市場変化に即応するハイサイクル工場経営の実現と新生産システムの構築
(PDF文書,586KB)


【要旨】

開発の目的
空調製品は季節変動の影響を受け、突然の猛暑や冷夏になると出荷量が大きく変動するため、品切れや過剰在庫を生じやすい。そこで弊社は『ジャストインタイム』の概念に則った「一個流し生産」や「製品組み立てと半製品・部品の同期化生産」により需要変動に追従した生産を行ってきた。またリードタイムも60日→30日→15日への短縮に向けてシステムのブラッシュアップを続けてきた。しかし今後の更なる市場変化や「顧客」から「個客」への対応、またグローバルレベルでのタイムリーな製品供給を実現するために抜本的な改革が必要になってきた。
生産業務プロセスの改革として、最小の製品在庫で品切れを起こさない体制の確立を目指した。ここでは『ジャストインタイム』の概念を個客まで延長し、個客からの受注データをタイムリーに生産に反映する仕組みや、生産協力企業側との迅速な情報共有など、計画立案から部品調達、生産進捗まで、ITを駆使したきめ細かい情報管理とスピードアップにより「ハイサイクル工場」をめざし、生産のフレキシビリティ向上とリードタイム短縮(5日)を図った。
これらを実現するために、計画支援システム「Explanner」を活用し予測などのシミュレーションによる精度の高い計画や、MRP処理ではNEC殿の協力を得てベンチマークを繰り返し、短期間で高速化の目処をたてた。また、協力企業とはWeb-EDIを活用し、高いセキュリティとコストダウンを両立させて効率的な情報連携を図った。

システム開発概要
システム構築のポイントとして
1)見込生産型から在庫補充型・受注連動型・受注生産型への転換
2)需要変動に柔軟に対応できる計画立案
3)部品特性に合わせた多様な調達方式
4)協力企業との情報共有のスピードアップ化
など、ハイサイクル工場経営を支援する情報化に取り組んだ。

計画立案
最近の市場動向と過去のトレンドデータを活かした需要予測を元に生産計画を立て、その後の需要変動に対しては、週次サイクルで出荷情報を生産計画に反映したり、毎日の受注情報を直接、生産計画に反映するようにした。生産計画立案と同時にExplannerを利用して部品の過不足やライン負荷をシミュレーションすることにより後戻りしない仕組みを構築した。
部品調達
計画変動を日々部品調達へ反映するため、処理時間の大幅な短縮を図った。また、部品の共通性やリードタイムを考慮した調達機能や、急な増産にも対応できるように安全在庫管理機能や複数社への同時発注機能、複数ライン同時生産時のタイムリーな納入指示機能を織り込み、生産量の変動に追随できる調達機能を構築した。
EDI
協力企業へはきめ細かい教育計画に基づく導入支援により、わずか3ヶ月で全取引先との接続を実現した。また、ダイキンからの一方向の情報提供だけでなく、双方向の情報共有を図り、生産進捗をすばやく把握しアクションにつなげていく仕組みを構築した。

キーポイント
業務変化に柔軟に対応できるシステム構築
オープン系システムの特性を生かしシステム間のリアルタイム連携や、データベース設計ではデータの正規化を推進し、これまでのProcess OrientedなシステムからData Orientedなシステムへ切り替え、ユーザ部門の業務変更にも柔軟に対応できる仕組みにした。ネットワークもTCP/IPに対応し、ユーザ部門が自由に情報活用できる環境を構築した。

システム開発生産性の向上
ユーザ画面の作成には開発標準化と生産性向上を目指し、Excelに設定情報を記述するだけで、入力チェックを行う画面の自動生成とSQL自動生成を行う機能を持ったツールを活用した。

処理の高速化
MRP処理の高速化を図るため、部品展開では全ての適用年月日のデータに対してワンパスで処理を行い、配列に格納したデータをメモリ上で編集する仕組みやOracleのパーティション機能を利用した並列処理を行うことで、短時間での処理を可能にした。
画面プログラムでのロジック部は、高性能なサーバ上の処理とした。画面プログラムは、サーバ上のロジック部と通信して表示する機能を"主"としたため、データ抽出〜編集といった処理を個々のクライアントで行うことなく高速で処理することが可能となった。

開発日程
処理の高速化や基本となる処理については、業務設計と並行して行い。わずか3ヶ月目にはユーザ部門でシステム評価が行えるようになった。その後、ユーザニーズを順次システムに織り込んでいき9ヶ月目でリリースを迎えることができた。

評価
生産の管理サイクル短縮により、生産リードタイム5日を実現した。生産量の変動に対応するため、複数ライン生産や人員配置計画の早期立案が対応可能となり、生産のフレキシビリティ(変動率300%)が向上するなど、ハイサイクル工場が実現できた。さらに2000年度は、1998年度比約60%という大幅な製品在庫の削減(保有日数で50%削減)が実現できた。