同企業体を結成し、アウトソーシングを受託した。既存の情報サービスの運用・保守を行うとともに、次の新しいテーマにも共同して取り組んでいる。
  (1)柏崎地域情報行政イントラネット構築
  (2)個人版電子市民便利帳構築
  (3)情報システムのオペレーティングシステム統一作業(Unix→Windows)
  (4)柏崎刈羽地域合併電算システム統合事業
  (5)国の事業の受託(経産省電源地域情報化推進モデル事業)
   
【4】 評価
  情報処理の専門化であるアウトソーサの総合的に合理化により経費削減や市職員の本来業務集中・人員最適配置に寄与することができた。今回のアウトソーシングを通じて実現した電源設備やセキュリティ基盤を備えたデータセンターでの運用により、これからの主要テーマである合併に伴う電算化統合作業や電子市役所への備えができ、自治体アウトソーシングの所期の目標は達成されたと考えている。またこれらの活動の中で次の評価を受けている。
・自治体サイトユーザビリティ調査2003  1位(日経BPコンサルティング)
・e都市ランキング2003  6位(日経パソコン)
今後はますます重要となるセキュリティの確保・個人情報の保護に向けた管理体制の強化に努めていきたい。

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