StarEnterpriseを活用した全社ワークフローシステムの構築
(PDF文書,633KB)


【要旨】

1.システム開発の背景/目的
マツダでは、1987年にいち早くワークフローシステムの効果に着目し、国内出張旅費申請・精算などの全社共通事務作業をサポートするシステム(MAIL)をNEC社製のアラジンを利用して構築し、ホストコンピュータ上で運用してきた。社内に光ファイバーLANを敷設し、自動メール、自動転記、電子承認、事務進捗管理などの豊富な機能を有するMAILは、当時としては画期的かつ先進的なシステムであった。
しかしながら、システム構築後十数年が経過し、システムを熟知する者が居なくなり、業務プロセス変革などの新たな業務ニーズへの対応が困難になってきた。また、システムを利用する端末(N5200)も老朽化が進み、故障に伴う補修部品費やソフトの再インストール工数の急増に加え、アラジン自体が2000年対応できないという致命的な問題も明らかとなった。一方では、メーカー固有のプロトコルから標準プロトコルへの転換が推進され、ネットワークインフラ面からも将来の足かせとなりつつあった。
近年のインターネットを初めとするIT技術の進歩には目覚しいものがあり、マツダでも1人1台のPC環境が整備され、最新のITを活用したシステムが構築されるようになり、当該システムのユーザからも新たなシステムへの変革が熱望されるようになってきた。
そこで、これを機にこれまで蓄積してきたワークフローシステム構築/導入のノウハウの集大成として、最新ITを駆使した人事系事務情報システム(SPEED)を開発することになった。
当該システムの狙いは以下の3つである。
@情報共有化の促進によるオフィス生産性の向上
Aユーザへのサービスレベルの向上(処理スピード、操作性向上)
Bシステムの保守費用、保守工数の削減

2.システム概要
当該システムは、人事に関連する全社各部門で共通的に行われている事務作業を対象としており、対象とする業務の特性とシステムでの利用技術の違いにより、下記の3つのシステムに大別される。
@ワークフローシステム
手続き型事務作業をサポートする大規模ワークフローインフラを核としたシステム群である。国内出張旅費申請・精算システム、住所通勤手当申請システム、駐車場利用申請システム、海外出張旅費申請・精算システム、人事への各種申請(証明書発行願い、社用外出請求等、約90種類)システム等がある。
Aエントリーシステム
全社各部門から実績入力などのエントリ事務作業をサポートするシステム群である。出退勤管理システム、社内給食手配管理システム、雇用保険管理システムがある。
B全社各部門とのコミュニケーションシステム
人事から全社各部門への通達文書、連絡文書、社員就業規則閲覧等をサポートするシステム群である。WEB、文書管理パッケージソフト等を利用している。
上述のシステムは、ワークフロー・サーバ、エントリ・サーバを利用したC/S型システムであり、広島本社及び東京・大阪などの拠点から、現在約4,000人が利用している。

3.キーポイント
(1)開発面
@市販のワークフローパッケージソフトの採用による開発期間短縮
ATPモニタの採用によるトランザクション処理の信頼性向上及びサーバ負荷分散
BOLEを活用した本格的な3階層クライアント/サーバシステムの実現
Cプロトタイプシステムの開発によるメンバーのスキルアップ、問題の早期発見
DVB、オラクルといった実績のあるソフトを組み合わせることによるシステムの
信頼性向上と高生産性の実現
(2)運用面
@WEBを活用したプログラムの自動配信による保守工数の大幅削減
A多数の利用者の登録・変更・削除処理の自動化による保守工数削減
BHTMLを活用したFAQの充実による問合せ工数の削減
(3)その他
@業務プロセスの改善や権限委譲等の規定見直しによる業務のスピードアップ
A組織的かつ実践的なシステム操作教育の実施によるスムーズな部門展開の実現

4.計画
(1)スケジュール
  97年 5月 〜 97年 7月 総合企画
  97年 8月 〜 97年10月 フェーズT企画
  97年11月 〜 97年12月 プロトタイプ作成
  98年 1月 〜 99年 8月 フェーズT開発、カットオーバー
  99年 9月 〜 99年12月 フェーズU企画
  00年 1月 〜        フェーズU開発中
  00年10月 〜        フェーズV企画・開発予定
(2)要員
  当社社員  :5人(システム部門)、10人(ユーザ部門)
  派遣社員  :5人(SE)
(3)使用マシン等
   サーバ   :Express5800 150DPro 3台
   OS    :WindowsNT4.0
   WWW   :IIS3.0
   DBMS  :Oracle7.3.2
   ワークフロー:StarEnterprise


5.評価
システムの運用開始直後は、システムバグやクライアント環境の違いにより不具合が発生したが、昼夜を問わないメンバーの頑張りやNEC殿の迅速な対応により、これらを乗り切ることができた。現在は、月間約12,000枚に上る申請伝票を問題なく処理している。また、毎日昼過ぎから発生するトランザクションの集中にも良好なレスポンスをキープしており、TPモニターを活用した3層構造の威力が十分に発揮されている。
 開発メンバーにとっては、当該システムのような大規模オープン系システムの開発は初めての経験であったが、開発を通して高度なスキルを習得できたことや予定通り運用開始に漕ぎ着けたことは、今後の新たなシステム開発に向けて、大きな自信と財産になった。
今後は、適用業務領域や利用者数の更なる拡大に備え、より使い易いシステムへと進化させていくことが課題である。また、システムにインパクトのあるWindows2000等のITやソフトウェアのバージョンアップにどのように追随していくかも近い将来に直面し解決しなければならない重要な課題と認識している。

以上