「ITオフィス導入によるSEのワークスタイル変革」
(PDF文書,580KB)


【要旨】

<目的>
流通業、サービス業、交通業のSIを担当するNECソフト第五SI事業部では、バリュー創造企業を目標に、平成12年4月からオフィスのIT化に取り組んだ。
従来のオフィスは、在籍人数分の机を確保し一人一台のデスクトップPCを配付していた。SEの作業においてはドキュメント(紙)が主流で、オフィスはPCと紙であふれており、とても最先端の仕事をしているオフィスとは言い難いのが現状であった。
また、当事業部では、組織のフラット化の試行で、受注案件毎にPJを組織して作業を実施しており、従来型オフィス環境での業務遂行に支障をきたすという危機感があった。
このような、状況の問題点を解消するために
(1)業務の生産性向上を出来るオフィス
(2)フラット組織が生きるオフィス
(3)お客様、社員へのクイックレスポンスが出来るオフィス
(4)どこにいても、同質の作業が出来るオフィス
(5)社員が会社へ来たがるオフィス
のコンセプトを満足できるオフィスの構築(ITオフィス)を平成12年4月に開始し、同8月にオープンすることができ、SE作業効率の向上により従来以上にお客様の役に立つシステムソリューションの提供が出来るようになった。

<概要>
ITオフィスを目指したきっかけは、前述の危機感に加え、平成12年3月に全社的に行った紙の使用量調査で、第五SI事業部が、ワースト3になったことであった。そこで、当事業部では、プロジェクトチームを発足し、ITオフィスのコンセプトを実現するための問題点・課題の洗い出しを平成12年4月に開始した。課題としては、大きく3点があげられた。
(1)フロア面積の問題
H12年度に1.5フロア、H14年度には2フロアが必要となる。
(2)紙使用量の増大
紙だけでフロアが埋まってしまい、ISO14001取得に支障をきたす。
(3)SEが使用するPCの陳腐化
これらの課題の検討方向として以下の3点に注視した。
(1)社員の作業スペースのフリーアドレス化
(2)紙文書の電子化
(3)ノートPC化(モバイル化)
ITオフィス化を進める上で、まず、PJチームで先進の企業訪問を行い、オフィススペースのフリーアドレス化がキーポイントであることの共通認識を得た。フリーアドレス化を軸にすることで、他の課題もクリアできることがわかった。 平成12年4月の段階で、1.5フロアを占有しており、中期計画の人員計画では平成14年に2フロアが必要となる。そこで、平成14年度まで、1フロアで収容可能なオフィススペースの設計に取り組んだ。
●SEが自由に座れるフリーアドレス制の採用
4月から1ヵ月間かけて調べた結果、SEの在席率は平均して4割、多くても6、7割程度であった。つまり、その半分は無効なスペースであることが判った。これをもとに、フリーアドレススペースの設計をした。

従来1人1台デスクトップパソコン体制を、フリーアドレスの導入に合わせてノートパソコンに変更した。また、座る場所が自由となると電話が入った時の対応も整備しなければならない。そこで、受付システムを開発/導入した。社員はオフィスに入る時に、オフィス入口の「受付アシスタント」に自分の座る場所を入力し、逆にオフィスの外に出る時はオフィスに戻る予定時間を入力する。携帯電話を全員に配付しており、一台の携帯電話で、携帯、phsと、オフィスモードという3つのパターンに対応する。お客様から電話が入った時は、各自の携帯電話に内線転送される仕組みを構築した。スタッフが電話を取り、「受付アシスタント」で名前をチェックすると即時に在籍状況が確認できるため、外部からの電話連絡等に対するレスポンスを大幅に高めることができた。オフィス内でSEの携帯電話にかかってきた電話は、本人に用事がある場合に限られ、関係のない電話はとらずにすむことで、自作業に専念することができ、作業効率が大幅に向上した。
また、事業部長、担当部長などのマネージャーが一カ所に集まることで、問題が発生した場合、事業部としてスピーディーな意思決定が可能となった。

<評価>
(1) お客様、NECグループ、社内より多くの見学者が来場され一様に驚きの声を頂いている。また社内では、他事業部のデジタルオフィス推進委員に、また、グループ会社等へ導入に当たってのノウハウを紹介した。特にグループ会社の一社ではH13年度にデジタルオフィス化を計画しており、当事業部の事例をモデルとして、推進されている。
(2)事業部員の評価として、『広々として美しいオフィス』、『どこでも作業が出来るオフィス』、『作業に集中できるオフィス』等の評を得ている。
(3)費用削減額は、年間で『4,300万円』を見込んでいる。また、平成14年度の人員計画によれば、2フロアを必要とするが、当ITオフィスにより1フロアでの対応が可能となり、年間1億円程度の費用削減が見込める。
(4)その他の主な効果は以下の通り。
・当初の座席目標(210名の50%)に対して56%の座席配備となった
・上司と部下間の情報伝達やコミュニケーションが促進
・社員間の情報共有が促進
社内業務、連絡が減り、ユーザ訪問が増加