大規模ネットワークのバックアップ
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【要旨】

1.目 的
住友海上火災保険鰍ヘ、全国約600箇所に及ぶ営業・事故調査拠点、管理部門を結んだエクストラネットワーク(システム名称:SKYネット)を構築している。
東西のコンピュータセンターに設置したホストによるオンライン業務、損害調査部門118箇所に設置したサーバーによる分散システム、スターオフィスをベースとしたグループウエアーに加え、最近では社外のお客さま、代理店とのインターネット接続など全てのシステムがネットワークを介して結ばれている。
大規模ネットワークの場合、構造が複雑なこともあり障害発生時の影響範囲は大きく、復旧にも長時間要する可能性が非常に大きくなる。このリスクを未然に防ぎ万一発生しても最小限に収めるために、ネットワークのバックアップの仕組を検討・導入し大きな成果を上げている。

2.ネットワークの概要
2.1 ネットワーク構成
ネットワークの構造を大きく3階層に分割することにより、障害時の影響範囲の最小化、障害復旧の早期化を図っている。(補足資料参照)
2.1.1 1階層目:大規模WAN
・全国を8のエリアに分け、各エリアの中心となる支店(拠点:本店、事務センタ、大規模支店)にNEC社製MM−Node9510(以下ATM交換機)を設置し、NTT社ATM網のメガリンクサービスでメッシュ型ネットワークを構築。
・拠点のLANは、Cisco社製ルータ2台によるバックアップ構成(ホットスタンバイルーティングプロトコル)を、トラフィック分散を考慮し導入。
2.1.2 2階層目:中規模WAN
・各エリアの拠点を中心に、中規模支店にNEC社製MM−Node9070(FR交換機)を設置し、専用線でスター型ネットワークを構築。
・MM−Node9070は全国40箇所に設置。
2.1.3 3階層目:小規模WAN
・中規模支店と支店・支社を専用線で、営業所をNTT社FR回線で接続し、Cisco社製(NEC社OEM製品)ルータでスター型ネットワークを構築。
2.2 ネットワークのプロトコル
SKYネットでは、 DINAとTCP/IP、2つのプロトコルをサポートしている。
2.2.1 DINA(シリアル接続)
・東西のコンピュータセンターに分散されたホストシステムへの接続
・端末はシリアル接続(DINA)を使用
2.2.2 TCP/IP
・分散システム、グループウエアーとの接続、インターネット接続
・端末はTCP/IPを使用

3.キーポイント
3.1 ネットワークのバックアップ
「3階層の階層別バックアップ」と「プロトコル機能によるバックアップ」の組合せによりネットワーク網全体のバックアップを図っている。
3.1.1 階層別バックアップ
1層目:回線障害時は、ATM交換機の機能により自動的にバックアップ回線へ切替。
拠点LANのルータ障害時は、フリーソフト(TeraTearm)のマクロ機能により手動切替。
2層目:バックアップ回線としてNTT社のFR回線を使用し、コンピュータセンターと直接接続。回線障害時にはATM交換機の機能を使用し、バックアップ回線へ切替。
3層目:バックアップ回線として支店ルータからNTT社のFR回線を使用し、コンピュータセンターと直接接続。回線障害時にはATM交換機の機能を使用し、バックアップ回線へ切替。
3.1.2 ネットワーク機能によるバックアップ
TCP/IP接続:基本的にダイナミックルーティングを使用し自動的に迂回
DINA(シリアル接続):
・WAN:ATM交換機の監視装置であるMM−VIEWより、GUIまたはシェルコマンドを使用して迂回設定。障害復旧時も同様の操作で切戻設定。
広域災害等によるコンピュータセンターバックアップも同一操作で切替設定が可能。
・LAN:ルータおよびポート障害を考慮したマクロを準備し、パソコンから切替設定。障害復旧時も同様の操作で切戻設定。
3.2 トラフィックの分析とネットワーク監視
ネットワークの信頼性を確保し向上させるためには、日常のトラフィク分析とネットワークの監視が非常に重要である。当社では日々の運用で得た情報により、以下のようなデータ分析、ネットワーク監視を行っている。
3.2.1 トラフィック分析
1層、2層全てのネットワークにつき、月末月初のピーク日の使用率を採取し傾向分析を実施。
3.2.2 ネットワーク監視
各機器に監視装置を設置。各監視装置からの障害メッセージを統合表示し、オペレータにより24時間365日監視することで障害の検知、対応の迅速化を実現。(補足資料参照)
FR交換機:INC,ATM交換機:MM−VIEW,IP機器:OpenView

4.計 画
・平成8年9月〜 SKYネットワーク基本計画の策定
・平成9年12月〜 ネットワークの展開とバックアップの構築
・平成10年10月〜 SKYネットの本格運営
・平成11年4月〜 ネットワークの統廃合、バックアップの改善

5.評 価
本格運用から約1年半を経過し、当初目的としたバックアップの機能が発揮され、障害の未然防止、早期復旧に成果を挙げている。また、分析作業のノウハウを積むことにより、新システム稼働時のネットワーク負荷の予測精度向上、改善提案作成などにも役立っている。
今後の課題としては以下のものが考えられる。
短期的課題:通信機器等の耐用年数経過によるリプレース、それに伴う機器管理体制の確立。
キャリアに対する経路選択の提案など、リスク分散に対する広い視野の強化。
長期的課題:現行ネットワーク運用にて得た知識をベースとした次世代ネットワーク構想。
それに必要な新技術情報収集、知識の蓄積、コストマインドの強化。

−以上−