トラブルゼロへの挑戦
〜意識の統一から品質向上へ〜

(PDF文書,1MB)


1.背景と目的
MSKシステム開発(株)は三井住友海上火災保険(株)の情報システムを担う会社であるが、2001年10月に住友海上火災保険(株)と三井海上火災保険(株)の合併により、両社のシステム子会社も合併し新たな会社として再スタートをした。近年は保険自由化により新商品競争が激しくなり、システム開発力が重要なファクターとなっている。新商品の発売に対応して、低コストかつ高品質のシステムを迅速に作り上げることが我々システム開発技術者に求められている。
そのようなシステム競争のなかで、2000年から2001年にかけては、従来システムの開発・保守に加えて、親会社の合併に伴うシステム統合及び、保険自由化に伴う新商品対応の二大システムの開発を行うことになった。
当チームでは、担当している自動車保険システムを通して、保険契約者に影響が出ないよう、「スケジュールの遵守」と「トラブルゼロ」を目指してシステム統合に取り組んだ。

2.概要
トラブルゼロの目標を掲げて取り組んだ「開発ルール10か条」及び、そのルールをいかに徹底してきたかを本論文の主文とする。
ひとつひとつのルールは”あたりまえ”のことが多いが、当チームはこの”あたりまえ”のことをチーム全員が徹底するよう「意識の統一」をはかり、10か条を実践したことにより、システム統合及び新商品対応において高い品質レベルを保ちつつやりとげることができた。
「開発ルール10か条」
〜設計時〜
ルールその1:修正対象洗い出しツールの使用
(修正漏れの防止)
ルールその2:プログラム仕様書・テスト計画書の書式統一
(仕様確認の徹底)
〜コーディング時〜
ルールその3:基準書に従ったコーディング
(誰がみても分かりやすいプログラム作り)
〜テスト時〜
ルールその4:実例に即したテストの実施
(テストパターンの網羅)
ルールその5:マッチングテストの実施
(品質低下の防止)
ルールその6:テスト検証物のダブルチェック
(チェック漏れの防止)
〜本番稼働前〜
ルールその7:プログラムの本番移行、リンクのチェック
(移行漏れの防止)
〜本番稼働後〜
ルールその8:本番出力品の検品
(最終確認)
〜その他〜
ルールその9:電子共用キャビネットを利用したドキュメントの作成・管理
(情報の共有・メンテナンスの効率化)
ルールその10:各開発工程ごとのレビューの実施
(担当者相互の意識合わせ) 

3.評価・課題
会社合併という短期間でのシステム対応が求められた中で、チーム全員で意識の再統一を図った結果当チームトラブル数はトラブル全体の約5%と、最小限にとどめることが出来た。何より最大の目標である、「保険契約者までトラブルを波及させない」ことを達成できたのは、今回の大きな成果だったと言えよう。「トラブルゼロ」はシステムに携わる者にとって、最大の課題であるが”ゼロ”と言う数字へたどりつくのは極めて困難である。しかし、さらに進んでゆくであろう保険自由化の中で「トラブルゼロ」を目指すことは我々にとって命題である。今回の結果を踏まえ、引き続き10箇条を遵守していくとともに、より良い方法を模索しながら品質の高いシステム構築を追究していく。