「Windows-Based Terminalを利用した小売業における発注業務改善」
(PDF文書,670KB)


【要旨】

1. 目的と背景
現在、小売業をとりまく環境は、消費の低迷あるいは競合他社との競争激化により厳しい状況にある。こうした中で、競争に勝ち抜き適正な利益を確保していくために、中・四国でチェーン・ストアを展開している(株)フジでは、店舗における最も重要な業務である「商品の発注業務」の改善に取り組んでいる。この取り組みをサポートするために、日配品をターゲットとしてWindows−Based Terminal(以下:WBT)を中心としたシステム構築に取り組んだ。
従来、日配品の商品発注は、本部より店舗に送付されている発注台帳をもとに、小型端末へ発注数入力していた。
事前調査により従来の方法による問題点として、以下の項目が確認された。
・発注数決定に必要な情報が整理できていないため、各担当者が使っている情報がバラバラである。
・紙をベースとした情報提供であるため、最新情報が間に合っていない。
・発注における作業が煩雑なため、考える時間が取れていない。
そこで、以上の問題点の改善することにより、発注精度の向上(ロス率削減)及び発注作業の簡素化(考える時間の確保)が図られると仮説を立てた。

2. システム概要
システム化にあたり、店舗の発注担当者が売場で業務を完結できるよう無線方式を選択し、情報の一元化によるデータ量の増大に備えWBT方式を選択した。このシステムは、店舗の発注用サーバーに発注に必要な情報を集約することで、WBTで情報分析しながら発注できるようにした。

3. キーポイント
1) プロジェクト
システム構築にあたっては、発注業務改善の一環であるため、システムだけでなく業務自体も見直す実験・評価を重ねた。実験スタート時は、有線式の端末を利用して、現場での画面レイアウト及び発注に必要な情報の検討を行い、本格的な業務改善の検討と並行して、WBT方式へと開発を実施した。
2) 発注精度の向上
発注に必要な情報を整理して店舗サーバーに集めるとともに、実験により要望のあった発注予測情報・最終売上時刻・廃棄情報を追加して、より多面的に分析できるようにした。また、発注台帳を廃止することにより、前日実績を翌朝発注時に反映することで、よりホットな情報提供を可能とした。
3) 発注作業の簡素化
店舗サーバーの情報をWBTで検索することで、情報の収集・整理の時間を削減した。また、発注台帳記入(売場)・発注数入力(担当者室)・発注数送信(事務所)の作業を、売場でWBTを使い完結できるようにした。

4. 計画
4店舗の実験店を選び、現状調査・分析・開発・評価・修正を実施した。
1) 1次実験(平成11年5月〜12月)
有線式での実験・評価
2) 2次実験(平成12年1月〜10月)
WBT方式での実験・評価
3) 店舗展開に向けての上申と承認(平成12年12月〜平成13年1月)

5.評価
1) 発注精度の向上
発注業務の見直しと、発注に必要な情報の充実・提供方法の改善により、実験店においてロス率が前年より10%改善された。
2) 発注作業の簡素化
従来、発注数決定時に充分な時間が取れていなかったが、発注台帳の廃止等により事前ミーティングが行われ始めた。
また現場のパートタイマーから、「自分の発注した商品動向が翌日の発注時にわかるため、ドキドキしながら見ている。発注が楽しくなった。」、「発注予測数がでるため、自分の予測と大きく違っていたとき、原因を考えたり上司に相談するようになった。」等の感想が寄せられた。システム側として大いに勇気づけられ、投資の厳しい中で展開に向けて積極的なアプローチができた。また、展開しながらソフト面の充実を図っていくことで、更なる効果が期待できる自信ができた。
※このシステム構築は、潟tジ様・日本電気蒲lからの大きな支援を受けています。