インターネット時代に対応する IPコンタクトセンターの構築
(PDF文書,832KB)


1.背景と目的
これからの企業経営には、顧客中心のビジネススタイルへの変革が重要なポイントである。弊社は平成8年4月よりコールセンターの運用を実施してきましたが、近年、電話とコンピュータを融合したコンピュータテレフォニーをベースにしたコールセンターが普及し顧客からの申し込み・問合せ等に活用されはじめ、顧客との効率よいコミュニケーション手段の確立が必要となってきた。
今後はITの急速な普及により、インターネットで顧客からの問合せ、相談、依頼への対応が増加すると考えられる。そこで以下の観点でコンタクトセンターの構築を検討した。
●いつでも、どこからでもコンタクトができる
●どんな相談にもOneストップで応対
●どんなコミュニケーションチャネルでも対応
といった顧客志向の立場でコンタクトセンター構築に着手した。

2.システム概要
本システムは電話・インターネットに対し、以下の様な機能を有し、これらによって顧客はコンタクトセンターにアクセスすれば、その問合せ内容に対応した処理機能に自動的に振り分けがなされ、タイムリーなサービスの提供を受けることを実現した。ロケーション的には、障害発生時のリスク回避と集約化によるコストダウンを目的に、大阪、東京の2ヶ所にコンタクトセンターを設置した。(大阪:150席、東京:110席)
このシステムのベースには、IPベースで音声応答システムやコールを自動的に振り分けるACDをWebサーバーデータベース、業務アプリケーションと連携した総合的なCRMシステムの構築が可能な先進的なプラットフォームである、シスコシステムズ社のICMを利用している。
2.1電話系
●対話型音声応答機能
電話からの問合せに対し、フリーダイヤルサービスにより2ヶ所のセンターに自動的に振り分け、音声ガイダンスによって問合せ内容を自動的に判別し、その内容に適したスキルをもつオペレータに自動的に電話を繋ぐ。
●番号通知機能
顧客からの問合せ時、顧客の発信番号及び発信地区から顧客DBを自動検索し、ポップアップさせ、また「修理受付」の際、対応するサービスステーションを自動で特定する等、オペレータの対応をサポートし、顧客を待たせることなく回答できる。
2.2インターネット系
●Webシェア機能
インターネットでの「技術問合せ」に対する顧客サポート機能で、顧客が見ているホームページの画面をオペレータも共有することができる。顧客の質問に対し、オペレータの操作によって顧客の画面を次々に変えながら説明することができる。
●修理受付機能
顧客がインターネットに故障状況、訪問場所等を入力することによりサービスエンジニアニアのスケジュールを自動的に確保し顧客への訪問日時を即答することができる。

3.キーポイント
3.1 ICM(インテリジェントコンタクトマネジャー)の導入
● 従来のコールセンターは、PBX+CTIサーバーで構築されおり、PBXの制約上、拠点ごとに設備が必要で、拠点間をまたがったACDの制御はできなかった。ICMは、IPベースのプラットフォームであり、違う拠点のオペレータの状態を集中管理できACDを一括で制御できる。今回のシステムでは、大阪のセンターで東京のセンターの管理も一括で行い障害時はバックアップが行えるよう構築した。
● 将来、電子メール、インターネット、電話でのあらゆる問い合わせを、一括に管理(Unified Message)することも視野にいれている。
3.2 Webコラボレーションの実現
● 「技術問合せ」に対し、従来では技術資料をFAXし、説明することが多かった。 今回、これら各種技術資料をWeb化し、顧客がインターネットから閲覧できるようにし、顧客自ら情報収集することが可能になった。またWebブラウザーで一つの画面を複数の人と共有できるWebコラボレーション機能を採用し、オペレータが顧客の画面を遠隔操作することで、顧客の問合せに対し、電話での対応とあわせ、きめ細かな対応が可能になった。
● 将来的には映像も扱い、商品説明会や研修会などへの適用も、国内のみならずグローバルに展開が可能である。
4.計画
本システム開発にあたり、ICM、CTI、アプリケーション開発等、それぞれを専門とする複数のベンダーと協業し、非常に短期間でシステム構築を行った。
0) コンタクトセンター構築に向けて意思決定(2000年5月)
1) センター設立に向けて社内プロジェクトの発足(2000年6月)
2) インフラとしてのICM利用の検討開始(2000年7月)
3) システムコールフロー、システム用件整理の検討開始(2000年9月〜12月)
4) ICM利用最終決定(2000年11月)
5) システム概要設計(2000年12月〜1月)
6) システム開発(2001年2月〜2001年4月)
7) 東西コンタクトセンターで集合教育実施(2000年4月)
8) 本番リリース(2001年5月7日〜)
9) 顧客の「生の声」の配信開始(2001年12月〜)

5. 評価
非常に短期間のシステム構築であったが、システム開発を協業した各社の協力のおかげで、納期通りの開発が完了した。またシステム稼動直後は、クライアントPCの画面フリーズやレスポンス問題など発生したが、約1カ月でそれらの修正を行い、空調シーズンになる6月までに対応を完了した。
また昨年は、例年にない猛暑でピーク時には各センターで1時間あたり1500コールを超える入電があったが、このシステムが効力を発揮し、その対応を乗り切った。
「技術問合せ」には、顧客ニーズの発掘や新商品コンセプトのヒントがあり、通信録音サーバーに保存されている顧客の「生の声」を分類し、商品開発のグループへの配信を開始した。今後は、顧客とのコンタクト情報の活用を更に進め、ダイキン流CRMを構築していく。