イントラネットによる授業成績評価システム
(PDF文書,736KB)


【要旨】

本学ではコンピュータリテラシーをはじめとしてさまざまな情報教育を実施している.その中心はコンピュータを使用した実習授業であり,ワープロ,表計算,データベース,プログラミング,デジタルプレゼンテーション,インターネット情報発信といった内容の実習を行っている.これらの授業では,くりかえし課題を与えて十分な練習を行わせることが教育効果を上げる上で最も重要である.また,その習得に対するモチベーションを高めることも学習効果を上げる上で欠かせない.本学では15年にわたってこれらの教育を実施してきたが,その間,教育効果と教育効率の向上を目指して,さまざまな授業内容と実施方法の工夫を行ってきた.学習効果の高い教育の実施には,多大な労力ときめこまかい指導が必要であり,コンピュータシステムの活用が効果的である.本システムはその一環として,イントラネットを利用することにより,効率的な授業の中で高い学習効果を上げるための支援システムとして開発したものである.
 授業は,「前回の宿題のチェック→その日の習得課題の説明→例題による確認→宿題の提示」を基本サイクルとして,これを毎回繰り返す形で進めている.さらに,いくつかの習得課題を前提とする形で総合的な課題を提示し,これを提出させる.このような授業形態をとると,その中で次のような作業が必要となる.これらの作業をすべて実行するには,コンピュータシステムによる支援が不可欠となる.
@ 宿題チェック結果の記録
A 出欠の記録
B 試験および提出物の評価結果の記録
C 成績および出席状況についての通知
D 授業進行状況の通知および補足説明
E 課題の提示および解説
F 最終評価
本システムはこれらの作業のうち,@ABCおよびFを支援するものである.Dについては電子メール等を利用し,Eについては各授業のホームページを用意して各種の情報を提供している.
本システムの構成は下図のとおりで,その機能は下記のとおりである.
@ 授業中における宿題チェック結果の記録機能
Webとデータベースの連携により,画面に表示される座席表上でチェックしたものが直接,成績記録用のデータベースに記録される.宿題のチェックはPCゼミの教師卓画面で行うので,チェックと結果の入力を同時に行うことができる.
A 試験および提出物の評価結果の記録
Web画面に表示される受講者一覧に点数を入力することにより,成績記録用のデータベースに記録される.
B 成績および出席状況についての情報提供
与えられたIDとパスワードによって,受講者は自己の成績および出席状況を検索することができる.評価を積極的に知らせることによって,モチベーションを高めるねらいがある.
C 出席の記録
この授業の受講者用ホームページに用意された「タイムレコーダ」を選択することにより,受講者が自己申告の形で出席時刻を記録することができる.本人確認は,学生個々に所有するWindows NTのIDによって行う.また,端末のホスト名により,当該授業の教室外の端末からは申告できないようにしている.
D 最終評価時の支援
成績記録データベースおよび出席記録データベースを最終評価用データにまとめ,担当者がこれらの記録から総合判定ができるようにする.
本システムはこの2年間にわたって順次,各機能を開発してきた.インターフェースにWebブラウザを使用したイントラネットシステムとして開発することにより,開発コストは大きく抑制できている.開発に要した労力は,システム全体で20人日程度である.また既存の環境内で開発・運用可能なため,特別にハードやソフトは購入していない.ただ,これに比べて運用面でのコストはやや大きい.現在,20講座程度でこのシステムを運用しているが,その運用準備(データの用意)に10人日程度を要している.
各機能はほぼ所期の目的を達しており,その効果を発揮している.とくに,受講者が自身の評価状況を確認できる点は,単なる省力化に止まらず,自身の評価を知ることによって学習そのものへの興味が高まる形で,教育効果の向上につながっている.
このように本システムの運用による効果は大きいが,一方,受講者の入れ替わりに伴う基本データの準備作業に相当の労力を要する.この点をインターフェースの改善や,受講者名簿からの入力画面の自動作成などで改善することにより,さらに有用なシステムとすることができよう.

キーワード:
情報処理教育,イントラネット,学習支援,データベース,Web,コンピュータネットワーク,成績処理,ASP,Access

文献
1) Active Server Pages 2.0 −サーバーサイドスクリプトによるWebアプリケーションの開発技法−,ソフトバンク,1998.
2) 大澤文孝,Webアプリケーション構築ガイド −Phase 1 IIS+Accessによるデータ連携−,ソフトバンク,1997.