WebアプリケーションによるPDMを核とした技術情報システムの構築
(PDF文書,460KB)


【要旨】

a)目的
弊社親会社である日本車両の鉄道車両本部設計部門では、NEC社製PDMパッケージソフトであるObbligatoの一部機能を用いて、図面台帳の自動採番システムを稼動させていたが、膨大なイメージ情報を持つ光ファイリングシステムの更新問題、ObbligatoのY2K問題、EWSサーバの更新時期、ユーザからの機能拡張の要望等を契機として、最新のPDM技術を利用した統合技術情報システムを目指した。
(1) 設計業務の効率化を目指して、図面台帳とCAD情報、イメージ情報の統合化を行い図面検索スピードの向上を行う。また、グループウェアやPC−CAD等の設計者のエンドユーザコンピューティングを確立する
(2)全社的な情報共有を目指して、製造・調達部門への情報公開を行いコンカレントなエンジニアリングの推進を行う。
(3)ワールドワイドなPDMの展開を睨み、ユーザカスタマイズ部分を最小化してObbligatoUのバージョンアップへの追随性を確保する。

b)概要
設計業務における技術情報支援システムとして、図面管理、文書管理、資料管理、その他設計規約やオンラインヘルプ等の掲示板機能で構成している。
図面管理はCADシステムとの連携で自動採番を行い、図面情報属性の登録、修正を行う。出図され正式となった図面はスキャナーと連動したイメージ登録機能で図面属性と紐付して登録する。鉄道車両メーカ他社からの手書き図面の採番や図面属性の検索、イメージ図面の参照にはWebブラウザを用いて、設計者各個人の席から利用することが可能である。文書管理(設計通知書や社内規程文書等)は採番や文書情報属性の登録・修正・検索を行っている。また、資料管理(設計者のノウハウとして必要な資料を検索できる機能)も自席から利用可能となる。
これらはWeb(イメージ登録機能以外)でのカスタマイズアプリケーションとして作成した。しかし、設計業務における多角的な検索に対応するには定型化された画面では表現しきれないので、ObbligatoUの汎用アプリケーションであるドキュメント管理を用いてより複雑な条件での検索ニーズに答えられるようにした。

c)キーポイント
Web技術及びPDMパッケージを用いたことにより、以下の特徴があげられる。
(1)開発の短納期化
Windowsの標準開発ツールのVisualBasicとWindowsのWebサーバIIS(Internet Information Server)でのASP(Active Server Page)によるVBScriptを用いることで、効率的に短期間での開発が可能となった。
(2)保守メンテの容易性
C/Sとは異なり、アプリケーションの修正や追加がサーバ側だけで即対応が可能となった。また、DBの運用保守もObbligatoUの基本機能で柔軟に対応可能となった。
(3)広域での利用が可能
PCがLAN上にあれば他部門やWANを用いて遠隔地での業務拡大が可能となった。
(4)汎用パッケージでの利用
広く一般的なPDMパッケージを用いて、業務処理への展開を早め、より新しいアーキテクチャを取り入れて、業務の効率化を目指していく。

d)計画
・スケジュール
98年 9月 システム開発検討開始
99年 1月 概要設計
99年 3月 プロトタイプ版開発
99年 5月 詳細設計(プロトタイプ版による再評価)
99年 7月 製造開始
99年 9月 本格運用開始
00年 2月 他部門で一部機能利用開始

・システム構成
WindowsNTサーバ(Express5800):1台
Windowsクライアント:約10台
Webクライアント:約100台

e)評価
(1)図面台帳とCAD情報、イメージ情報の統合化で、設計者は自席のパソコンで全てを操作出来るようになり、図面検索時間が短縮できた。
(2)Web技術とPDMパッケージを用いたことにより、短期間での開発が可能となり、かつ機能拡張や保守メンテが容易となった。また、今回の開発のノウハウが他事業部での光ファイリングシステム更新のシステム開発にも効果的に転用した。
(3)UNIXサーバからWindowsNTサーバに切り替えたことにより、導入コストも約半分になり、TCOからの面でも成果があった。性能面でも以前のシステムに比べ検索スピードが2〜3倍の改善となった。

今後の課題となった、図面表管理(図面構成管理)や出図日程管理の機能を網羅した技術情報DBの機能追加、製造・調達部門への技術情報の開示に向けて取り組んでいきたい。