WINDOWSメタファイルを使った品質情報図面管理システムの構築
(PDF文書,666KB)


【要旨】

1.目的と背景
当工場は、建材用のアルミ形材をアルミビレットから押出成形し、それに着色を施し、ダンボール梱包を行ったのち製品出荷を行っている。各製造工程は、ファクトリー・オートメーション(以下 FA)システムにより集中監視制御されており、各設備から製品のトラッキング情報がFAコンピュータを介して工場ホストコンピュータにリアルタイムに送信されている。また、アルミ形材には、製品として断面の形状精度と寸法精度が要求され、現場においては品質管理の検査用に図面を確認する必要がある。そこで、製造する形材の種類が1万型種以上あることにより、現場において形材の断面形状を表示・印刷するシステムが必要となる。従来は、N6500をサーバとしたイメージ表示システムを導入し、FAシステムと連動した形で図面データを提供してきた。しかし、記憶装置の容量不足・N6500等の製造中止によりシステムの機能アップがはかれないため、クライアント/サーバ型のシステムを再構築した。再構築に際して、次の項目を基本的要件として盛り込み、安価で機能的そして簡単なシステムとした。
(1)図面と製品の同期表示をFAシステムと連動して行う
(2)ネットワーク負荷の軽減と表示レスポンスの向上のため図面データは、ベクトルデータとする
(3)図面データの重ね合わせを可能とする
(4)図面データの作成が簡便に出来、かつ汎用性がある
以降、そのシステムを紹介する。

2.概要
システムの構築に際して、「WINDOWSの基本機能(通信・ファイル管理等)のみを使う」「WINDOWSとの相性でマイクロソフトの開発ソフトのみを使う」を前提として次の基本姿勢でシステムを構築した。
(1)図面データとして、WINDOWS標準機能であるWINDOWSメタファイル(ベクトルデータ)を使用
(2)ファィル管理は、データベースソフトは一切使わずWINDOWSのファイル管理機能(NTFS、FAT等)を使用
(3)データ通信は、通信用ミドルウェア等は使わずソケット通信を利用
(4)帳票は、帳票作成ツールを使わずVB/ACCESSのみで作成
(5)OS・ソフトウェア等のバージョンアップに影響されない作りにする
これらにより、作り込みの多いシステムとなったが、逆にWINDOWSの基本機能のみで作ったため、WINDOWSの知識があれば簡単で分かりやすいシステムとなった。
次に、システムの大まかな機能構成を示す。
(1)図面データの照会・印刷(図面番号の手入力/FAシステムからのメッセージ受信)
(2)図面データのメタファイル形式によるデータ登録/削除
(3)マスターデータ(キャラクタ)のメンテナンス

3.キーポイント
<図面データの照会>
1)画面表示データの部分拡大/全面拡大及び画面スクロール機能
・使用するPCのCRT画面が17インチなため数字や文字が見にくかったり、細かい箇所が分かりづらかったりした時、部分拡大したり全面拡大しスクロールにより確認する
2)画面分割一括表示機能
・1画面でいくつもの図面データを表示したい時、画面を分割して複数図面表示

<図面データの表示&帳票印字>
1)メタファイル(図面データ)の重ね合わせ
・ベースとなる図面データの上に、各工程個々に必要な図面データ(品質情報の図形指示等)を重ね合わせることによりデータの分類とデータ量の削減をはかる(CADにおけるレイヤの概念を取り入れた)

<メタファイル形式によるデータ登録>
1)クリップボードがらのデータ作成
・CADやイメージスキャナーからメタファイル形式でクリップボードへ転送し、登録プログラムによりクリップボート上のデータをファイルに書き出す
2)直接画面入力によるデータの作成(自前による簡易CADプログラムの作成)
・簡易CAD上でマウスを使って書いた図形(文字も含む)をメタファイル形式でファイルに書き出す

4.計画
プロジェクト期間:'99年8月 〜 '00年5月
WINDOWSメタファイルの評価(5ヶ月) システム設計(1ヶ月)
製造&テスト(3ヶ月) データ作成(2ヶ月)
投入人月 :11人月
参加人数 :SE1名,PG1名,その他1名

5.評価
現場に対して、図面データの重ね合わせ等により品質情報を提供しやすいしくみ作りが出来、検査ミスや検査工数の削減に貢献することができた。また、FAシステムとの連動によりキー入力による画面表示や印刷というオペレーションを極力省くことで、作業負荷の軽減を図ることができ作業者の評価は上々である。さらに、WINDOWS標準形式のイメージデータを採用したことで、一部のエンドユーザにおいては、自ら図面表示機能を持ったシステムをACCESSで作り始め、図面設計者になるとCADのコマンドとVBを組み合わせてCADデータから自動的にメタファイルを作る仕組みを構築し工数の削減につなげている。このことは、EUC推進を図っていくうえで喜ばしいことである。今後は、ペーパレス化へ向けての更なる改造を行っていく。