集中管理型分散ネットワーク運用管理
ミドルウェアの開発による完全オープン化への挑戦

(PDF文書,1.1MB)


1.目的・背景
化粧品日用品の卸商社であるダイカ株式会社では、1987年よりホスト集中型のリアルタイムオンラインシステムにより、北海道の10カ所の拠点を結んだ本格的な販売物流システムを稼働させてきた。1969年に7社が合併して創業して以来、数度の合併により拠点数を増やし、1990年には東北の同業者との合併の結果、拠点数が16カ所となった。拠点が増えるたびに、ホストのグレードアップに追われ、新機能の開発どころか経営の足を引っ張りかねない状況に陥ってきた。
そこで1994年から処理分散指向のシステム「DARWIN(ダーウィン)」を開発し、ホストの負荷分散をはかってきたが、2000年問題がもちあがり、過去の膨大なソフト資産の修正の必要が出てきた。完璧なシステム仕様書が残っている保証がないため、すべてのプログラムの調査をしなければならず、発見されたプログラムを修正し、テストし、本番に移行するという膨大な作業が見えてきた。そこで2000年問題をクリアし、今までの問題点であった急激な拠点の増加やデータ量の増加、オープンシステム化対応などを考慮して、思い切って完全オープンの分散ネットワークシステムを開発する事とした。
第一に配慮すべき事として、ホスト集中型のリアルタイムオンライン処理に慣れている社員に対して、オペレーションレベルでの煩わしさ感じさせず、安定したシステムを提供するためには、汎用機のOS概念をWindows上で実現する事が重要と考えた。
しかし開発に着手した1997年には、我々が考える集中監視できる機能を持ったコストパフォーマンスのよい運用管理ミドルウェアがほとんどなく、運用管理ミドルウェア自体を自社開発する事とした。
1.短期間での開発を実現するため、開発生産性を確保しつつ精度の高い開発をする必要が求められ、利用する開発言語等の調査の結果、Windows-NTとDelphiを全面採用してすべての開発を行う事とした。
2.20数年にわたる汎用機中心のシステムからの全面移行のため、プロトタイピング手法を採用し、α版、β版を開発し検証し、最終的に正式版の開発をするステップアップ方式をとりいれた。
3.また開発標準や雛形を作りながらオープン系の開発ポイントや考慮事項の開発者への徹底や言語・データベースの教育も並行して進めた。
4.そして、一番不安だったオープンシステム特有の不安定な動作やバージョン違いによる誤動作・OS自体のバグなど、汎用機では考えられない事が実際に発生する問題には、利用するすべてのソフト・ハードのバージョンの相性等、あらゆる角度から検証して開発する事で安定性の確保をする事とした。 開発したミドルウエア「Glpack(ジーエルパック)」は汎用機のOS概念と信頼性を持った、将来の機能強化やオプション連携をも容易に取り込む事が出来るインターフェース持ち、自社でメンテナンス出来る運用管理ミドルウエアとして開発する事ができた。

2.システム概要
(1)運用管理ミドルウエア(Glpack)の特徴
専門知識のない拠点の社員が安心して利用できるシステムとして監視機能や障害復旧支援・システムリソースの自動更新などの遠隔操作機能を取り入れた、汎用機の集中管理機能を取り入れた「集中管理可能な分散処理」を実現する運用管理ソリューションとして機能するミドルウエアである。
1.支店サーバー及びセンターサーバーを常時オペレータが監視する必要がなく、遠隔地のサーバもリモートで運転出来る。すなわち専任オペレータが的確な判断が出来る事を目的に、WAN上につながっているサーバー群が階層構造に監視でき、障害発生時には障害を解析できる履歴データを、情報システム部の管理サーバーへ通知し、オペレータをコールするなど、素早い障害復旧のための工夫。
2.画面操作や帳票出力など使用目的にあわせた最適な操作性を実現。
3.ルート情報に基づいた分散リソース自動配布とシステムへの自動取り込みを実現
(2)運用管理ミドルウエア(Glpack)の機能
1.システム管理サービス Glpack/SCS(System Control Service)
2.ジョブ管理サービス Glpack/JCS(Job Control Service)
3.帳票管理サービス Glpack/RCS(Report Control Service)
4.メッセージングサービス Glpack/MCS(Message Control Service)
5. 配付制御サービス Glpack/DCS(Delivery Control Service)

3.キーポイント
(1)分散ネットワークコンピューティング
インターネットテクノロジーを活用したサーバ連携
(2)2層バッチトランザクション型及びCS型 システム
(3)Windowsプラットホーム
Windows-NT、Windows95/98
(4)ディファクトスタンダード
ORACLE、Deiphi、FTP(+Socket).SMTP/POP、Socket
(5)ローコスト志向
ハードウエアコスト、運用管理コスト
(6)信頼性の確保
部品レベル、専用機能サーバ、サーバ機能バックアップ

4.開発
期間:1997年9月11日キックオフ・・・1999年12月までに全拠点切り替え達成
開発にあたり下記のシステム要件を明確にして進めた。
(1)開発標準
ネーミングルール、インターフェース、テンプレート、データベース
(2)性能確保要件
ネットワークトラフィック、DBアクセス、DBサーバ多重化
(3)品質確保要件
機能のカプセル化、検査仕様の設計
(4)全社データ連携要件
実績データの収集、マスタメンテナンスデータの配付、ACOSへの中継
(5)システム移行要件
データ特性・並行運用特性の応じた手順/ツール設計、段階的システム設定

5.評価
(1)システム基盤動作検証
(2)システムα版動作検証
(3)システム品質の確保
(4)システム納期の確保
この西暦2000年対応をした基幹システムが最初に稼働しはじめたのは1999年3月である。苫小牧支店をかわきりに北海道15の拠点を切り替え、東北6拠点を切り替え終わったのが1999年11月末であった。この開発の最中1998年4月に関東圏と秋田県の企業との3社合併が行われ拠点数がさらに16カ所増え、これらも後日システム統一する事となった。その結果12月から早速、性能改善のためのチューニングを行いバージョンアップをはかり2001年1月までに切り替えを終えたが、またまた2000年8月新潟の同業者との合併があり、2002年4月を目処の全ての機能のグレードアップをし切り替えるとともにさらなる支店の効率化をはかるべく改善を続ける。